パパLOVE

卯月青澄

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「この子は?」

「娘なんです」

「おじさんは、佐藤って言います。お母さんに似て可愛い顔をしてるね」

おじさんは私の頭を撫でながらそう言った。

ちょっとウザいけど、褒められるのは悪くないかな。

「パパの娘の香澄です」

「娘さんか…じゃあ一緒に暮らしてるのか?」

「いや、別に暮らしてる」

「なら誰と?」

このおじさんは何を聞いてるんだ。

パパと暮らしてないんだから、ママと暮らしてるに決まってるでしょ。

「佐藤くん、その話は前にも言ったじゃないか」

「あっ! そっ‥そうだった。前に聞いてた。わりいわりい」

変な空気が流れている、そんな感じがした。

「そう言えば、中学の時の同級生の岩谷だけど、つい最近結婚したんだってさ」

「そうなの?」

「残念だったな。あの頃は岩谷が男子のマドンナ的な存在だったよなぁ」

「そうだったね」

岩谷って、パパが好きだった人じゃん。

結婚したんだ。

パパの反応が見たくて、一瞬たりとも目を離さないように凝視した。

でも、私が期待しているようなパパの反応は表情からは見てとれなかった。

「今だから言っちまうけど、岩谷の好きな奴ってお前だったんだぞ」

「・・・・・」

「周りの連中はみんな知ってたんだけど、悔しがって誰も西島に教えなかったんだ」

「はぁ? それってヒドくないですか?」

パパが好きだった岩谷さんのことは好きにはなれないけど、卑怯なことをするヤツはもっと好きじゃない。
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