パパLOVE

卯月青澄

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「私はいつもパパと一緒にいたい。抱きしめて欲しいし、キスもしたい。パパが求めるなら私の全てを捧げても良いって思ってる。これって普通じゃないですか?」

何で店長ってこんなに話しやすいんだろう?

何でも話したくなるし何でも聞いて欲しくなる。

話せば何か答えを導き出してくれそうな、そんな雰囲気を持っている不思議な人。

きっとだから、色んなスタッフから愚痴とか文句をを言われたりしてしまうんだろうな。

「なるほど、そうなんだね。普通とか普通じゃないとか変とか変じゃないかは人が決めることではないし、人が言って良いことではないよね」

「でも、他の人とは違うみたいなんです」

「人と違うのがわかったから、お父さんのことを好きじゃなくなる?ならないでしょ?好きって想いはとても素敵で尊いものなんだ。大切にしなきゃ駄目だよ。西島さんは西島さんでいいんだよ」

「普通じゃなくてもいいんですかね?」

「正解か不正解かは他の人が決めることじゃない。自分で導き出すものだから」

店長と話していたら、心が軽くなるのが自分でもわかった。

肩にのっていた重い荷物がスッと落ちたような感覚がした。

「ありがとうございます。店長に聞いてもらったら楽になりました」

「また、何かあったら言って。何でも聞くから」

「はい」

それから時間になったので仕事に入ったけど、心が軽くなったせいなのか、体もいつもよりも軽くて動けるような気がした。

そして、順調に仕事をこなしていると、時間が進むのがスゴく早くて気付くと20時半を過ぎていた。

でも嫌な予感がした。

ヤツが来るのはいつもこのくらいの時間だった。

と思っていると予感は的中し、ヤツが入口から入店してきた。

私は他の仕事をしているフリをしてヤツを無視して逃れようとした。

「西島さんっ」

するとヤツは私を呼んで手を振り始めた。

マジでそういうの止めて欲しい。

顔を上げると他のスタッフが私を見て微笑んでいた。

それにヤツがこっちに向かって手を振るもんだから、私に視線を向けてくるお客様が沢山いた。

私は仕方なくヤツのところに行って「いらっしゃいませ」と挨拶をした。
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