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コボルトの谷

第33話 NPC疑惑 B

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「えっと、その……君は仲間は居るのかな? 冒険者ギルドで募集すれば、仲間を雇えるよ。何人かは応募してくるから、その中から選ぶといい」

「あっ、はい……」


 僕は事情があって、ギルドで募集しても仲間は集まらないのだが……。

 その辺りの込み入った事情を、説明するだけのコミュニケーション能力が、僕にはない……。

 だからこうして、無難な受け答えに終始している。

 そんな感じで僕たちが喋っていると、彼の仲間のプレイヤーが割って入る。



「…………なぁ、こいつ……本当にプレイヤーか? なんかNPCのさ、バグかなんかじゃねーの? ────ちょっと、攻撃してみよーぜ」

 いきなり何を言い出すんだ、コイツは────?


「いや、待て!! NPCを殺害してしまえば、指名手配されるだろ! 取り返しのつかないことになるぞ。────もっと慎重に行動してくれ」

「────あっ、ああ! そうだな。────悪い悪い、つい、な」


 『良い人』の仲間の『迂闊な男』は、プレイヤーがNPCを殺害して指名手配されたニュースを忘れていたようだ。

 ────馬鹿な奴め。

「気を付けてくれよ。ほんと────あっ、えっと、ごめんね。仲間が変なこと言って……」

「あっ、はい……」


 馬鹿から馬鹿にされるのは、しょっちゅうだ。

 いちいち怒っていては、身が持たない。


 それに、怒るほどの悪口でもない。



「……本当にNPC、なのか? いや、それにしては……う~ん。ま、まあ、その、邪魔して悪かったね。────僕たちは、もう行かなきゃ。それじゃあ、またね」

 『良い人』はそう言うと、冒険者ギルドの方へと歩いて行った。


「あっ、はい……」

 僕はちゃんと返事をしてから、村の外に出た。

 




 ────思わぬアクシデントがあった。

 いつもは他のプレイヤーと鉢合わせしない様に、細心の注意を払い行動しているのだが、今日は運悪く、出合い頭に遭遇してしまったのだ。


 あの曲がり角……。
 あそこはデッドゾーンだな。

 
 今度からは、もっと気を付けよう。

 プレイヤーとの会話は、気疲れするからな。



 ……。
 
 だが、見知らぬ他人と、それなりに会話のキャッチボールが出来た。

 冷泉とも、かなり話せるようになっている。


 ────友達作りの秘訣の一つ。
 共通の趣味があれば、仲良くなりやすいというのは本当だな。


 このゲームをプレイしたおかげで、僕の対人スキルもかなり上昇している気がするぞ────

 ゲームをしたことで得ることが出来た、思わぬ副産物だ。

 僕はちょっとした成長を実感しながら、コボルトの谷へと向かった。




 *************************

 名前    タナカ ジロウ           
 
 職業      冒険者Lv30 魔法使いLv25                       
 戦闘タイプ     特質系 時空間能力者
 魔力属性        闇  
 

 最大HP      140/140
 最大MP      670/670

 膂力         33
 体力        130
 魔力        830
 俊敏         76
 命中         55

 精神力       125
 運          70
 魅力        115       


 装備
 旅人の服 旅人の靴 旅人のマント 冒険者の鎧 冒険者の兜 戦士の盾 魔導士の指輪 勇者のネックレス 戦士の短剣

 スキル
 魔力操作 魔力属性変化 魔力具現化 魔力放出

 魔法
 なし

 特技
 ダークショット スロウ ワープ 回復力上昇

 所持金
 金貨22枚 

 ボーナスポイント
        0  

 *************************

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