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ゴブリンの巣穴

第67話 ステータス A

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 僕はゲーム世界にログインして、ステータスをチェックする。

 MPが完全に回復しているのを確認してから、ボーナスポイントの割り振りを考える。

 
 第一候補は──
 やはり『膂力』だろう。

 しかし、『俊敏』も捨てがたい……。

 今までは気にしなかったが、『運』という要素も上げた方が良いように思うし、相対的に低くなってきた『命中』も気になる。


 『命中』の数字は55だ。
 それで、今のところ不便はない。

 ない、が──
 このままで、良いのだろうか?

 どうなんだろう?
 ……悩む。



 そんなことを考えていると、心愛さんが目を覚ましたようで、僕の部屋に入ってきた。

「おっはよー、ジローちゃん!」

「おはようございます。ココアさん」



 僕たちは挨拶を交わし、ステータスの割り振りについて話し合う。

 心愛さんは冒険者のレバルが12で、僧侶のレベルが10になり、ボーナスポイントが、20溜まっているらしい。
 
 心愛さんの場合、どこにポイントを振ればベストなんだろう。


 ヒーラーだから、『魔力』かな────?

 『体力』に振って、HPを確保した方が良いのか?

 それとも、特技やスキルを習得すべきか……?



 僕はそんな風に考えていたが、心愛さんは迷わず────

「やっぱ、『魅力』っしょ? これっきゃ、ないよね!」


 同意を、求められた……。


 ……。

 う~ん、魅力かぁ……。


 僕が言うのも、なんだが──
 正直それは、後回しで良い要素だと思う。

 僕はゲームを始めたばかりの頃、『魅力』に100ポイント突っ込んで、後悔した。────そんな苦い経験がある。


 心愛さんに、同じ思いはさせたくない。

 そうだな……。
 僕は遠回しに、反対することにした。

「ココアさんは、今でも十分に魅力的ですよ」


 これで、思い止まってくれれば、いいのだが……。

「えー? ジローちゃん、ひょっとして、ウチの事、口説いてんの~~? ヤダー! そんな真剣な顔して、褒められると、なんか照れる~~!!」


 勘違いされた。
 口説いている訳ではない。

 ナンパ野郎だと、思われてしまっただろうか?

 ────違うんだ。
 僕はただ、『心愛さんの魅力は、十分高いですよ』と、言いたかっただけで……。

 何とか誤解を解こうと、思考を巡らせるうちに、良い考えを思いつく。


「あの、ココアさん……ボーナスポイントを使う前に、情報屋に行って、ステータスについて詳しい話を聞きませんか?」


 ステータスの数字は、僕も前から気になっていた。

 数字が大きい方が、当然、良いのだろうが──
 無制限に、身体能力が強化されていく訳では無いだろう。


 ゲームをプレイする中で、なんとなく、そんな感じを掴んでいる。

 例えば、『俊敏』の数字を上げまくっても、バトル漫画のキャラみたいに、目にもとまらぬスピードで、消えるように移動するなんて、出来るとは思えない……。

 それが出来るのは、『特技』の『縮地』だ。


 
 やはり、ポイントは、特技やスキルの習得に使った方が良いのだろうか?


 でも僕の場合、特技は戦闘中に覚えることが多いんだよなぁ。

 ────と、なると、効果は限定的でも、身体能力を強化すべきか?


 身体能力を強化するにしても、どの程度、数字を割り振るのがコストパフォーマンスが良いのか、知っておきたい。




 という訳で────
 僕たちは冒険者ギルドにある、情報屋に向かった。
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