パパLOVE

卯月青澄

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「きっと子供の私には言えない事情があったんだと思うの。私が寂しかったようにパパも寂しかったと思うの」

「だからって駄目だろ」

「お父さん今は結婚は? 結婚してるとしたら子供は?」

「聞けないよ。それにそんなこと考えもしなかったよ」

「考えた方がいいよ。お父さんを悪く言うつもりはないけど、香澄ちゃんのことをずっと放っておいて寂しい思いをさせてきたのは事実なんだから」

「そうだ。色々と聞く権利は香澄にはある。聞きたいことがあるならハッキリ聞けよ」

「わかってる…」

舞香は私のこととなると、無性に心配性になる。

詩美の言葉はキツイけど私のためを思って言ってくれている優しい言葉だ。

「2人とも、心配かけてごめんね」

「心配はかけてもらっていいの」

舞香はそう言うと、私を抱きしめてくれた。

柔らかくて温かい舞香の体の感触が伝わってきて気持ち良かった。

舞香は私に何かあると、いつも私を抱きしめてくれる。

キーンコーンカーンコーン――

朝のホームルームのチャイムが鳴った。

担任の柿沼先生が連絡事項を伝えていたけど、全くと言っていいほど頭に入ってこなかった。

私の頭の中はパパでいっぱいで、それ以外のことはどうでも良かった。

それから授業中も休み時間も、パパとメールでやり取りをした。

昼休みになると電話で数分話したりもした。

仕事中のはずなのだから迷惑かと思ったけど、理性のタガが外れてしまった自分の気持ちを抑えることは出来なかった。

それでもパパは嫌な態度は全くしないで私のわがままに付き合ってくれた。


「香澄ちゃん、三枝先輩が話があるって会いに来てるけど…」

帰りのホームルームが終わってカバンに荷物をしまっていると、舞香がやって来てそう言った。

「わたしに?」

「そう」

「何の用だろう?」
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