メルドリアスの遊戯世界 ~異世界転生ハーレムキャラバン~ 【健全版】

猫野 にくきゅう

文字の大きさ
上 下
59 / 170
冒険者編

第35話 仲間の育成 A

しおりを挟む

 昨日は久々に風呂に入った。

 大きめの桶を湯船にしたショボいものだったが、前世で入って以来の風呂だったので、満足度は大きい。
 

 今日の冒険者活動は、昨日と同じ組み合わせで、サリシアとナーズが解体作業で、残りは兎狩りをする。

 冒険者ギルドの系列店で、朝食を取ってから荷車を借りて平原へと出かける。

 広域探知を使って、大兎の位置を特定して移動する。



 途中にいたスライムやゴブリンなんかのザコは、俺が手早く始末した。
 三人に戦いの経験を積ませてもよかったが、まずは目標の大兎に挑戦させる。

 大兎のテリトリーまで近づく。
 ここからは一人で進まなければ、大兎は逃げ出す。
 


 最初は誰が行くかで、アカネルとイルギットが揉めたので、じゃんけんで順番を決めた。
 イルギットはじゃんけんを知らなかったが、こんなものはすぐ覚えられる。

 最初に挑むのは、じゃんけんに勝ったモミジリだ。
 彼女の武器は、長剣から短剣に変更して、左腕には革の盾を装備させた。
 革の盾は俺が装備しているのと同じ、円形の小さめのやつだ。

 こっちの方がバランスが良いし、本人の気質に合う気がした。


 

 モミジリは大兎をおびき寄せるために、一人で先行して草原を進み、敵と遭遇する。大兎はその巨体をスピードに乗せて、モミジリに迫る。

 モミジリは革の盾を掲げて、大兎の角に合わせる。
 敵と衝突する寸前に、体を逸らしながら横に移動して、大兎の突進をかわし、敵の身体を短剣で切りつける。

 ちゃんと練習通りに出来たようだ。

 盾は敵の攻撃を受けるのではなく、万一の為の保険として構えさせた。
 保険があった方が、心理的に余裕が出来て動きが良くなると思ったが、狙い通りに行ったようだ。

 大兎はまだ生きていたので、俺がぶん殴ってとどめを刺した。

 大兎の血抜きをして、荷車に乗せる。
 まずは一匹目。



 広域探知でマークしてある大兎は、丁度二匹まだいるので、このまま平原を移動して討伐して周る。
 
 次に大兎と戦うのは、アカネルだ。
 彼女とイルギットの装備は、長剣のままで行くことにした。
 
 好戦的で物怖じしない彼女たちは、防御を考えるよりも攻撃力を重視した装備編成にしている。

 アカネルとイルギットの二人は、大兎の突進に対して適度に緊張感を持って、しかし委縮せずに対応することが出来た。

 敵の攻撃を引き付けてから躱して、カウンターを横腹に入れる。
 二人とも練習通りに、敵を倒すことに成功した。




 三匹の大兎を倒して、荷車に乗せてサイザルの町へと帰還する。

 この時点で午後三時過ぎくらいだろうか──
 まだ夕暮れには早く、空は青く澄み渡っている。

 天気も良い。
 仕留めた大兎の肉でバーベキューするのも悪くないかと思ったが、肉を焼くだけでも、一から用意しようと思えば結構時間がかかる。


 夕食はいつもの冒険者ギルドの系列店で取ることにした。
 料理屋を利用すれば、時間の節約にもなる。

 町に滞在している間は、そっちの方が良いだろう。


 冒険者ギルドに持ち込んだ大兎三匹の買取価格は、金貨四十二枚だった。
 交渉すればもう少し金額を上げてくれる感じはあったが、めんどくさいので提示された金額で合意した。

 解体作業の補助をしていたサリシアとナーズと合流して夕食を取った後で、宿に戻ってから寝た。






 次の日もやることは変わらないが、広域探知に少しおかしな反応が引っ掛かった。
 この感じは、隠密結界だ。
 
 初心者にとっては、かなりの手練れのモンスターが潜んでいることになる。
 まあ、俺がいるから大丈夫だろう。


 一応注意するようにメンバーに伝えて、兎狩りに赴く。
 昨日と同じように、大兎を仕留めて血抜きをしていると、そいつはやってきた。

 草原の中を上手く身を隠しながら、高速で移動して接近してくる。
 俺は三人の様子を同時に見ていたが、敵の接近に気付く様子はない。


 俺は一人、剣を握り──
 敵の奇襲に対処する為に神経を集中させる。

 敵の狙いは、モミジリ。

 そいつは手に装備した包丁を、モミジリの頭を狙って突き刺そうとする。
 
 

 ガッキィイイイイインン!!

 俺はそれを、剣で受け止めて防いだ。
 三人はモンスターの奇襲に驚き、急いで臨戦態勢を取る。

 ここでパニックにならないだけで、合格だ。

 敵は完全に気配を遮断して近づいて来た。
 身体能力も高い。

 こんな奴が初心者用のエリアに現れたら、新米冒険者は呆気なく全滅だろう。

 俺に初撃を防がれた敵は、動きを止めずにそのままアカネルへと、ターゲットを変えて襲い掛かる。

 敵の攻撃に対して、アカネルは反応は出来ているが、対応はできない。
 見えてはいるが、体が反応できていない。

 このままでは、敵の包丁で刺される。

 だが、それを許す俺ではない。

 アカネルを先端の尖った包丁で突き刺そうとする、そいつの横から──
 文字通り、横槍を入れる。

 入れたのは、剣だが──

 敵の身体を切り裂いて、ダメージを入れることが出来た。


 しかし、傷は浅かったようだ。
 そいつは止まらずに、次のターゲットをイルギットにして、突進する。

 ……コイツ、俺には来ないな。

 俺はイルギットの援護に動こうとするが、敵の直線的な動きに違和感を覚える。

 敵はイルギットを襲う振りをして、途中で方向転換し──
 モミジリを狙って包丁を振りかぶる。

 それを読んでいた俺は、土魔法で岩石を作り出してそいつに攻撃した。

 ドッ!!

 魔法は敵の顔面に命中した。
 かなりのダメージを与えたが、まだ死んでいない。

 敵の動きが止まった隙に、魔力探知でそいつを鑑定する。


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜

水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。 その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。 危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。 彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。 初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。 そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。 警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。 これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。 果たして、阿宮は見知らぬ世界でどう生きていくのか————。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

Hしてレベルアップ ~可愛い女の子とHして強くなれるなんて、この世は最高じゃないか~

トモ治太郎
ファンタジー
孤児院で育った少年ユキャール、この孤児院では15歳になると1人立ちしなければいけない。 旅立ちの朝に初めて夢精したユキャール。それが原因なのか『異性性交』と言うスキルを得る。『相手に精子を与えることでより多くの経験値を得る。』女性経験のないユキャールはまだこのスキルのすごさを知らなかった。 この日の為に準備してきたユキャール。しかし旅立つ直前、一緒に育った少女スピカが一緒にいくと言い出す。本来ならおいしい場面だが、スピカは何も準備していないので俺の負担は最初から2倍増だ。 こんな感じで2人で旅立ち、共に戦い、時にはHして強くなっていくお話しです。

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

男女比の狂った世界で愛を振りまく

キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。 その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。 直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。 生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。 デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。 本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。 ※カクヨムにも掲載中の作品です。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

処理中です...