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農場奴隷編
第26話 因縁との決着 A
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「さて、やるか──」
俺の前方、二百メートル先に巨大な岩がある。
その岩にのしかかる様な形で、高さ十メートルくらいの大きさの蜂の巣がそびえ立っている。
その巣の周りを、常時十五、六匹のキラー・ビーが飛び回っている。
ここからだと魔法を放つには少し遠いが、弓なら十分射程圏内という距離。
俺は魔術師の杖を取り出して、腰に差しておく。
その後で弓を装備して、狙いを定めてキラービーに攻撃を開始した。
ヒュッ、ヒュッ、ヒュッ……
立て続けに放った俺の矢は、着実にキラー・ビーに突き刺さっていく。
キラー・ビー達は風の魔法を纏って飛行しているため、狙った場所に正確に当てることは出来ないが、羽のどこかを突き破れば飛行を阻害できる。
群れが襲撃されていることに気付いたキラー・ビー達は迎撃態勢に入り、一斉にこちらに向かって飛んでくる。
風魔法を使っているだけあって、かなりの速さがある。
俺は先頭を飛ぶ三匹に矢を放って牽制してから、隠密結界を張って敵から姿を隠して移動する。
迎撃に出たキラー・ビーたちは、俺の姿を見失って見当はずれの所を探している。
その隙に左から、回り込むように巣へと近づく。
巣までの距離が、五十メートルの所まで接近した。
羽を矢で射抜かれたキラー・ビーは、地面を這いずっている。
飛行可能な敵の数は、巣の中にいる十六匹と外で俺を探している十匹になった。
巣の中から異常を察知して、新たに五匹が外に出てきた。
「まとめて攻撃したかったが……」
理想は分散した敵を各個撃破することだが、ここは魔物の徘徊する山の中だ。
周囲にキラー・ビー以外の敵がいないことは確認してあるが、悠長に長期戦を行うのはリスクが大きい。
俺は弓を仕舞って、腰に差しておいた魔術師の杖を取り出す。
そして魔力の属性を、火に変化させた。
杖の先端に集めた魔力で炎を作り出して、圧縮していく。
炎を作っては圧縮をくり返し──
限界まで圧縮した炎の球体を、キラー・ビーの巣に向かって撃ち込んだ。
ドゴォおおぉおぉ!!!
俺の放った火魔法は巣を直撃して、爆発するように燃え広がった。
キラー・ビーの巣から炎が溢れて、火柱が天へと延びている。
巣の中から十一匹の蜂の魔物が、一斉に外へと飛び出してきた。
巣から出てきた魔物で一番目を引くのが、この巣のボスのクイーン・ビー。
二メートルを優に超える大きさで、空中にホバリングしている。
巣の中にいた十匹は、それぞれ炎で焼かれて瀕死のダメージを受けている。
巣の周りを飛んでいた奴らも、炎に巻き込まれている。
チリチリと焼け焦げていて、そのうち勝手に死にそうだ。
群れのボスのクイーンは、ダメージを負っているが健在だ。
敵が風属性だから火で攻撃したが、クイーンは火に耐性があるのか?
それとも、魔法耐性自体が高いのか──?
