パパLOVE

卯月青澄

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コンビニで買い物を終えて外に出るとタクシーがやって来たので中に乗り込み行き先を告げた。

タクシーに1人で乗るなんて初めての経験だったので緊張した。

「お嬢ちゃんは、中学生かい?」

「高校1年生です」

「そうなのかい。ポッチャリしていてかわいいから中学生かと思ったよ」

「そりゃどうも」

そんな風に言われるのは、いい加減慣れた。

そのあともタクシー運転手のおじさんは気さくに話しかけてくれたので緊張はほどけたけど、後半はちょっと面倒くさくなった。

「お嬢ちゃん、着いたよ」

「ありがとうございました」

「うちの娘も高校1年生なんだよ。だから他人とは思えなくて、ついつい話しかけちゃったよ。悪かったね」

「いいえ、私で良ければ全然…」

「少しばかり料金はまけさせてもらうよ」

おじさんはそう言うと、メーターの半分くらいの金額しか要求してこなかった。

「おじさん、色々とお世話になりました。お仕事頑張って下さい」

「ありがとう。娘にそんなこと言われたことないから嬉しいよ。どうも娘から嫌われてるみたいでさ」

「そんなことないとないと思いますよ。心の中では感謝してますよ」

「そうかな?だといいんだけどな。じゃあ、お嬢ちゃん気を付けてな」

「はい、じゃあ」

少しウザかったけど、なかなか良い人だったな。

きっと娘さんにもウザがられてるんだろうな。

でも、自分のパパを好きじゃないなんて信じられない。

タクシーを降りると、店長の住む6階建てアパートの正面まで来ていた。

それからエレベーターに乗って、4階に住む店長の家まで向かった。

玄関の前まで来ると、チャイムを押そうかどうか考えた。

押してチャイムの音で寝ている店長を起こしてしまうのも悪いし、かと言ってチャイムを押さなければ中には入れないし…

どこかに鍵が置いてないかな?

ふと入口の横に置いてある植木鉢に目がいった。

大抵、ドラマだと植木鉢の下にあるのが定番なんだよな。

そんな訳ないかと思いながら植木鉢をどかしてみた。

「はぁ~」

ため息が出た。

本当にあったよ。

店長、わかり易すぎるよ。

私はその鍵を手に取ると、ドアノブの鍵穴にそれを差し込んで回した。

何かいけないことをしているようで、興奮してきた。

中に入って行くと、几帳面な店長らしく無駄なものが一切ないキレイに片付けられたキッチンとリビングを忍び足で進んで行った。

独身男性の部屋にしては味気ないと言うか小ぢんまりしている。

すると寝室らしい部屋を見つけたので、扉をゆっくりと開けて中を覗いてみるとベッドで眠っている店長の姿が目に入ってきた。
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