106 / 475
西島彰
106
しおりを挟む
「さあ、早くしまっちゃって下さい。マネージャーに見られると怒られてしまいますから」
するとコナンくんはマスクの上から手で顔を覆い隠すと、肩を震わせていた。
手の隙間から地面に一粒のしずくが流れ落ちた。もしかして…
「だっ‥大丈夫ですか?」
コナンくんは僕の声など聞こえている様子もなく只々泣き続けていた。
僕からのプレゼントが余程嬉しかったのだろう。
こんなに喜んでもらえるなんて思ってもみなかったので、嬉しくなると同時に目頭が熱くなった。
「泣かないで下さい」
そう声をかけると、コナンくんは地面にしゃがみこんで泣き崩れてしまった。
僕は地面に膝をつくと、「ありがとう」と言ってコナンくんを優しく抱きしめた。
周りから悲鳴に近いファンの女の子たちの声が聞こえてきた。
確かに異様な光景ではあるけど、泣き崩れた僕のファンを僕が抱きしめているというだけのことであって、誤解を招くようなことはないだろう。
それはそうとして、僕がこうして誰かを抱きしめたのはこれが生まれて初めてのことだった。
それにしてもコナンくんを抱きしめた感覚は僕が想像していた以上に柔らかくて気持の良い感触だった。
女の人を抱きしめたことなどないけど、男ではない女の人を抱きしめたような感触がした。
この時初めて、コナンくんは実は女性ではないのかと思えた。
しばらくすると腕の中のコナンくんが泣き止んだのがわかったので、起き上がらせてあげた。
そして頭を撫でながら「もう泣かないで」と声をかけた。
コナンくんは僕に熱い視線を向けたあと何かを言いたげな表情をしていた。
とは言ってもマスクをしているので本当のところはわからないのだけど。
するとコナンくんはマスクの上から手で顔を覆い隠すと、肩を震わせていた。
手の隙間から地面に一粒のしずくが流れ落ちた。もしかして…
「だっ‥大丈夫ですか?」
コナンくんは僕の声など聞こえている様子もなく只々泣き続けていた。
僕からのプレゼントが余程嬉しかったのだろう。
こんなに喜んでもらえるなんて思ってもみなかったので、嬉しくなると同時に目頭が熱くなった。
「泣かないで下さい」
そう声をかけると、コナンくんは地面にしゃがみこんで泣き崩れてしまった。
僕は地面に膝をつくと、「ありがとう」と言ってコナンくんを優しく抱きしめた。
周りから悲鳴に近いファンの女の子たちの声が聞こえてきた。
確かに異様な光景ではあるけど、泣き崩れた僕のファンを僕が抱きしめているというだけのことであって、誤解を招くようなことはないだろう。
それはそうとして、僕がこうして誰かを抱きしめたのはこれが生まれて初めてのことだった。
それにしてもコナンくんを抱きしめた感覚は僕が想像していた以上に柔らかくて気持の良い感触だった。
女の人を抱きしめたことなどないけど、男ではない女の人を抱きしめたような感触がした。
この時初めて、コナンくんは実は女性ではないのかと思えた。
しばらくすると腕の中のコナンくんが泣き止んだのがわかったので、起き上がらせてあげた。
そして頭を撫でながら「もう泣かないで」と声をかけた。
コナンくんは僕に熱い視線を向けたあと何かを言いたげな表情をしていた。
とは言ってもマスクをしているので本当のところはわからないのだけど。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

体育座りでスカートを汚してしまったあの日々
yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語
六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる