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スライムの森
第14話 攻略開始 A
しおりを挟む僕は冒険者ギルドの情報屋から、情報を仕入れた。
ダンジョン攻略に必要で有益な情報を手に入れたが、初歩的なミスを犯してしまう。
予め値段を聞かずに、情報を聞いてしまったのだ。
情報屋の色香に惑わされ、失念してしまっていた。
彼女が僕に対して好意的だったのは、僕がステータスの『魅力』を100上昇させた効果によるものだと思っていた。
だが、ひょっとすると、お姉さんが僕を油断させて大金をせしめる為の、戦略だったのかもしれない。
……そうだよな。
金貨五十枚は高い気がする。
もう少し、安くならないだろうか────?
……値切ってみるか?
僕がそう考えていると、彼女の方から水を向けてきた。
「情報料は金貨五十枚、と言いたいところだけど、……君は私好みのいい男だから、ちょっとくらい、オマケしてあげても良いわ」
おおっ!!
オマケしてくれるらしい。
「────本当ですか? 助かります!」
僕は馬鹿正直に、そう言った。
情報屋のお姉さんは、呆れたようにちょっと笑い、僕の頭をなでる。
「もう、そんな素直にお礼を言っちゃダメよ。────もっと慎重に交渉しなさい。でもまあ、君が可愛いというのは本当だから、オマケしてあげるわ」
お姉さんはそう言って、僕の情報を聞き出した。
僕の話はスズヨウさんから出回っているようで、謎の実力を持つ勇者候補として、NPCの間で、密かに注目されているらしい。
お姉さんは僕の攻撃手段、ダークショットについて知りたいようだった。
「それじゃあ、君の情報と相殺して、料金は────金貨五枚ね」
大分、安くなった。
────良かった。
それと引き換えに、色々とお姉さんに情報を搾り取られてしまったが、この場合は仕方あるまい。
僕は部屋を出て、冒険者ギルドの一階へと移動する。
ギルドの一回の掲示板に張ってある、仲間募集の張り紙を見る。
僕以外にも、十人ほどの『勇者候補』が、この村で仲間を募集していた。
初心者が最初に滞在する『村』は、複数ある。
どの村に配置されても、攻略するダンジョンは同じくらいの難易度らしい。
僕はこの村の、他のプレイヤーの張り紙を見る。
職業は剣士とか、槍使いが多い。
プレイヤーが集まって、パーティを組んでいる所もある。
僕には到底、真似できない。
自分の張り紙も見てみる。
張り紙に記載されている情報は、職業と、魔法使いの場合は所持魔法だけだ。
記載される情報は不正防止の為だろう、自分で書くのではなく、必要事項が自動で入力される仕様になっている。
その為、僕の情報は『魔法使い』と『所持魔法無し』の二項目だけになる。
一応、応募者の欄を確認してみる。
……。
…………。
────空白だった。
僕の仲間になりたい人は、誰もいない。
僕の仲間は彼だけか……。
「スズヨウさん、迎えに来ました。────行きますよ」
冒険者ギルドに屯していたスズヨウさんは、嫌そうな顔で僕を見る。
周りにいた冒険者仲間の人達から、揶揄われながらこっちに来る。
「チッ、もう来んなっつーの、クソガキ……」
「────さあ、今日も頑張って、魔物を倒しましょう」
何もかもが嚙み合わない僕たちは、二人揃って冒険者ギルドを出た。
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