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追放された聖女の物語
第73話 悪魔へと至る道程 6 B
しおりを挟むチャルズコートの方針として、聖女暗殺は『リーズラグドの王子アレス』の犯行として、公表することに決まった。
これで、周辺国を巻き込んだ、大戦争へと突入するだろう。
そして、戦争になれば動員兵力の多い、チャルズコートが必ず勝つ。
これであの阿呆も、終わりよ。
「うふっ、うふふふふっ……」
「――なんや、ご機嫌やなぁ、聖女はん」
私が上機嫌で笑っていると、ベルゼブブの奴が声をかけてきた。
いつの間に入ってきたのかしら?
この悪魔……。
どうせまた、『戦力』の補給がしたくて来たのでしょう?
まったく、しょうがないわね。
こいつもすっかり、わたしの身体に夢中なのよ。
沢山の男がこの身体に群がる、奪い合いをしている。
私が良い気分になっていると――
ベルゼブブの奴が、とんでもない爆弾発言をした。
「ん~、まあ、それもあるけどな。ちょっと忠告や。聖女はん、あんさん――あの王子を甘く見過ぎやと思うで、――あの王子はんは、あんさんと同じ『転生者』やのに、……油断しとると、足元すくわれまっせ」
――は?
「な、なんですって? あ、あの阿呆が、転生者!!」
「そうや、そやから、油断してると、してやられまっせ。まあ、向こうも意中の偽聖女はんと懇ろになれて、幸せいっぱいで油断しとりますさかい、付け入る隙はありますよって、やるなら――今でっせ」
あいつは、転生者だったのか……。
どうりで、私の思い通りにならないわけだ。
そんなカラクリが、あったなんて……。
でも、あいつの周りには、偽聖女――
あの死神が、いるのでしょう?
奴に手出しは――
「あの怖~い死神はんは、とっくに偽聖女はんの身体から、離れてはりますからな。今はただの小娘でっせ」
なんと!!
……あの恐ろしい死神は、いない。
だったら――
私は今ある『戦力』に、阿呆王子と偽聖女を攻撃するように命じた。
ハエの群れは、目標に狙いを定めて、姿を消す。
あの子たちに取り付かれら、対象の肉は腐り爛れ落ちる。
そういう『呪い』なのだ。
あの阿呆王子が、偽聖女を選んだですって?
そして、今は幸せ――?
あいつが、あいつらが幸せになるなんて、絶対に許さない!!
思い知るがいい!
この私の、悪魔の力!!
悪魔ベルゼブブと作り上げた、呪いの力を!!!!!!
「ふひゃッ、ふひひっ。うひゃひゃあひゃ!!!! ――んがっ! ぁっぁあぁぁああああああアアアアアアアアアアアアアぁっぁあッッっ!!!!!!!!」
私が気分よく笑っていると、顔面に何かがぶつかって来た。
そいつらは、笑っていた私の口の中にも入って、顔を腐らせ爛れさせる。
「ぐぁぁあああああっぁっぁぁあああぁあ!!!!!!!」
激痛が――
私の顔を覆い、全身を駆ける。
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