パパLOVE

卯月青澄

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でも、仕方のないことだというのもわかっていた。

私は言葉を上手く話せない吃音症を持っている。

他の人から見たら普通ではないし、異質なのだろう。

前の学校でもそうだった。

どこに行っても結局は同じなのかもしれない。

私自身が変わらなければ、行き着く先はきっと同じになってしまう。

それでも変わろうとしたこともあった。

この障がいを克服したくて母と病院に通ったこともあった。

でも治らなかった。

だから諦めた。

でも、普通の学生と同じように普通の教室で学生生活を送りたかった。

普通の女子高生がしているように、友達とワイワイお喋りをして、笑って、ふざけて、じゃれあってみたかった。

それがいかに儚い夢であることに気付かされるのにそんなに時間はかからなかったけど。

唯一の救いは、クラスの殆んどの人たちが私を避けて無視するようになったにもかかわらず、西島くんと飯田くんは何も変わらず接してきてくれたことだった。

この2人はクラスに溶け込んではいるけれど特殊な存在だった。

誰にも流されず、誰にも屈しない強さを持っていた。

だから彼と飯田くんが私と友達のように接してきてくれることを誰も責めるようなことはしなかった。

私がこのように学校に登校出来るのも彼らがいてくれたからだった。

そして、もう1人。

Nさんだった。

いつも私を見守り、手紙で私を応援してくれたNさんの存在も非常に大きかった。

存在が大きくなればなるほど、Nさんが誰なのか知りたくなった。

Nさんに会いたくて仕方なかった。

どうしても会いたくて、会いたすぎて自分を抑えることが出来なくなったいた。

ある日の朝。

私はいつもよりだいぶ早く学校に来ていた。

すれ違う生徒はみんな朝練に来ている人たちだった。

昇降口を抜けて自分の靴箱の前まで行き上履きに手をかけた瞬間、体が固まった。

目を疑った。

私の上履きの中に砂が敷き詰められていた。

動けなくなった。

どうしよう?

どうしたらいい?

頭の中がパニックになった。

とにかく上履きから砂を出して履き替えなきゃいけないと思い、もう1度上履きに手を伸ばした。

あれ?

ナニコレ?

この上履き私のじゃない。

私の名前が書いてあるけど私のじゃない。

どういうことなんだろう?

訳がわからない。

この時、なぜか嫌な予感がした。

もしかしたら他にも何かされてるんじゃないかと思った。

私は上履きのことはとりあえず置いといて、急いで教室に向かった。

教室の中に入ると、いつもの誰もいない空間は只々、静寂に包まれていた。

自分の机にゆっくりと近づいてみると、そこには【死ね】という文字が机いっぱいにマジックで書かれていた。

ショックだった。

目の前が真っ暗になった。

と同時に涙が溢れ、ポタポタと床に流れ落ちていった。
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