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冒険者編

第41話 山賊が現れた 5 A

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 おいおい、マジかよ。

 山賊くらいは、なんとでもなるだろうと、思っていたが──
 こいつの強さは、想定外だ。

 魔力探知で測った戦闘能力は730で、俺が苦戦するほどではないのだが、人間にはモンスターとは違った強さがある。

 ──何か。
 強力なスキルでも、使っているのだろう。


 山賊の親分の足元には、盾の残骸がある。

 残骸は焼け焦げていて、大部分は炎で溶けて無くなっている。

 
 …………。
 俺の作った炎の壁は、盾だけで突破できるような代物ではない。
 生身で飛び込めば、普通に焼け死ぬ。


 こいつ自身の魔力抵抗が高いのか──?
 それとも、魔法攻撃を軽減できるような、そんなスキル持ちなのか──

 いずれにせよ──
 コイツ相手に、魔法は決め手にはならない。

 その前提で、戦う必要がありそうだ。




 洞窟の入り口には、山賊の死体が転がっている。

 洞窟内の山賊は、──
 俺の奇襲で全員死んでいる。

 親分以外に、生き残りはいない。


 俺は、剣を装備して構えた。



「お前は、何者だ? まだ仲間がいるだろ? さっき魔法を打ち込んできた……。もう逃げたか──?」

 山賊が、話しかけてくる。
 情報収集のつもりだろうが、逆にこちらに情報を提供することになった。

 どうやら──
 こちらに魔法使いがまだいると、思い込んでいるようだ。
 


 山賊の親分は、辺りを警戒しながら、俺に近づいてくる。




 俺はこちらの間合いに入った、山賊の親分に剣を振り下ろす。

 キィィイイン!!

 俺の攻撃は、山賊の籠手に防がれた。

 山賊の装備は、かなり上等なものだ。

 防具は両腕に籠手、武器はメリケンサック──
 素早さ重視の、武道家スタイル。

 俺は小刻みに移動し──
 敵に距離を詰められない様に牽制しながら、とにかく攻撃の手数を増やす。

 俺の攻撃は、ことごとく防がれている。
 たまに浅い傷を付けることはあるが、致命傷には程遠い。

 それでも、攻撃し続ける。
 相手に攻撃の手番を渡したくないのもあるが、敵の意表を突くために、剣での攻撃に意識を向けさせておきたい。

 俺は切り札の一つである空間移動を、すでに使ってしまっている。
 他の手で、敵の意表と隙をつく。







 まずは、これだ──
 火炎を魔法で作り出し、山賊の顔を目がけて放射する。

 山賊の親分は、魔法使いが別にいると考えている。
 この攻撃は、想定外のはずだ。

 魔法抵抗が高かろうが、喰らえば無傷では済まない。

 決め手にはならなくても──
 ダメージは入るし、隙を作り出せる。

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