79 / 95
冒険者編
第47話 小鬼族の集落 2 A
しおりを挟む
さて、食事も食べ終わった。
本日の宴の、メインイベントが始まろうとしている。
捕まえた山賊の処刑である。
俺達が食事をしていたのは、小鬼族の村の広場だ。
その広場の中央で、処刑は行われる。
山賊は柱のような太い木に、括られて放置されていた。
山賊の足元には、木の枝を乾燥させた薪が山盛りに置かれている。
小鬼族の族長が、キャンプファイヤーの焚火から火のついた枝を取り出して、山賊の方へと歩いていく。
そして、山賊の罪状を言い立ててから、足元の薪へと火をつける。
それと同時に、小鬼族たちの歓声が、広場に溢れかえった。
山賊という脅威が消え去った喜びの歓声と、自分たちを苦しめてきた山賊への罵声。
大盛り上がりだった。
これで、この小鬼族の村の、山賊事件は終わりを迎えた。
その夜は、小鬼族の村に泊まらせて貰うことになった。
今日の寝床は、ラズとリズが暮らしていた家だ。
全員が寝るには少し狭かったが、屋根のある所で横になれるだけありがたい。
俺は念のために回復薬を摂取して夜は寝ずに過ごす、明け方に他を起こしてから、少し眠ることにした。
俺が寝ずの番をしていると、レイレルが話があると言って声をかけてきた。
「……あの、ユージ。私のこと正式にパーティに入れて欲しいの……」
「ああ、いいぞ。こっちとしても助かるし、歓迎するよ」
「本当!! 良かった」
俺が彼女の申し出を承諾すると、心底ほっとしている。
レイレルと一緒に冒険者をしていた幼馴染の男の子は、山賊に殺されている。
彼女は、山賊から解放されても一人きりだ。
実家に帰ろうにも、家出同然で冒険者になったので、今更帰れない。
山賊のアジトを出発して、山道を登っている間は──
この先、どうやって生きていこうかと悩み続けていた。
そんな時に、俺の戦いぶりを見た。
ウォー・ウルフの群れとの戦闘だ。
群れのボスは進化個体で、しかも魔法を身に纏う特殊タイプだった。
あんなのはシルバーランクの冒険者だって、全滅覚悟で戦う相手だ。
あの魔物を見た瞬間に、自分はここで死ぬと思ったそうだ。
それをあんなに、あっさり倒した。
その時に、自分の身を俺に預けたいと思ったそうだ。
強いパーティは、正式メンバーを選りすぐる。
弱い奴や、女をパーティに加入させる目的は、弾避けや使い捨て、もしくは身体目当て──
強いパーティを避けて、弱小パーティに入った場合──
基本は、雑用任務。
そこでも、使い捨てに利用されたり、身体を要求される場合もある。
どうにも暗い未来しか想像できない。
「俺も身体目当てというか、エッチな目で見ることはあるぞ──」
そこは隠さずに正直に言う。
「ああ、それは、アカネル達に聞いてるから、なんとなく覚悟はしてる。見てもいいよ。──それに、男の子ってそういうものだって分かってるし……」
レイレルは顔を赤らめながら、そう言った。
だったら何も問題はない。
レイレルは、俺のパーティ『白銀の竜の翼』の正式なメンバーだ。
本日の宴の、メインイベントが始まろうとしている。
捕まえた山賊の処刑である。
俺達が食事をしていたのは、小鬼族の村の広場だ。
その広場の中央で、処刑は行われる。
山賊は柱のような太い木に、括られて放置されていた。
山賊の足元には、木の枝を乾燥させた薪が山盛りに置かれている。
小鬼族の族長が、キャンプファイヤーの焚火から火のついた枝を取り出して、山賊の方へと歩いていく。
そして、山賊の罪状を言い立ててから、足元の薪へと火をつける。
それと同時に、小鬼族たちの歓声が、広場に溢れかえった。
山賊という脅威が消え去った喜びの歓声と、自分たちを苦しめてきた山賊への罵声。
大盛り上がりだった。
これで、この小鬼族の村の、山賊事件は終わりを迎えた。
その夜は、小鬼族の村に泊まらせて貰うことになった。
今日の寝床は、ラズとリズが暮らしていた家だ。
全員が寝るには少し狭かったが、屋根のある所で横になれるだけありがたい。
俺は念のために回復薬を摂取して夜は寝ずに過ごす、明け方に他を起こしてから、少し眠ることにした。
俺が寝ずの番をしていると、レイレルが話があると言って声をかけてきた。
「……あの、ユージ。私のこと正式にパーティに入れて欲しいの……」
「ああ、いいぞ。こっちとしても助かるし、歓迎するよ」
「本当!! 良かった」
俺が彼女の申し出を承諾すると、心底ほっとしている。
レイレルと一緒に冒険者をしていた幼馴染の男の子は、山賊に殺されている。
彼女は、山賊から解放されても一人きりだ。
実家に帰ろうにも、家出同然で冒険者になったので、今更帰れない。
山賊のアジトを出発して、山道を登っている間は──
この先、どうやって生きていこうかと悩み続けていた。
そんな時に、俺の戦いぶりを見た。
ウォー・ウルフの群れとの戦闘だ。
群れのボスは進化個体で、しかも魔法を身に纏う特殊タイプだった。
あんなのはシルバーランクの冒険者だって、全滅覚悟で戦う相手だ。
あの魔物を見た瞬間に、自分はここで死ぬと思ったそうだ。
それをあんなに、あっさり倒した。
その時に、自分の身を俺に預けたいと思ったそうだ。
強いパーティは、正式メンバーを選りすぐる。
弱い奴や、女をパーティに加入させる目的は、弾避けや使い捨て、もしくは身体目当て──
強いパーティを避けて、弱小パーティに入った場合──
基本は、雑用任務。
そこでも、使い捨てに利用されたり、身体を要求される場合もある。
どうにも暗い未来しか想像できない。
「俺も身体目当てというか、エッチな目で見ることはあるぞ──」
そこは隠さずに正直に言う。
