パパLOVE

卯月青澄

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そして教室に戻ろうと一歩踏み出すとうしろから声をかけられた。

「あなた西島香澄さんよね」

「はい、そうですけど」

気付くと10人くらいの女子に囲まれていた。

「三枝くんと話をしてたけど、どういう関係?」

「私と三枝先輩ですか?」

「当たり前でしょ。他に誰がいるのよ」

「答えなさいよ。一体どういう関係なのかしら?」

「何の関係もないですけど」

それからも周りにいる女子から次から次へと質問攻めにあった。

仕方なく正直に答えたけど、何で私が…。

「言ってることはわかったわ」

「なら友達として話しているだけなのね?」

「友達ではないんですけど」

「だから、友達じゃないなら三枝くんがわざわざあなたなんかのところに会いに来ないでしょって言ってるの」

「そう言われても…」

「正直に言いなさいよ」

「恋人ではないのよね?」

「違います」

「だったら、ただの友達じゃないの?」

ここで友達じゃないと言ったら話が堂々巡りするだけだと思った。

「トモダチ…デス」

「良かったぁ」

「そうよね、友達よね」

「こんな子と特別な関係な訳ないわよね」

「三枝くんの好みじゃないわよ」

誤解は解けたみたいだけど、何か酷いことを言われてる気がする。

すると、私の言葉に納得したようで女子生徒たちは笑い声を上げながらこの場をあとにした。

「はぁ」

ため息がでた。

ドッと疲れも出てきた。

重くなった足を引きずりながら教室に入って行くと舞香と詩美が直ぐに駆け寄ってきた。

「香澄ちゃん、大丈夫だった?」

「大丈夫だけど疲れたよぉ」

私は2人に両腕を掴まれて私の机まで連れて行かれて座らされた。
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