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冒険者編
第62話 大商会の孫娘 1 A
しおりを挟む俺は通行料の金貨七枚を、門番に支払う。
そして、北の城門を通り抜けた。
イーステッドの街への通行料は、平民で一人金貨三枚、自由民は一人金貨十枚必要になる。冒険者ギルドのアイアンランクの冒険者は、割引されて一人金貨七枚だ。
入場料が日本円で、一人七万円。
かなり高い。
そのため金に余裕のない行商人は、街に入らず外周をまわり、迂回するそうだ。
金に余裕があるとはいえ、入るだけで金貨七枚。
全員で来ると出費がかさむので、俺一人で来ることにした。
他のメンバーは、冒険者ギルド系列の宿屋に部屋を取って泊まらせている。
馬車の駐車と管理を任せられる宿なので、そこそこ値は張るが、仕方ない。
俺抜きで野宿をさせるのは、まだ心配だった。
門を通って街に入った俺は、しばらくそのまま歩いて、乗合馬車の停留所まで移動する。
イーステッドのこの辺りの街並みは、壁外地区の中心部と大差ない。
平民が多く住む地域。
この街の南部には城があって、その付近が貴族街だ。
広い敷地に、豪華な屋敷が建っている。
街の中央と、西から東は商人のエリアだ。
旅人の通行量も多く、大通りの左右には商店や宿屋が建ち並んでいる。
北側には平民が多く住み、西から中央と東には商人が、南には貴族とお抱えの兵士が、それぞれ暮らしている。
住宅地から離れた壁付近には農園が広がり、農民の住居が点在する。
俺の目的地は、街の中央に拠点を構える『デルフェイル商会』。
大陸南部発祥の大商会で、国を股に掛けて塩や砂糖などの調味料、胡椒をはじめとした香辛料の商いを行っている。
──というのが、事前に調べた商会の情報だ。
俺が出したメンバー募集広告。
その募集に何故か、その商会の会長の孫娘が応募してきた。
どういうつもりなのかは分からないが、面白そうなので、一度直接会って話を聞いてみることにした。
『冷やかし』や、『からかい』かもしれないが──
ただ、住所が壁内だったので、会いに行くにも通行料がいる。
そこで仲間と馬車は壁外で待たせ、俺一人で街の中に来たという訳だ。
乗合馬車に銀貨二枚を支払い、街の中央へ移動して、馬車の停車場所から徒歩二分の好立地にある巨大な店構えの建物に着く。
店に掲げられた看板には、デルフェイル商会の文字がある。
ここで間違いないだろう。
……俺の格好だと、追い出されるかもしれないな。
だがまあ、呼んだのはそっちだ。
俺は堂々と、店の中に入る。
入り口付近の警備兵にさり気無く道を塞がれたので、用向きを説明すると、裏口へ回って受付に話せと言われる。
──裏にも受付があるようだ。
どうやら表の入り口は、貴族や同じレベルの商会相手のものらしい。
俺は言われた通りに、裏から建物に入り受付に用向きを伝える。
それから五分くらいで、使用人が現れて応接室へと案内された。
使用人はドアをノックして扉を開け、俺が中に入るとドアを閉める。
部屋の中には、商談用のソファーとテーブル。
ソファーには、俺と同い年くらいの女の子が座っていた。
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