お嬢様は謙虚堅実!? ~生まれながらにカリスマが限界突破していた少女と偽神に反逆する者達~

猫野 にくきゅう

文字の大きさ
上 下
34 / 157
お嬢様は謙虚堅実!?

第18話 夢の中 A

しおりを挟む

 私は夢を見ている。
 
 意識は薄ぼんやりとしていて、まどろみの中だ。
 ────喉が渇いて、起き上がる。

 ベットから降りて、歩き出した。


 水を求めてお城の中を彷徨っているうちに、使用人の居住スペースまでやって来たようだ。

 私は部屋のドアの前で立ち止まる。


 ここは確か、メイドのンガ―ちゃんの部屋だ。

 私は部屋の中に、お邪魔した。





 ……。

 ンガ―ちゃんはベットで寝ている。
 その隣にはルドルが連れていた、褐色の少女が一緒に寝ていた。

 ンガ―ちゃんと褐色少女は年齢が近い。
 もう仲良くなったみたいだ。

 ────寄り添って、寝ている。


 私はベットの上に上がり、彼女たちを起こさない様にゆっくり近づく。
 気配を消す魔法を使っているので、至近距離に近づくまで分からないだろう。
 

 この気配を消す魔法は、ラシェールとの魔法勝負で見ている。
 
 魔力の性質を同じように変化させてみたら、出来たので使っている。



 私は体重をかけないように馬乗りになり、お互いの顔をゆっくりと接近させる。

 私の目の前に、ンガ―ちゃんの首筋がある。

 ────美味しそうだわ



 かぷっ……。

 チュー、チュー。


「ぷはっ────」

 喉の渇きが癒される。
 でもまだ、足りないわね。

 …………。

 ……。

 隣には褐色の少女がいる。
 

 ────彼女も、美味しそうね。

 私は褐色少女の首筋に口を近づけて……。

 かぷっ!

 チュー、チュー。


「────ふぅ」


 私は満足して、自室へと戻る。
 
 まだ眠かったので、そのままベットに入り眠った。

 ……。

 …………。






 ────翌朝。


「────ふあっ」


 目覚めた私は、あくびをしながら伸びをする。

 なんだか今日は、体が軽いわ。
 昨日、思いっきり魔法を使ったので、それでスッキリしたのかしら?

 適度な運動は、健康を保つ秘訣である。
 これからも気晴らしに、魔法の練習をした方が良いかもしれないわね。

 私も随分と、身体が成長した。
 もう、魔法を使っても良いだろう。



 ……。 

 ────はっ!!

 私はここで、昨日のことを思い出す。

 顔から血が引いて行く。
 なんて事かしら。

 昨日のラシェールと魔法勝負の途中で、私は疲れて眠ってしまったのだ。

 それも、あいつに抱きかかえられながら────
 
 お姫様抱っこ!!




 思い出すと、顔が赤くなる。

 ────失態だわ!!

 あいつは暫らく、この城に滞在する予定なのに……。

 どんな顔で会えばいいのよ。

 ────もう!!


 
 私が真っ赤な顔で、テンパっていると──
 コンコンっ、コンコン!!

 部屋にノックの音が響いた。
 セレナが、起こしに来てくれたようだ。

 私はもう起きているけれど、彼女を部屋に招き入れる。
 
「────どうぞ」


 セレナにはいつも、朝の身支度を手伝って貰っている。
 入室を拒む理由などない。




「────邪魔するぞ」

 そう言って入ってきたのは、ルドル・ガリュードだった。


 ええっ!!

 あの、私────
 寝起きで、寝間着姿なんですけど……。

 そんな乙女の戸惑いを完全に無視して、あいつは遠慮も容赦もなく、まっすぐに私の側まで来た。 
 
 そして、私の事をじっくり観察する。



「────ふむ、どこにも異常はないか?」


 デリカシーの欠片もない男が、寝起きの美少女をまじまじと観察しながら、そんなことを聞いてきた。

 …………。

 ……ひょっとして、昨日私が勝負の途中で疲れて寝てしまったので、心配して様子を見に来たのかもしれない。


 きっと、そうだろう。
 私はそう思った。

 ────そうでなければ、ただの変態だ。



しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

のほほん異世界暮らし

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。 それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

魔力∞を魔力0と勘違いされて追放されました

紗南
ファンタジー
異世界に神の加護をもらって転生した。5歳で前世の記憶を取り戻して洗礼をしたら魔力が∞と記載されてた。異世界にはない記号のためか魔力0と判断され公爵家を追放される。 国2つ跨いだところで冒険者登録して成り上がっていくお話です 更新は1週間に1度くらいのペースになります。 何度か確認はしてますが誤字脱字があるかと思います。 自己満足作品ですので技量は全くありません。その辺り覚悟してお読みくださいm(*_ _)m

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります

真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」 婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。  そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。  脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。  王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

世界中にダンジョンが出来た。何故か俺の部屋にも出来た。

阿吽
ファンタジー
 クリスマスの夜……それは突然出現した。世界中あらゆる観光地に『扉』が現れる。それは荘厳で魅惑的で威圧的で……様々な恩恵を齎したそれは、かのファンタジー要素に欠かせない【ダンジョン】であった! ※カクヨムにて先行投稿中

2回目チート人生、まじですか

ゆめ
ファンタジー
☆☆☆☆☆ ある普通の田舎に住んでいる一之瀬 蒼涼はある日異世界に勇者として召喚された!!!しかもクラスで! わっは!!!テンプレ!!!! じゃない!!!!なんで〝また!?〟 実は蒼涼は前世にも1回勇者として全く同じ世界へと召喚されていたのだ。 その時はしっかり魔王退治? しましたよ!! でもね 辛かった!!チートあったけどいろんな意味で辛かった!大変だったんだぞ!! ということで2回目のチート人生。 勇者じゃなく自由に生きます?

転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。

ファンタジー
〈あらすじ〉 信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。 目が覚めると、そこは異世界!? あぁ、よくあるやつか。 食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに…… 面倒ごとは御免なんだが。 魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。 誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。 やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。

処理中です...