パパLOVE

４３

「気持ちを伝えたりはしなかったの？」

私はカットステーキをナイフてで一口サイズに切ると、再びパパの口元に持っていった。

「その女子は男子に人気があったからね。告白したってパパみたいな地味な男子は相手にされなかったよ」

パパはそう言うと、窓の外を静かに見つめていた。

思い出したくない思い出なのかもしれない。

「パパ、はいどうぞ」

「ありがと。香澄も冷めないうちに食べちゃいな」

「うん」

それからも私はカットステーキを切ってパパに食べさせた。

パパも自分のヒレステーキを切って私に食べさせてくれた。

なんか恋人同士みたいじゃん♡

テーブルの上の物を食べ終えると、パパが「デザートを食べれば」と言ってくれたので、お言葉に甘えてチョコレートパフェを食べた。

ヤバい、食べ過ぎた。

最近少し太ったような気がする。

怖くて体重計には乗っていないけど、顔が少しふっくらしたような…。

食事を終えて店を出ると、２２時半を過ぎていた。

「パパ、今日もご馳走さまでした」

「どういたしまして」

店の前でパパにお礼を言っていると、うしろから「西島っ」と声をかけられた。

振り返ると、中年の男性がこちらに歩み寄って来た。

誰このおじさん？

少し離れたところには奥さんらしきキレイな女性が立っていた。

このおじさんとは不釣り合いだった。

「あれ？　佐藤くんじゃない。久しぶりだね」

「西島、久しぶり。２年前の同窓会以来だな」

同窓会？ってことは、このおじさんはパパと同級生ってこと？

とてもじゃないけど同い年には見えない。

「元気そうだね」

「そっちもな。それよりこの前観に行かせてもらったよ。とても素晴らしかった」

「ありがとう」

パパとおじさんはなぜか握手を交わしていた。

それにしても、おじさんの言ってたことが気になる。

パパの何を見に行ったというのだろう？

しかも素晴らしかったって…。