パパLOVE

卯月青澄

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「香澄?」

「香澄っ」

誰かに名前を呼ばれ、肩を揺さぶられているのに気づいた。

「だっ‥誰?」

「香澄、パパだよ」

「えっ…パパ?」

「そうだよ。こんなところでどうしたの?」

目を開けて前を向くと、心配そうに顔を覗き込むパパの顔が目の前にあった。

嬉しくて、気づくとパパに抱きついていた。

「パパ…待ってたの?」

「ごめん。仕事で直ぐに返信出来なかった。仕事が終わってから電話したけど繋がらなかったんだ」

「電池がなくなっちゃったの」

「そうだったんだ。とにかく家の中に入ろう」

「いいの?」

「もちろんだよ。立てる?」

「う~ん、立てない」

な訳ないだろう。

でも、パパに甘えたくてそう言ってみた。

「じゃあ、おんぶしてあげるから」

「うん」

そして私はパパの背中に乗って運んでもらった。

大きな背中。

私はパパの首筋に鼻を押し当て匂いを嗅いだ。

パパの匂いだ♡

それからパパはエレベーターに乗って20階まで上り、部屋の前までおんぶで連れて行ってくれた。

「香澄、着いたよ」

ソファーの上に下ろされると頭を撫でられ「何飲む?」と聞かれた。

「ミルクティーある?」

「あるよ。あったかいのでいい?」

「うん」

「ちょっと待ってて」

それからパパはお洒落なオープンキッチンに入り、私の飲み物を用意してくれていた。

グレーのYシャツ姿のパパは意外にも胸板が厚くて格好良かった。

ステキ♡

家の中を見渡すと、とても広くて全てが真新しかった。

シンプルなのに高級感のある家具が揃えられていた。

1人で住むにはもったいないくらいだ。
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