上 下
122 / 125
冒険者編

第72話 共闘交渉 B

しおりを挟む



 翌日の天気は曇りで、小雨が降ったり止んだりしている。
 微妙な天気だ。

 その日は朝から、カエルのステーキ中心の食事を取る。
 腐る前に、食べれるだけ食べよう。

 
 俺たちが交代で食事を取っていると、物見櫓のアカネルから声がかかった。

「ちょっと、なんか客が来てるわよ!! どうすんの?」

 ──客が来たのであれば、俺が対応しよう。

 拠点の外周で待っている、客の応対に出た。

 



 外に居たのは、十人規模の冒険者パーティだった。

 相手のリーダーの名前は『リカンド』という名の男で、年は二十代中ごろ。
 パーティの名前は『青きサイの角』──
 シルバーランクのチームで、この辺りで牛狩りを専門にしている。


 用向きは『ミノタウロスの討伐任務を、協力してやらないか?』

 ──といったものだった。



 冒険者ギルドは、この辺り一帯を危険区域に指定しているが、同時にミノタウロスに対して、特別任務で討伐を依頼してもいる。

 ようは、自信の無い奴は逃げろ、ある奴は狩ってこい。
 ──これがギルドのスタンスだ。


 そして目の前の冒険者チームは、自信があってここに来ている。
 戦闘能力はピンキリだが、結構強い奴もいる。

 こんな所まで来れているんだ。
 当然か──

 戦力としては申し分ないだろう。
 しかし、共闘か──

 迷うな……。


 討伐任務だけを考えれば、一緒にやった方が良いに決まっているが、ギルド貢献度や名声を考えれば単独の方が良い。

「──で、どう戦う気だ? 作戦は?」

 俺はとりあえず、相手の考えを聞いておくことにした。

「ああ、俺たちの方は、近接攻撃三に防御が四、残りの三人は弓だ。俺たちの拠点にはまだ罠師や雑用はいるが、魔法使いが居なくてな──そっちには居るんだろ? 見てたぜ、昨日の凄いの──俺達で敵を誘い出すから、あれで攻撃して欲しい」


