パパLOVE

卯月青澄

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どうして店長が…パパとママと一緒に写真に写ってるの?

知り合いなの?

しかも、この写真…日付が10年以上前のもの。

私が小学2年生くらいの時に撮ったもの。

その頃から知り合いなの?

でも、誰一人としてこのことを話そうとしなかった。

隠す必要など全くないはずなのに…。

「ゴホッ…ゴホッ…」

隣の部屋から店長の咳き込む声が聞こえてきたので、急いで寝室に向かった。

「ゴホッ…ゴホッ…ゴホッ…」

「店長、大丈夫ですか?」

あまりに苦しそうだったので、ついうっかり声をかけてしまった。

「だっ‥誰?」

「店長、私です。西島香澄です」

「西島さん?どうして?」

店長はベッドの上で上半身を起き上がらせると、驚きを隠せていない様子だった。

「店長がインフルにかかったって聞いて…私のせいで…」

「西島さんのせいじゃないよ。気にしないで」

「でも…私が帰宅途中で店長を呼んだから」

「頼ってくれたこと、嬉しかったんだ…今度こそ助けたかった」

「今度こそ?いつも店長には良くしてもらってるし助けてもらってますよ」

「ありがとう…西島さん、体調は大丈夫なの?」

「私は薬が効いてるみたいで元気になりました。私のことはいいから寝ていて下さい。これで私は帰ります。あと冷蔵庫の中に飲み物とか入れといたので」

「買ってきてくれたんだ。本当にありがとう」

「店長あの…」

先程の写真のことが頭から離れなくて、今聞くような状況じゃないのに口にしてしまいそうになった。

「何だい?何か言いたいことでもあった?」

「写真…」

「写真?・・・・・もしかしてリビングにあった写真を?」

「すいません。目に入ってきてしまって…」

「そうか…隠すつもりはなかったんだ。君のお父さんとお母さんとは、前からちょっとした知り合いでね。写真もその時一緒に撮ったんだ」

「そうだったんですか…どういう知り合いですか?」

「それは…大したことではないんだ。ホントにたまたま知り合っただけで…特には…」

なぜか店長は歯切れの悪い言い方をしていた。

きっと何かを隠してる。

「なるほど。たまたま知り合ったんですね。わかりました」

これ以上詮索しても何も出てこないと思ったので、あっけなく引き下がった。

「じゃあ、これで失礼します」

「玄関まで送るよ」

「大丈夫です。寝ていて下さい。鍵はかけといて、鉢の下に置いときます。あの隠し場所変えたほうが良いですよ」

私はそれだけ言い残すと店長の家をあとにした。

帰りもタクシーで家まで帰った。

偶然にも行きのタクシーの運転手と同じ人に当たり、料金も半額にまけてもらった。

こうして割引してもらえるなら女子高生も悪くないなと思ってしまった。
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