パパLOVE

卯月青澄

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しばらくして、パパの乗ってくる電車が到着し、改札から続々と人が通過していった。

遠くからパパの姿も確認できた。

青っぽいYシャツ姿でスーツケースを引きながら歩くその姿は最高にカッコいい大人の男性そのもので、目が釘付けになった♡

そしてパパも直ぐに私に気付いてくれたようだった。

とても驚いた顔をしていた。

そりゃそうだろう。

サプライズで迎えに来たんだから。

改札を抜けたパパは私のところに一目散にやって来てくれた。

でも、明らかに様子がおかしかった。

目には涙をためて今にも溢れ出しそうだった。

そんなに私に会えたのが嬉しかったの?

「おかえりなさい」

「こっ‥コナンくん…」

ん?

コナンくん?

パパは私に向かってなぜかコナンくんと言った。

どういうこと?

「コナンくんっ」

パパはそう言うと、私の体を引き寄せ息つく間もなく私を抱きしめた。

こんな風に抱きしめられたのは初めてだった。

嫌ではなかった。

逆に新鮮で快感を覚えた。

そしてパパは私の頬に顔を押し当て強く口づけをしてきた。

私の頬を生ぬるい水滴が伝っていくのを感じた。

涙?

パパ、泣いてるの?

どうして?

訳がわからないまま、かなり長い時間、私はパパに強く抱きしめられていた。

「パパ…」

私がパパを呼ぶと、我に返ったのか私の体を離した。

「香澄…ごめん」

「全然いいよ。もっと抱きしめて」

すると、パパは戸惑いながらも再び私を抱きしめてきた。

パパは私ではない誰かを思い、私を抱きしめているのかもしれない。

私がこんな格好で会いに来たから、私を誰かと重ねてしまったのかもしれない。

その相手はパパがそう呼ぶ「コナンくん」。

コナンくんが一体何者なのかはわからない。

男か女かもわからない。

でも、パパが特別な感情を持っていた人に間違いはない。

悔しいけど、パパがあんな風に取り乱して、抱きしめる相手は只者じゃないのはわかる。

過去に何か関係があった人なのかもしれないし、現在進行系で私のライバルになる人なのかもしれない。

パパに抱きしめられていたら、何だか安心してしまい体の力が抜けてしまった。

体が熱く、意識が遠のいていくのがわかった。

パパの腕の中で死ねるなら本望だ。

次の瞬間…足に力が入らなくなり、膝から崩れ落ちた。
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