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冒険者編
第92話 反転の土魔法 B
しおりを挟む敵の攻撃動作が鈍る。
闇雲に手を出してこなくなった。
俺は敵との距離を詰めて、カニの腹を剣で切り裂く。
ズシャっっ!!!
カニが五本の足で、同時攻撃してくる。
それを避けて、剣で斬る。
────ズバッ!!
カニが足で攻撃するたびに、俺はそれを切断する。
敵の足が三本になると、もう攻撃手段がなくなったようだ。
最後は、こっちに向かって倒れてきた。
その攻撃を、後ずさって避ける。
文字通り、手も足も出なくなったロック・クラブの上に乗り、その体を切り裂き、魔石を取り出す。
────敵を倒した。
俺がロック・クラブを倒しきった頃には──
周囲の敵は、ほぼ討伐されていた。
拠点からリリーシアたちも出てきて、雑魚の掃討に入っている。
俺達『白銀の竜の翼』は、モンスタースタンピード初戦を、完全勝利で飾った。
「こっちの方には、来ないか……」
俺は物見櫓に入り、周囲を見渡してそう呟く。
今回のモンスタースタンピードは、町の北西の森で発生した。
モンスターは、人口の多い壁外の中心部で暴れている。
人口密度の低いこの辺りには、なかなかやって来ないようだ。
視力を魔法で強化して、北西方向と町の中心の様子を見る。
町の北西の拠点では、まだ散発的に戦いが起こっている。
────向こうは大変だ。
…………。
町の中央からは、土煙が舞っている。
現在でも、激しい戦闘が行われていることが窺えた。
……。
……いや、激しすぎないか?
あんな、砲撃が行われたような──
土埃が舞うなんて……。
…………。
……。
ちょっと、行ってみるか。
俺はドドラに乗って、単独で町の中央へ行ってみることにした。
この拠点の周辺は、戦闘が収束している。
今は魔石集めと、魔物素材の回収で大忙しだ。
教会のガキどもも、やれる範囲で手伝わせている。
魔物素材の解体作業を、覚えさせる狙いもある。
手に職が付けば、将来役に立つこともあるだろう。
こいつらには働きに応じて、賃金を支払ってやることになっている。
リコリンがお姉さん風を吹かせて、張り切って指導しているのが微笑ましい。
ヨイサクとボルブブの二人も、素材回収でこき使っている。
奴らは勿論、タダ働きだ。
敵を大量に引き連れてきて、戦闘ではなんの貢献もしていない。
────命を助けてやった分も上乗せして、きっちり働いて貰う。
俺は出かける前に、土魔法で石造りの貯水池をいくつか作り、ウォーター・クリエイトで水を出して溜めておいた。
解体と回収作業終了後に、汚れを落とせるようにしておく。
スラ太郎だけでは、時間がかかるだろう。
軽く水洗いできるように、用意しておいてやった。
この辺りの細やかな気配りが、俺がパーティメンバーから慕われる要因だろう。
俺はドドラに騎乗し、手綱を握る。
壁外地区の中心へと向かった。
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