グゥギュアアアああッ……、ギッチ、ギチッ、ギチ、ギチッ──
巣を攻撃されたことで怒りに身を震わせ、大声で叫ぶような音を立てた後、巨大な牙で歯ぎしりしたような、不快な音を響かせている。
迎撃に出ていた十匹が、慌てて巣の防衛に戻ってきた。
これで敵の数は十一匹。
巣の周囲に女王を中心に固まっている。
俺は魔術師の杖に魔力を込めて、敵の群れに向かって炎の魔法を解き放つ。
圧縮する時間が無いので、魔法のイメージは火炎放射器で放たれるような炎。
広範囲に広がる炎は、魔物の群れをすべて覆い尽くす。
魔法で放った炎は、辺り一帯を焼き尽くす勢いで燃え盛る。
ぼと、ぼと、ぼと、ぼと……
空中にいたキラー・ビー達が、丸焼けなって地面へと落下してくる。
だが集団のボス、クイーン・ビーだけは──
ギィッィィイイッ ぎちッぎちギッチギチッ──
俺の魔法を喰らっても、五体満足で生きていた。
身体のあちこちから火を噴きだしながらも、怒りと闘志を全身に漲らせている。
俺の前方、二百メートル先に巨大な岩がある。
その岩にのしかかる様な形で、高さ十メートルくらいの大きさの蜂の巣がそびえ立っている。
その巣の周りを、常時十五、六匹のキラー・ビーが飛び回っている。
ここからだと魔法を放つには少し遠いが、弓なら十分射程圏内という距離。
俺は魔術師の杖を取り出して、腰に差しておく。
その後で弓を装備して、狙いを定めてキラービーに攻撃を開始した。
ヒュッ、ヒュッ、ヒュッ……
立て続けに放った俺の矢は、着実にキラー・ビーに突き刺さっていく。
キラー・ビー達は風の魔法を纏って飛行しているため、狙った場所に正確に当てることは出来ないが、羽のどこかを突き破れば飛行を阻害できる。
群れが襲撃されていることに気付いたキラー・ビー達は迎撃態勢に入り、一斉にこちらに向かって飛んでくる。
風魔法を使っているだけあって、かなりの速さがある。
俺は先頭を飛ぶ三匹に矢を放って牽制してから、隠密結界を張って敵から姿を隠して移動する。
迎撃に出たキラー・ビーたちは、俺の姿を見失って見当はずれの所を探している。
その隙に左から、回り込むように巣へと近づく。
巣までの距離が、五十メートルの所まで接近した。
羽を矢で射抜かれたキラー・ビーは、地面を這いずっている。
飛行可能な敵の数は、巣の中にいる十六匹と外で俺を探している十匹になった。
巣の中から異常を察知して、新たに五匹が外に出てきた。
「まとめて攻撃したかったが……」
理想は分散した敵を各個撃破することだが、ここは魔物の徘徊する山の中だ。
周囲にキラー・ビー以外の敵がいないことは確認してあるが、悠長に長期戦を行うのはリスクが大きい。
俺は弓を仕舞って、腰に差しておいた魔術師の杖を取り出す。
そして魔力の属性を、火に変化させた。
杖の先端に集めた魔力で炎を作り出して、圧縮していく。
炎を作っては圧縮をくり返し──
限界まで圧縮した炎の球体を、キラー・ビーの巣に向かって撃ち込んだ。
ドゴォおおぉおぉ!!!
俺の放った火魔法は巣を直撃して、爆発するように燃え広がった。
キラー・ビーの巣から炎が溢れて、火柱が天へと延びている。
巣の中から十一匹の蜂の魔物が、一斉に外へと飛び出してきた。
巣から出てきた魔物で一番目を引くのが、この巣のボスのクイーン・ビー。
二メートルを優に超える大きさで、空中にホバリングしている。
巣の中にいた十匹は、それぞれ炎で焼かれて瀕死のダメージを受けている。
巣の周りを飛んでいた奴らも、炎に巻き込まれている。
チリチリと焼け焦げていて、そのうち勝手に死にそうだ。
群れのボスのクイーンは、ダメージを負っているが健在だ。
敵が風属性だから火で攻撃したが、クイーンは火に耐性があるのか?
それとも、魔法耐性自体が高いのか──?
グゥギュアアアああッ……、ギッチ、ギチッ、ギチ、ギチッ──
巣を攻撃されたことで怒りに身を震わせ、大声で叫ぶような音を立てた後、巨大な牙で歯ぎしりしたような、不快な音を響かせている。
迎撃に出ていた十匹が、慌てて巣の防衛に戻ってきた。
これで敵の数は十一匹。
巣の周囲に女王を中心に固まっている。
俺は魔術師の杖に魔力を込めて、敵の群れに向かって炎の魔法を解き放つ。
圧縮する時間が無いので、魔法のイメージは火炎放射器で放たれるような炎。
広範囲に広がる炎は、魔物の群れをすべて覆い尽くす。
魔法で放った炎は、辺り一帯を焼き尽くす勢いで燃え盛る。
ぼと、ぼと、ぼと、ぼと……
空中にいたキラー・ビー達が、丸焼けなって地面へと落下してくる。
だが集団のボス、クイーン・ビーだけは──
ギィッィィイイッ ぎちッぎちギッチギチッ──
俺の魔法を喰らっても、五体満足で生きていた。
身体のあちこちから火を噴きだしながらも、怒りと闘志を全身に漲らせている。
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