パパLOVE

卯月青澄

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今現在、彼女には僕がNだということは知られていない。

まさか隣に座っている僕が、いつもメールをしているNだとは微塵も思っていないだろう。

でも、確実に彼女とNの関係は良好で、着実に進展している。

一方、僕と彼女の関係は至って普通で平行線を辿っている。

彼女が楽しく平穏に学校生活を送れればとは思ってはいるけど、寂しい部分があるのも確かだ。

僕だってNとしてではなく、西島彰として彼女と距離を縮めたい。

夏休みに入ってしまえば1ヶ月は会えなくなってしまう。

彼女を好きな僕に我慢が出来るだろうか?

出来る自信はない。

数日後、終業式を終えて夏休みが始まった。

学校がある時は土日しか舞台の出演が出来なかったけど、夏休みに入った今は平日も出演することが出来た。

毎日が忙しくて大変だったけど、それ以上に舞台に上がれる喜びと楽しさに心は満たされた。

彼女とは毎日メールをした。

朝晩の挨拶、舞台の合間、家に帰ってからもメールをした。

時間の許す限り、彼女にメールをした。

彼女が毎日何をして過ごし、何を考えているのは知ることが出来たけど、会えない日々はツラく苦しかった。

それでも舞台に上がっている時だけは彼女のことを忘れることが出来た。

この夏で舞台に上がるようになって1年以上が経過していた。

演技はまだまだだし、多くのことを学ばなければならなかった。

それでも最近は多くのセリフを頂いて、沢山の演技をすることが多くなった。

それと同時に、有り難くもこんな僕にもファンが出来た。

舞台を終えて外に出ると、僕を待つ10人くらいのファンの方がいてくれた。

多くの言葉をかけてもらった。

嬉しいし、とても励みになった。

ファンの方はとても礼儀正しく、列を作って1人ずつ握手と言葉を交わした。

1人の時間は大体1分程度。

その1分の為に1時間近く外で僕を待っていてくれることに大変感謝した。

その中に毎日のように出待ちをしてくれるファンの人が1人いた。
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