「ああ、それは、アカネル達に聞いてるから、なんとなく覚悟はしてる。見てもいいよ。──それに、男の子ってそういうものだって分かってるし……」
レイレルは顔を赤らめながら、そう言った。
だったら何も問題はない。
レイレルは、俺のパーティ『白銀の竜の翼』の正式なメンバーだ。
21
お気に入りに追加
107
あなたにおすすめの小説
性奴隷を飼ったのに
お小遣い月3万
ファンタジー
10年前に俺は日本から異世界に転移して来た。
異世界に転移して来たばかりの頃、辿り着いた冒険者ギルドで勇者認定されて、魔王を討伐したら家族の元に帰れるのかな、っと思って必死になって魔王を討伐したけど、日本には帰れなかった。
異世界に来てから10年の月日が流れてしまった。俺は魔王討伐の報酬として特別公爵になっていた。ちなみに領地も貰っている。
自分の領地では奴隷は禁止していた。
奴隷を売買している商人がいるというタレコミがあって、俺は出向いた。
そして1人の奴隷少女と出会った。
彼女は、お風呂にも入れられていなくて、道路に落ちている軍手のように汚かった。
彼女は幼いエルフだった。
それに魔力が使えないように処理されていた。
そんな彼女を故郷に帰すためにエルフの村へ連れて行った。
でもエルフの村は魔力が使えない少女を引き取ってくれなかった。それどころか魔力が無いエルフは処分する掟になっているらしい。
俺の所有物であるなら彼女は処分しない、と村長が言うから俺はエルフの女の子を飼うことになった。
孤児になった魔力も無いエルフの女の子。年齢は14歳。
エルフの女の子を見捨てるなんて出来なかった。だから、この世界で彼女が生きていけるように育成することに決めた。
※エルフの少女以外にもヒロインは登場する予定でございます。
※帰る場所を無くした女の子が、美しくて強い女性に成長する物語です。
ヒューマンテイム ~人間を奴隷化するスキルを使って、俺は王妃の体を手に入れる~
三浦裕
ファンタジー
【ヒューマンテイム】
人間を洗脳し、意のままに操るスキル。
非常に希少なスキルで、使い手は史上3人程度しか存在しない。
「ヒューマンテイムの力を使えば、俺はどんな人間だって意のままに操れる。あの美しい王妃に、ベッドで腰を振らせる事だって」
禁断のスキル【ヒューマンテイム】の力に目覚めた少年リュートは、その力を立身出世のために悪用する。
商人を操って富を得たり、
領主を操って権力を手にしたり、
貴族の女を操って、次々子を産ませたり。
リュートの最終目標は『王妃の胎に子種を仕込み、自らの子孫を王にする事』
王家に近づくためには、出世を重ねて国の英雄にまで上り詰める必要がある。
邪悪なスキルで王家乗っ取りを目指すリュートの、ダーク成り上がり譚!
男女比1対999の異世界は、思った以上に過酷で天国
てりやき
ファンタジー
『魔法が存在して、男女比が1対999という世界に転生しませんか? 男性が少ないから、モテモテですよ。もし即決なら特典として、転生者に大人気の回復スキルと収納スキルも付けちゃいますけど』
女性経験が無いまま迎えた三十歳の誕生日に、不慮の事故で死んでしまった主人公が、突然目の前に現れた女神様の提案で転生した異世界で、頑張って生きてくお話。
貞操逆転世界に無職20歳男で転生したので自由に生きます!
やまいし
ファンタジー
自分が書きたいことを詰めこみました。掲示板あり
目覚めると20歳無職だった主人公。
転生したのは男女の貞操観念が逆転&男女比が1:100の可笑しな世界だった。
”好きなことをしよう”と思ったは良いものの無一文。
これではまともな生活ができない。
――そうだ!えちえち自撮りでお金を稼ごう!
こうして彼の転生生活が幕を開けた。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
大好きな彼女を学校一のイケメンに寝取られた。そしたら陰キャの僕が突然モテ始めた件について
ねんごろ
恋愛
僕の大好きな彼女が寝取られた。学校一のイケメンに……
しかし、それはまだ始まりに過ぎなかったのだ。
NTRは始まりでしか、なかったのだ……
分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活
SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。
クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。
これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。
18禁NTR鬱ゲーの裏ボス最強悪役貴族に転生したのでスローライフを楽しんでいたら、ヒロイン達が奴隷としてやって来たので幸せにすることにした
田中又雄
ファンタジー
『異世界少女を歪ませたい』はエロゲー+MMORPGの要素も入った神ゲーであった。
しかし、NTR鬱ゲーであるためENDはいつも目を覆いたくなるものばかりであった。
そんなある日、裏ボスの悪役貴族として転生したわけだが...俺は悪役貴族として動く気はない。
そう思っていたのに、そこに奴隷として現れたのは今作のヒロイン達。
なので、酷い目にあってきた彼女達を精一杯愛し、幸せなトゥルーエンドに導くことに決めた。
あらすじを読んでいただきありがとうございます。
併せて、本作品についてはYouTubeで動画を投稿しております。
より、作品に没入できるようつくっているものですので、よければ見ていただければ幸いです!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる