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コボルトの谷

第37話 VSコボルトキング B

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 ……くそっ。

 …………強すぎるだろ、コイツ。


 スライム・キングよりも、難易度が高くなってる────?

 二つ目の迷宮だからか……?


 いや、スライム・キングは、巨体な上に動きが遅かった。
 
 強力な遠距離攻撃手段のある僕にとって、相性のいい相手だったんだ。




 ダークショット抜きでこのゲームを攻略しようと思えば、初級ダンジョン攻略に半年以上はかかるんじゃないか────?

 ボスの強さを考慮すれば、そのくらいの難易度だと思う。
 



 コボルト・キングは強いくせに、狡猾で慎重だ。

 こっちが下手に動けば、その瞬間──
 動かした部位は、敵の攻撃で切り裂かれることになる……。


 僕は倒れたまま、身動きが取れない────

 じっくりとこちらを観察し、その事を確認したコボルト・キングは止めを刺そうと、振り上げた右腕を振り下ろす。




 敵が止めを刺そうとした、そのタイミングで……。

 僕はスロウを発動した。

 

 時が止まったかのような世界。


 あれだけ速かった、コボルト・キングの動きもゆっくりだ。

 しかし、この世界で、敵の攻撃を避けることは出来ない。


 立ち上がって移動するまで、スロウを使い続けるだけの魔力は無い。
 
 それに、身体が重い────

 僕の身体能力では、そもそも、それだけ動くのは不可能だ。


 
 コボルト・キングの右腕が、ゆっくりとだが振り下ろされてくる。
 

 その攻撃を受ければ、僕は死ぬ……。

 僕の体は、動かない────






 僕は魔力を消費して、空中にダークショットの弾を作り出すことにした。


 自分とコボルト・キングの間に、魔法の銃弾を具現化する。

 いつもは左手に装備した魔導士の指輪の近くで創る弾を、離れた場所で作り上げる……。

 時間はかかったが、何とか製造できた。



 
 用意した弾は、散弾が二つ────

 二発を立て続けに、コボルト・キングの巨体に向けて撃ち込む。



 敵は攻撃動作に入っている。

 いくらなんでも、これを避けるのは無理だろう。



 僕はスロウを解除した。


 ────ドウッッッ!!!!


 二発同時に放たれた散弾は、コボルト・キングの身体を捉えた。

 回避は不可能────


 まき散らされた弾丸の欠片は、その肉体をズタボロにする。


「ぐごぉがっぁぁっぁあっぁぁぁぁ!!!!!1」




 ダークショットの散弾を、その身で受けたコボルト・キングは────


 ドサッ!

 後に吹き飛んで、地面に倒れた。



 けれど、まだ死んではいなかった。


 ────がばっ!!

 コボルト・キングは勢いよく起き上がると、僕から距離を取る。


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