62 / 157
お嬢様は謙虚堅実!?
第32話 追放イベントの始まり A
しおりを挟む私は宿敵である小娘・フィリス・ライドロースの手口を見抜いた。
奴は卑怯な手段で、攻撃を仕掛けてきていたのだ。
卑劣な魅了魔法を用い、人の婚約者を奪おうとしている。
「何てこと……」
私はあの女を懲らしめる為に、告発をすることにした。
奴の所業が知れ渡れば、きっと『皆』が私の味方になる。
そうなれば、奴は終わりよ!!
一か月後に、婚約者のヤコマーダ王子の誕生パーティーが開催される。
王宮の大広間で行われる、盛大なダンスパーティー。
その場で、ケリを付けてやる。
私の婚約者を奪おうとし、私の執事を篭絡した。
その罪を償わせる。
────絶対に許さない。
必ず、復讐してやる。
私は神ヤコムーンに、誓いを立てた。
あの小娘に自分の罪を思い知らせから、謝罪させる。
────泣きながら土下座するまで、追い込んでやるわ。
その光景を想像すると、ほんの少しだが溜飲が下がる気がした。
「くくく……」
私は小娘の惨めな姿を思い浮かべて、ほくそ笑む。
パーティーの後で、奴は処刑されることになるだろう。
楽しみだわ。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
今日は帝国の第三王子、ヤコマーダ・ガルドルムの誕生日である。
王子の誕生を祝し、王宮ではダンスパーティが開かれる。
同年代の貴族の子弟を集めた、盛大な催しだ。
私にも、招待状が届いている。
「……あまり、気は進まないのだけれど」
私の誕生パーティでは、王子とミルフェラが痴話喧嘩を始めて大変だった。
またあの二人の争いに、巻き込まれては堪らない。
「あら? でしたら代わりに、わたくしが出席しましょうか?」
ラシェールが、そんな事を言い出す。
魅力的な提案だが、断った。
彼女の存在は、あまり大ぴらにはしたくない。
それに私の個人的な目的として、有力貴族の見極めがある。
自分の敵か味方か────
どちらに転ぶ可能性の高い相手なのか、直接会って調べておきたい。
今日のパーティーは、同世代の貴族は、ほぼ出席するだろう。
またとない機会だ。
個人的な感情を排して、私はパーティーに参加することにした。
10
お気に入りに追加
29
あなたにおすすめの小説
素材採取家の異世界旅行記
木乃子増緒
ファンタジー
28歳会社員、ある日突然死にました。謎の青年にとある惑星へと転生させられ、溢れんばかりの能力を便利に使って地味に旅をするお話です。主人公最強だけど最強だと気づいていない。
可愛い女子がやたら出てくるお話ではありません。ハーレムしません。恋愛要素一切ありません。
個性的な仲間と共に素材採取をしながら旅を続ける青年の異世界暮らし。たまーに戦っています。
このお話はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
裏話やネタバレはついったーにて。たまにぼやいております。
この度アルファポリスより書籍化致しました。
書籍化部分はレンタルしております。

半分異世界
月野槐樹
ファンタジー
関東圏で学生が行方不明になる事件が次々にしていた。それは異世界召還によるものだった。
ネットでも「神隠しか」「異世界召還か」と噂が飛び交うのを見て、異世界に思いを馳せる少年、圭。
いつか異世界に行った時の為にとせっせと準備をして「異世界ガイドノート」なるものまで作成していた圭。従兄弟の瑛太はそんな圭の様子をちょっと心配しながらも充実した学生生活を送っていた。
そんなある日、ついに異世界の扉が彼らの前に開かれた。
「異世界ガイドノート」と一緒に旅する異世界

のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。


せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

魔力∞を魔力0と勘違いされて追放されました
紗南
ファンタジー
異世界に神の加護をもらって転生した。5歳で前世の記憶を取り戻して洗礼をしたら魔力が∞と記載されてた。異世界にはない記号のためか魔力0と判断され公爵家を追放される。
国2つ跨いだところで冒険者登録して成り上がっていくお話です
更新は1週間に1度くらいのペースになります。
何度か確認はしてますが誤字脱字があるかと思います。
自己満足作品ですので技量は全くありません。その辺り覚悟してお読みくださいm(*_ _)m

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる