パパLOVE

卯月青澄

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西島香澄

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誰とではなくて何をなんだ。

でももし誰とと聞かれたら…さすがにパパとは言えない。

黙ってパパと会ってたなんて言えない。

ママを困惑させるかもしれないし、悲しませるかもしれない。

私はママとパパが離婚した理由を知らない。

聞いたことはない。

子供ながらに聞いてはいけないことのよう思ったからだった。

私の思い出の中のママとパパはとても仲が良かった。

それなのに2人は離婚した。

私には離婚と言うものがどういうものなのかわからない。

一緒に住めなくなって離れて暮らす。

会えなくなる。

連絡すら取れなくなる。

私がママと一緒に暮らしているということは、そういうことなのだろう。

そう思っていた。

でも、それはママとパパが離婚した時に決めた決まり事で私には関係ない。

パパは私の父親で、それは一生変わることはないし、離婚しようがしまいがパパは私のパパ。

私にだって会う権利はある。

本当ならママとパパのどちらと暮らすという選択肢もあっても良かったんじゃないかと思ってる。

だけど…私はママを1人にしておくことは出来ない。

ママには私がいなきゃ駄目だろう。

きっと私なしでは生きていけない。

それは何年もママと一緒にいたからわかる。

だからママとパパのどちらかを選ばなきゃいけないという選択に迫られた時、私はママを選ぶであろう。

「お腹いっぱい食べてきたの?」

「うん、13皿も食べた。食後にはスイーツも」

「あら、良かったわね」

ママはそう言うとキッチンの椅子に座り、飲みかけのコーヒーを口に運んでいた。

「あのさ…」

「何?」

「うぅん、何でもない」

「変な子ね」

パパと黙って会っていたことに良心の呵責に苛まれた。

別に悪いことをした訳じゃないけど…。

それから私は自分の部屋に行きベッドにうつ伏せに倒れ込んだ。

目を閉じるとパパの優しい笑顔が浮かんできた。

さっき会ってたばかりなのに、もう会いたくなっている。

声が聞きたくて仕方なかった。

私は寝転んだまま、スカートのポケットからスマホを取り出し、登録しておいたパパの連絡先を開いた。

《家に着いた?》

メッセージは何を送ろうか考えた結果、無難な言葉を選択して送信した。
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