パパLOVE

卯月青澄

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「はい、香澄の母親です」

「では、何かあったら連絡下さい」

「わかりました」

「おやすみなさい」

「おやすみなさい」

そしてパパは家を出て行った。

何が何だか訳がわからない。

今日は変なことばかりあって心がついていかない。

頭がボウっとしてるし、私、幻でも見ているんじゃないのかな。

ヤバい、頭がクラクラしてきた。

私は壁を伝って何とか自分の部屋に戻った。

ダメだ…

バタっ…

目を開けると部屋の入口に倒れていた。

私何でこんなところで倒れてるんだっけ?

とにかくベッドの上で寝なきゃ。

私は這うようにしてベッドまで向かったけど、途中で力尽きて再び倒れた。

あれ?

ここはどこ?

体がフワフワしてる?

地に足がついていない感じがした。

もしかして私、浮かんでる?

近くでお喋りをしている声が聞こえてきたので目を向けると…

そこにはパパとママと私と誰かがいた。

4人で仲良くお喋りをしながら食卓を囲んで食事をしていた。

これって夢だよね?

パパもママも今よりももっと若くて美男美女だった。

私は見た感じまだ幼稚園生くらい。

隣に座っているのはモヤがかかっていてわからないけど、食事をする私の面倒を見てくれているようだった。

私の口に食べ物を運び、食べさせてくれていた。

箸を使うのが不慣れな私が食べ物をこぼす度に拾ってくれていた。

そんな誰かに向けて、私は満面の笑みを浮かべていた。

私の面倒を見てくれているのだから、私よりも年上の人に間違いない。

私には兄弟はいないはずだから、親戚のお兄さんかお姉さんなんだろう。

でも、それにしても私はその人に相当の信頼をよせているように見えた。

一体誰なの?

思い出そうとしても思い出せない。

どういうことなんだろう?

私にはこの時の記憶がない。

小さい頃だったから憶えていないことも沢山ある。

パパとママとの思い出も沢山あるけど、それは断片的なものでハッキリとは思い出せない。

ただ言えることは、私はとても幸せで毎日が楽しかった。

「か…すみ……くち…に……つい…てる…よ」

ママはそう言って私の口についているケチャップをティッシュで拭き取ってくれていた。
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