 どうやら昨日の戦いは、荒野エリアに拠点を構える冒険者たちに見られていたらしい。まあ、当然と言えば当然か──

 見張りがいれば、あの戦闘に気付かないわけがない。


 それで、相手チームの出してきた条件だが──
 報酬は折半で良いらしい。

 シルバーランクが下位のアイアンランクに共闘を持ちかけて、報酬は対等で良いという。──悪くない条件だ。

 単独チームでやりたいという思いはあるが、獲物は何もミノタウロスだけじゃない。暫くはここにいるつもりだ。

 ご近所付き合いも大事になるだろう。


 ……。
 ──ここは誘いに乗っておくか。


「ああ、それで構わない。それで、誘い込む場所は──ん?」

 俺が申し出を承諾して、もう少し話を詰めようとした時に、『危険感知』が最大限の警戒警報を鳴らしてきた。





 俺は反射的に、広域探知を半径一キロに放ち、同時に空間探知を周囲に張り巡らせる。それから指輪を中継器にして『通信』で仲間に危険を知らせる。

 広域探知の結果、五百メートル先に魔力反応の空白地帯を見つける。

「──何か来るぞ!!」

 俺は声を上げて『青きサイの角』のメンバーにも、警戒を促す。
 腰に差してある剣を、鞘から抜いて装備する。

 俺の言動に、リカンド達に戸惑いと緊張が走る。
 
 恐らく、隠密結界を張った敵が接近してきている。
 空間探知に、敵の隠密結界が接触する。

 早すぎる!!
 もう、ここまで来たのか──

 次の瞬間には、青のサイの角のメンバー二人の首が宙を舞い、二つの腕と一つの足が空を飛んでいた。


 敵の隠密結界が破れて、その正体が現れる。

 五メートルほどの巨大な半牛半人のモンスターが、大きな斧を装備して、風の魔法を纏い、まっすぐに俺に向かって突っ込んでくる。

 モンスターの名前はミノタウロス。
 戦闘能力は4600。

 暴れ大牛の上位種で、魔法を操る特殊進化個体──
 冒険者ギルドが、退避勧告を出すほどの危険生物。
 
 そいつが真っ先に、俺を殺そうとしていた。






*************************

名前  ユージ

HP 243/243  MP 296/298  FP 269/269

冒険者パーティ 白銀の竜の翼  アイアンランク
ギルド貢献度  2596     


幸運力 
058~-011×2

スキル
空間移動 危険感知 ウォーター・クリエイト 通信

所持品
魔石値   0036222
回復薬     8個
避妊薬     6個

所有奴隷
アカネル モミジリ イルギット サリシア ナーズ ラズ リズ レイレル
リリーシア ミランダ レミアナ トールル リコリン

預金 金貨100枚 パーティ資産 金貨2145枚  所持金 金貨50枚

才能
大魔導士の卵 戦神の欠片 強欲な器

職業  
勇者Lv24 魔法戦士Lv08
戦士Lv37 剣士Lv36 武闘家Lv33 弓使いLv28 槍使いLv30 盾使いLv10
教官Lv23 指揮官Lv17
魔法使いLv41 魔術師Lv40 魔物使いLv30
冒険者Lv27 旅人Lv28 探索者Lv32 斥候Lv29 
隠密Lv35 暗殺者Lv37
遊び人Lv44 ギャンブラーLv40 ハーレムマスターLv47
山賊狩りLv10 賞金稼ぎLv15
薬師Lv31 錬金術師Lv38 鍛冶師Lv36
農夫Lv15 薬草採取者Lv28
*************************
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。

狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。 街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。 彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

貞操逆転世界に無職20歳男で転生したので自由に生きます!

やまいし
ファンタジー
自分が書きたいことを詰めこみました。掲示板あり 目覚めると20歳無職だった主人公。 転生したのは男女の貞操観念が逆転&男女比が1:100の可笑しな世界だった。 ”好きなことをしよう”と思ったは良いものの無一文。 これではまともな生活ができない。 ――そうだ!えちえち自撮りでお金を稼ごう! こうして彼の転生生活が幕を開けた。

錬金術師が不遇なのってお前らだけの常識じゃん。

いいたか
ファンタジー
小説家になろうにて130万PVを達成! この世界『アレスディア』には天職と呼ばれる物がある。 戦闘に秀でていて他を寄せ付けない程の力を持つ剣士や戦士などの戦闘系の天職や、鑑定士や聖女など様々な助けを担ってくれる補助系の天職、様々な天職の中にはこの『アストレア王国』をはじめ、いくつもの国では不遇とされ虐げられてきた鍛冶師や錬金術師などと言った生産系天職がある。 これは、そんな『アストレア王国』で不遇な天職を賜ってしまった違う世界『地球』の前世の記憶を蘇らせてしまった一人の少年の物語である。 彼の行く先は天国か?それとも...? 誤字報告は訂正後削除させていただきます。ありがとうございます。 小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで連載中! 現在アルファポリス版は5話まで改稿中です。

男女比の狂った世界で愛を振りまく

キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。 その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。 直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。 生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。 デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。 本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。 ※カクヨムにも掲載中の作品です。

スマートシステムで異世界革命

小川悟
ファンタジー
/// 毎日19時に投稿する予定です。 /// ★☆★ システム開発の天才!異世界転移して魔法陣構築で生産チート! ★☆★ 新道亘《シンドウアタル》は、自分でも気が付かないうちにボッチ人生を歩み始めていた。 それならボッチ卒業の為に、現実世界のしがらみを全て捨て、新たな人生を歩もうとしたら、異世界女神と事故で現実世界のすべてを捨て、やり直すことになってしまった。 異世界に行くために、新たなスキルを神々と作ったら、とんでもなく生産チートなスキルが出来上がる。 スマフォのような便利なスキルで異世界に生産革命を起こします! 序章(全5話)異世界転移までの神々とのお話しです 第1章(全12話+1話)転生した場所での検証と訓練 第2章(全13話+1話)滞在先の街と出会い 第3章(全44話+4話)遺産活用と結婚 第4章(全17話)ダンジョン探索 第5章(執筆中)公的ギルド? ※第3章以降は少し内容が過激になってきます。 上記はあくまで予定です。 カクヨムでも投稿しています。

処理中です...