パパLOVE

卯月青澄

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ある日の朝、いつものように教室にやって来て、鞄の荷物を机の中に入れようと中を覗くと封筒が入っていた。

手紙?

一体誰が?

私はその相手が誰なのか知りたかったし、どんな内容が書かれているのか知りたかった。

興奮で胸が高鳴り顔が燃えるように熱くなった。

そして私は後先考えずに、ただ夢中でそれを読んだ。

本当なら誰もいない場所でゆっくり読んだ方がいいに決まっているし、そうすることが手紙を書いてくれた人への配慮だと思う。

でも、この時の私はそんなことを考える余裕は全くなく、目の前にある手紙だけが全てだった。

§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§
初めまして、こんにちは。

僕はNといいます。

突然こんな手紙をもらって、きっと驚いているでしょうね?

ごめんなさい。

変なヤツかと疑っているのかもしれません。

それは当然の反応だと思います。

でも、手紙を読んでもらい、少しずつでも良いので信用してもらえたらと思います。

何で手紙を書こうと思ったかというと、櫻井さんが転校してきて、ずっとあなたのことが気になっていたからです。

僕は不器用で、どのように櫻井さんに話しかけたらよいかわかりませんでした。

でも、手紙なら自分の思いを櫻井さんに届けられるかと思い、こうして手紙を書きました。

僕は自分のことを知ってもらいたいし、櫻井さんのことを沢山知りたいと思っています。

何でも質問して下さい。

答えられることは答えます。

学校のことなら大抵のことはわかるので聞いて下さい。

勉強のことは…きっと成績優秀の櫻井さんにわからないところを聞かれても教えられないかも…

僕自信のことについても言える範囲で答えます。

それに、何か困ったことや悩んでいることがあれば話して下さい。

どんなに些細なことでも構いません。

全力で相談に乗ります。

力になります。

だから、何も心配しないで楽しい学校生活を送ってもらいたいと思います。

また、明日机の中に手紙を入れておきます。

僕が信じられるようになり、何か話したいと思ったら手紙を書いて机に入れといて下さい。
§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§

読み始めて直ぐに、この手紙が私の味方をしてくれている、応援してくれている人からのものだとわかった。

どこの誰かはわからないけど、Nさんと名乗るその人物は、私の近くで私をいつも見守ってくれてる。

嬉しくて頼もしくて励まされて、色んな感情が溢れ出して気付いたら声を殺して泣いていた。

この手紙がどんなものよりも愛おしくて抱きしめずにはいられなかった。
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