お嬢様は謙虚堅実!? ~生まれながらにカリスマが限界突破していた少女と偽神に反逆する者達~

猫野 にくきゅう

文字の大きさ
上 下
14 / 157
お嬢様は謙虚堅実!?

第8話 竜の卵 A

しおりを挟む

 ~前回のあらすじ~
 
 三歳の私は、甘えん坊である。
 両親や兄に、容赦なく甘えている。

 甘えることが出来る間に、甘えておくというのが今の方針だ。


 前世では、誰にも甘えられなかった。

 ────その反動なのかもしれない。  


 しかし、メイドのセレナとは普通に接する。
 むしろ彼女に甘えるのは、気恥ずかしさを感じて苦手だった。




 そして私の心には、自信が芽生えてきていた。
 両親からも、周囲からも、愛されて育ったのだ。

 ────見た目も、愛らしい幼女の姿をしている。

 これで、いつまでも卑屈でいる方が難しいだろう。
 

 そんな私の部屋には、卵がある。
 

 直径一メートルくらいの、大きな卵だ。

 ある日突然、部屋の中に置いてあった。
 誰がいつ、置いたのかは分からない。


 …………。

 ……。

 気が付けば忽然と、巨大な卵が部屋に存在していた。

 第一発見者は、勿論、私だ。
 私はタマゴを見つけると、パシパシと叩いてみた。

 ────頑丈だ。

 ビクともしない。


 もう少し、強く叩いてみましょう。
 私はそう思い、玩具の木の剣を装備した。

 お兄様のおさがりの、子供用の木刀である。

 私が剣を振りかぶり卵を攻撃しようとすると、メイドのセレナが部屋に入ってきた。


「お嬢様! おさがり下さい!!」

 私の蛮行を目撃したセレナが慌てて、私を抱きかかえて、謎の卵から引き離す。




 ……。

 冷静に考えると、正体不明の卵に攻撃を加えるなど、愚か者の所業であった。

 とっても賢い私にしては、あり得ないような迂闊な行動だ。

 
 引き離してくれて、ありがとう。 
 ────ナイスよ、セレナ!





 部屋に謎の卵が出現してから私は、両親の部屋で寝泊まりすることになった。


 あの卵って、なんなのかしら?

 『────あれは、竜の卵よ』


 私の疑問に、風の妖精のベルが答えてくれる。
 
 ……竜?

「竜って、あの竜────?」

 竜といえば、吸血鬼と並ぶヤコムーンの敵……。

 ヤコムーン教に関して、私はセレナから色々と話を聞いて知識を広げている。

 神ヤコムーンが自身の敵として名指ししているのが、『ドラゴン』と『吸血鬼』だ。


 そのドラゴンの卵が、なんで私の部屋に────?

 ……。

 …………。

 そういえば私も、『神の敵』だった。
 天使の群れに襲われたのだから、そういうことなのだろう。

 ひょっとして同じ神の敵同士、私にシンパシーを感じたのかしら? 


 『────ん? そうね。あんたのこと、気に入ったんじゃないの、あの子。────良かったじゃない、竜のパートナーになれるなんて、滅多にないことよ』

 私の推理が当たっていたようだ。

 この世界では、魔物と従魔契約を結び、使い魔とする人もいる。

 ……でも。

「────ええっ、困るわ!」


 私は困った。


 
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

ウルティメイド〜クビになった『元』究極メイドは、素材があれば何でも作れるクラフト系スキルで商売をして生計を立てていく〜

西館亮太
ファンタジー
「お前は今日でクビだ。」 主に突然そう宣告された究極と称されるメイドの『アミナ』。 生まれてこの方、主人の世話しかした事の無かった彼女はクビを言い渡された後、自分を陥れたメイドに魔物の巣食う島に転送されてしまう。 その大陸は、街の外に出れば魔物に襲われる危険性を伴う非常に危険な土地だった。 だがそのまま死ぬ訳にもいかず、彼女は己の必要のないスキルだと思い込んでいた、素材と知識とイメージがあればどんな物でも作れる『究極創造』を使い、『物作り屋』として冒険者や街の住人相手に商売することにした。 しかし街に到着するなり、外の世界を知らない彼女のコミュ障が露呈したり、意外と知らない事もあったりと、悩みながら自身は究極なんかでは無かったと自覚する。 そこから始まる、依頼者達とのいざこざや、素材収集の中で起こる騒動に彼女は次々と巻き込まれていく事になる。 これは、彼女が本当の究極になるまでのお話である。 ※かなり冗長です。 説明口調も多いのでそれを加味した上でお楽しみ頂けたら幸いです

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第三章フェレスト王国エルフ編

転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。

ファンタジー
〈あらすじ〉 信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。 目が覚めると、そこは異世界!? あぁ、よくあるやつか。 食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに…… 面倒ごとは御免なんだが。 魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。 誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。 やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

魔力∞を魔力0と勘違いされて追放されました

紗南
ファンタジー
異世界に神の加護をもらって転生した。5歳で前世の記憶を取り戻して洗礼をしたら魔力が∞と記載されてた。異世界にはない記号のためか魔力0と判断され公爵家を追放される。 国2つ跨いだところで冒険者登録して成り上がっていくお話です 更新は1週間に1度くらいのペースになります。 何度か確認はしてますが誤字脱字があるかと思います。 自己満足作品ですので技量は全くありません。その辺り覚悟してお読みくださいm(*_ _)m

処理中です...