パパLOVE

卯月青澄

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ピュ~~~

ドドドドドドッ――

突然、夜空に花火が打ち上がり、体に響き渡るような大きな音が鳴り響いた。

「きれい…」

間近で初めて見る花火は、もの凄い迫力と美しさで心の底から感動した。

「ホントにキレイだね」

この瞬間がとても貴重で愛おしくて時が止まってしまえばいいと願った。

気付くと彼の手を握りしめ、この身を彼に預けてしまっていた。

彼は何も言わず、ずっとそうさせてくれた。

全ての花火が鳴り止むまで私と彼はくっついて離れなかった。

花火の打ち上げが一旦休憩に入っても、しばらくはそうしていた。

10分くらい経った頃、彼は突然私を見つめて何かを言い始めようとしていた。

「僕は…君のことが…」

「・・・・・」

今ようやく彼の気持に気付いた。

彼は目の前のサトシ(私)を好きでいてくれている。

そして、その気持を伝えようとしている。

心臓の鼓動が早くなり、体全体に響き渡った。

顔がものすごく熱くTシャツの下で汗が滴るのを感じた。

こんなにもドキドキしたのは生まれて初めてで興奮していた。

でも、もし彼がサトシ(私)に告白をしたらどうしたらいいのだろう?

彼が好きになったのはサトシ(私)であって私ではない。

サトシの正体が私だとわかったらガッカリさせてしまうかもしれない。

どうしたらいいの?

「君のことが…君を……僕には…すっ‥好きな人がいるんだ。同じクラスで隣の席に座っている櫻井泉水さんが好きなんだ。泣きたいくらい好きなんだ」

「・・・・・」

彼の告白は目の前のサトシ(私)に対してではなく、私…櫻井泉水に対してのものだった。

信じられなかった。

彼がそんな風に私を想っていてくれてたなんて…。

ただの友達としてしか見られていないと思っていた。

吃音症という障がいを持っているから同情で接してくれていると思ってた。

私の悲しい初恋で片想いで終わると思っていた。

嬉しい…

嬉しいけど、きっと彼は苦しんできたのかもしれない。

私が彼を苦しませていたのかもしれない。

彼は目の前のサトシ(私)と櫻井泉水である私の両方を好きなってしまい、最後の最後まで迷いに迷っていたに違いない。

彼は目の前のサトシ(私)に好きという気持を伝えようとしていた。

いくら鈍感な私に立ってそれくらいはわかる。

でも、彼は寸前で思いとどまり、櫻井泉水を好きだと言った。

嬉しかったけど複雑だった。

どちらも私で、どちらの私も彼に恋をした。

私は彼を見つめた。

自然と目に涙が溜まり、今にも溢れ出しそうだった。

そして、涙が流れた瞬間…

私は彼に抱きつき、息つく間もなく彼の唇にキスをした。

悲しく切ないファーストキスだった。
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