上 下
17 / 139
お嬢様は謙虚堅実!?

第9話 日記 B

しおりを挟む




 私達ライドロース家は、聖ガルドルム帝国の貴族だ。

 帝国貴族の子弟は、九歳から社交に参加することになっている。


 それまでに、身に付けておかなければいけないことが沢山ある。
 テーブルマナーやダンス、それに挨拶や社交術を覚えておかなければならない。

 私も複数の家庭教師を付けて貰って、勉強を開始している。
 

 ライドロース領内の貴族の子弟や、近隣の領地の同年代の子供達との交友も徐々に増えてきた。



 初めて同年代の貴族の子供と対面した時は、かなり緊張した。
 なにせ、前世が前世だ。

 上手く付き合えるだろうか……?




 ────だが、私のその心配は、杞憂に終わった。

 お爺様のお誕生日に、お城でパーティが開かれた。

 私はお父様とお母様に連れられて、お兄様と共にパーティに参加する。
 両親の後をついて回り、同年代の子がいたら前に出て挨拶をする。

 教えられた通りに、右手は胸に添えて、左手でスカートを摘まんで少し上げる。
 軽くお辞儀をしてから、お嬢様言葉で名を名乗る。

 一通り挨拶をして回り、その後は自然と同年代の子供が集まってお喋りになる。

 私の周りには、男女問わず人が集まってきた。
 労せずに人気者になった。

 前世とは大違いだ。

 





「────近隣の領地とは、昔から仲が良いからね。それに、フィリスは可愛いし物覚えも早いから、ここでは皆が好意的に接してくれる。────けれど……帝都に行けば、そうもいかないよ」

 ハロルド兄様から、忠告を受ける。


 どうやら、貴族の社交というのは、一筋縄ではいかないらしい。

 ライドロース家は領地は小さいが、北方地域では格式の高い家柄のようで、周辺の貴族から一目置かれ、尊重されている。

 ────けれど帝都では、様相が違ってくるのだという。




 辺境の田舎貴族というだけで中央の貴族からはバカにされ、敵視されてしまうらしい。

 
 不安で『行きたくないな』という気持ちと、『私はそれなりに美少女だし、優秀だから大丈夫だわ!』という楽観が、心の中でごちゃ混ぜになっている。

 ────複雑な気分ね。



 辺境伯の家の子は、中央から目を付けられない様に立ち回る必要がある。

 私は間違いなく、辺境伯の娘としてマークされるだろう。


 ────私は次の日からも、マナーのお稽古を頑張った。





 お城でのパーティーから数日後……。

 こん、こん────
 私の部屋の窓が、ノックされる。

 屋敷の庭に、氷竜のフィーちゃんがいた。


 どうやら遊びに来たようだ。

 この日は、お稽古の予定はない────


 私はフィーちゃんに乗って、遊びに出かけることにした。



しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

魔力∞を魔力0と勘違いされて追放されました

紗南
ファンタジー
異世界に神の加護をもらって転生した。5歳で前世の記憶を取り戻して洗礼をしたら魔力が∞と記載されてた。異世界にはない記号のためか魔力0と判断され公爵家を追放される。 国2つ跨いだところで冒険者登録して成り上がっていくお話です 更新は1週間に1度くらいのペースになります。 何度か確認はしてますが誤字脱字があるかと思います。 自己満足作品ですので技量は全くありません。その辺り覚悟してお読みくださいm(*_ _)m

お願いだから俺に構わないで下さい

大味貞世氏
ファンタジー
高校2年の9月。 17歳の誕生日に甲殻類アレルギーショックで死去してしまった燻木智哉。 高校1年から始まったハブりイジメが原因で自室に引き籠もるようになっていた彼は。 本来の明るい楽観的な性格を失い、自棄から自滅願望が芽生え。 折角貰った転生のチャンスを不意に捨て去り、転生ではなく自滅を望んだ。 それは出来ないと天使は言い、人間以外の道を示した。 これは転生後の彼の魂が辿る再生の物語。 有り触れた異世界で迎えた新たな第一歩。その姿は一匹の…

幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜

霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……? 生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。 これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。 (小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)

[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!

どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入! 舐めた奴らに、真実が牙を剥く! 何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ? しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない? 訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、 なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト! そして…わかってくる、この異世界の異常性。 出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。 主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。 相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。 ハーレム要素は、不明とします。 復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。 追記  2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。 8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。 2024/02/23 アルファポリスオンリーを解除しました。

お前じゃないと、追い出されたが最強に成りました。ざまぁ~見ろ(笑)

いくみ
ファンタジー
お前じゃないと、追い出されたので楽しく復讐させて貰いますね。実は転生者で今世紀では貴族出身、前世の記憶が在る、今まで能力を隠して居たがもう我慢しなくて良いな、開き直った男が楽しくパーティーメンバーに復讐していく物語。 --------- 掲載は不定期になります。 追記 「ざまぁ」までがかなり時間が掛かります。 お知らせ カクヨム様でも掲載中です。

ゆとりある生活を異世界で

コロ
ファンタジー
とある世界の皇国 公爵家の長男坊は 少しばかりの異能を持っていて、それを不思議に思いながらも健やかに成長していた… それなりに頑張って生きていた俺は48歳 なかなか楽しい人生だと満喫していたら 交通事故でアッサリ逝ってもた…orz そんな俺を何気に興味を持って見ていた神様の一柱が 『楽しませてくれた礼をあげるよ』 とボーナスとして異世界でもう一つの人生を歩ませてくれる事に… それもチートまでくれて♪ ありがたやありがたや チート?強力なのがあります→使うとは言ってない   ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 身体の状態(主に目)と相談しながら書くので遅筆になると思います 宜しくお付き合い下さい

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

処理中です...