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農場奴隷編
第22話 西の森の魔法戦 A
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西の森を一キロメートルまっすぐに進み、標的の火属性の魔物とその周囲の状況を確認するために広域探知を発動する。
ここまで来る途中で遭遇した魔物は、いずれも戦闘能力60未満だった。
全てを危なげなく、一撃で始末する。
鑑定で得た標的モンスターの名前はマンドレイク(根、花)、戦闘能力は289、580。
位置は以前と同じところにいる。
俺は敵の姿を、視認できるところまで接近する。
魔物の形状は植物型で、地表に露出している巨大な根の中央に皺くちゃの老人の顔が付いている。
その根の上部に赤色の大きな花が付いていて、花の上に赤を基調としたドレスを着た少女のような人形の、上半身が生えている。
老人の顔の付いた巨大な根から、無数の細い根が分岐して地面の中に伸びている。
隠密結界を張ったまま、魔法の有効射程内の百メートルまで近づく。
敵の魔法もこちらに届くだろうが、不意打ちが出来る俺の方が有利だ。
俺は隠密結界の中で、自分の魔力を水属性に変化させる。
マンドレイクの魔力は、それぞれ二種類を感知できた。
一つは老人の顔が付いている方の土属性の魔力。
もう一つは赤いドレスの方の、火属性の魔力だ。
敵の二種類の魔力から考えると──
水魔法よりも土魔法で攻撃した方が良いだろうか……。
いや、明確に火属性の魔力に対する弱点になるであろう、水魔法を主軸に攻撃した方が良い。
あの赤いドレスの人形の方が、根よりも強い。
以前から試してみてはいたが、二種類の魔力属性を一度に使いこなすことは、まだ成功していない。
魔力の性質変化も、時間と集中力がいる。
戦闘中にその時間は取れないだろう。
どの属性で戦うのが正解なのか──
「まあ、やってみなきゃ分かんないしな、とりあえずひと当てするか──」
俺は自分の周囲に魔法で作った直径三十センチほどの水の球体を三つ浮かべ,そのうちの一つを赤い花の上の人形目掛けて打ち込んだ。
魔力は節約しながら戦う必要がある。
これでどのくらいダメージを与えられるか、見ておこう。
ドシュウウウウッ!!!
「くそっ……」
俺の奇襲攻撃を察知したマンドレイクの根が、地中から瞬時に根を大量に出現させて巨大な盾を構築し、花をガードした。
俺の放った水球はガードを突き破ったものの軌道をずらされて、上空へと消えた。
「グッ、グギャアアアッ──」
マンドレイクの苦悶の叫びが森にこだまする。
ガードに使った根の痛みは、本体にも伝わっているらしい。
まったくの無駄にはならなかったが、奇襲は失敗した。
ここまで来る途中で遭遇した魔物は、いずれも戦闘能力60未満だった。
全てを危なげなく、一撃で始末する。
鑑定で得た標的モンスターの名前はマンドレイク(根、花)、戦闘能力は289、580。
位置は以前と同じところにいる。
俺は敵の姿を、視認できるところまで接近する。
魔物の形状は植物型で、地表に露出している巨大な根の中央に皺くちゃの老人の顔が付いている。
その根の上部に赤色の大きな花が付いていて、花の上に赤を基調としたドレスを着た少女のような人形の、上半身が生えている。
老人の顔の付いた巨大な根から、無数の細い根が分岐して地面の中に伸びている。
隠密結界を張ったまま、魔法の有効射程内の百メートルまで近づく。
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俺は隠密結界の中で、自分の魔力を水属性に変化させる。
マンドレイクの魔力は、それぞれ二種類を感知できた。
一つは老人の顔が付いている方の土属性の魔力。
もう一つは赤いドレスの方の、火属性の魔力だ。
敵の二種類の魔力から考えると──
水魔法よりも土魔法で攻撃した方が良いだろうか……。
いや、明確に火属性の魔力に対する弱点になるであろう、水魔法を主軸に攻撃した方が良い。
あの赤いドレスの人形の方が、根よりも強い。
以前から試してみてはいたが、二種類の魔力属性を一度に使いこなすことは、まだ成功していない。
魔力の性質変化も、時間と集中力がいる。
戦闘中にその時間は取れないだろう。
どの属性で戦うのが正解なのか──
「まあ、やってみなきゃ分かんないしな、とりあえずひと当てするか──」
俺は自分の周囲に魔法で作った直径三十センチほどの水の球体を三つ浮かべ,そのうちの一つを赤い花の上の人形目掛けて打ち込んだ。
魔力は節約しながら戦う必要がある。
これでどのくらいダメージを与えられるか、見ておこう。
ドシュウウウウッ!!!
「くそっ……」
俺の奇襲攻撃を察知したマンドレイクの根が、地中から瞬時に根を大量に出現させて巨大な盾を構築し、花をガードした。
俺の放った水球はガードを突き破ったものの軌道をずらされて、上空へと消えた。
「グッ、グギャアアアッ──」
マンドレイクの苦悶の叫びが森にこだまする。
ガードに使った根の痛みは、本体にも伝わっているらしい。
まったくの無駄にはならなかったが、奇襲は失敗した。
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