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冒険者編

第55話 キャンプ地の夜と、受付の待ち時間

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 イーステッド壁外地区の北部。

 魔物の襲撃もあるこの場所で、俺たちは拠点を構えて魔物狩りを行っている。
 ただ、女神の結界に近いこの場所に現れるのは、低レベルのモンスターがほとんどだ。

 モンスターよりもむしろ、盗賊や同業者の方が危険度は大きいかもしれない。



 そんな訳で、夜は警戒して交替で見張りをすることになっている。

 今の時間の当番は、俺とイルギットの二人だ。


 夜の闇の中、消えかかった焚火の炎に照らされたイルギットが、俺にしなだれかかってくる。

「ねえ、ユージ。寒いわ……少しの間、こうしていて良い?」

 コイツは普段、お堅いしっかり者のお姉さんキャラなのだが、二人きりになると甘えん坊キャラに豹変する。

 断る理由もないので、好きにさせておいた。



 俺とイルギットがイチャついていると、ナーズが起き上がってきた。
 
 起こしてしまったか?

 ──いや。

「トイレか?」

 俺が尋ねると、ナーズは首を振って否定する。

「んーん。私も抱っこして……」


 ナーズは年齢の割にしっかりしているが、まだまだ甘えたい年頃だ。
 
「──いいぞ、こっちに来い」

「はいっ、やったあ!!」


 イルギットは二人きりの時間を邪魔されて不満そうだが────

 ナーズの笑顔の為だ。

 我慢して貰った。




 翌日────

 俺たちは仲間募集の結果の確認に、冒険者ギルドに来ている。

 ギルドの近くに馬車を停めて、スラ太郎とウル助とウル防を留守番に残し、メンバー募集結果の確認中だ。




 冒険者ギルドの、態度の悪い中年女性の受付に募集状況を確認する。

 受付は三名の募集があったと、こちらに告げた後──
 それ以上は何も言わずに、席を立ちカウンターの奥に入っていく。


 その三人がどんな奴なのか、まだ聞いていない。
 あの受付は情報を記した書類を取りに、奥の部屋に行っているのだろう。

 応募してきた相手方の情報を受け取るのに、紙の代金が追加で必要になる。

 俺は銀貨一枚を用意して、待つことにした。


 ……。
 中に入ったまま、態度と愛想の悪いBBAは戻ってこない。

 暇を持て余した俺が、モミジリとアカネルに悪戯をする。
 …………悪戯終了。

 ──まだ来ない。





「今日確認に来るのは、分かってたことだろ。──予め用意しておけよ。糞が……」

 中年受付の手際の悪さにムカついて待っていると、外にいるウル助とウル防の緊張が跳ね上がり、臨戦態勢になった反応がした。

 ──なにか、トラブルが起こっているようだ。


「──馬車の様子を見に行くぞ」

 俺はそう言うと、仲間と連れだって冒険者ギルドの外に出る。


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