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農場奴隷編

第17話 漁夫の利 A

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 所有奴隷を加えたことで、対象の抱える借金ごと自分の物になった。

 ただし彼女達が働いて得た対価も自分の物になるらしく、借金の減額スピードは上昇した。俺たち三人は、金銭面でも一蓮托生になったらしい。


 この世界の労働奴隷は──

 雇用と扶養の契約。
 奴隷側は労働を提供して、雇用主は仕事と生活環境を提供する。

 自分なりに考察してみたが、合っているかどうかは判らない。

 大体はこんな所だと思う。
 



 ちなみに二人のステータスは──

*************************
名前  アカネル 

HP 16/16  MP 08/08  FP 15/15

職業  労働奴隷Lv06(従順26)

平均戦闘ステータス   025  
*************************


*************************
名前  モミジリ 

HP 14/14  MP 10/10  FP 11/11

職業  労働奴隷Lv06(従順28)

平均戦闘ステータス   023 
*************************


 戦闘に連れて行けるレベルではないので、これからも探索は一人で行う。
 あの二人にはこれまで通り、農場で働いて貰えばいい。 


 気長に鍛えれば、その内、戦闘でも使えるようにはなるだろう。




 ここ三か月ほどは、農場周辺の北と東の平原で雑魚狩りをしてきた。
 地道に頑張った甲斐もあり、モンスター素材の在庫も充実してきた。
 そろそろ、戦う相手のランクを上げようと思う。

 とはいえ、山や森はまだ不安がある。
 上位モンスターの狩りは、東の平原の第二領域の入り口で行う。

 俺とスラ太郎は、連れ立って草原を進む。 
 途中でスライムに遭遇したが、敵の体当たりを待ち構えて、こん棒で迎撃し何事もなく倒した。
 
 農場から一キロ離れた場所に来た。
 前方に大きななめくじの魔物を発見する。
 探知で測った戦闘能力は280くらい、戦うと手こずりそうだ。

「あれは──、スルーだな」

 今回は手あたり次第に遭遇したモンスターと戦うのではなく、相手を選別する。

 今までの経験上、人型のモンスターしかアイテムをドロップしない。
 そろそろ、短剣以外の武器を手に入れたい俺としては、人型を狙って狩っていきたい。



「弱い奴は短剣とこん棒以外は落とさないからなぁ」


 俺は周囲一キロくらいを目安に広域探知を発動する。
 この辺りのモンスターは、広域探知に気付かない。
 ある程度は安心して使える。

 探知した範囲に、ちょうどゴブリンの集団を見つける。
 北西の方角に五匹が群れている。
 平均戦闘能力180前後の奴らだ──


 俺はスラ太郎に、そいつらを挑発して釣って来いと命令する。

 命令を受けても、スラ太郎は行きたくなさそうに渋っている。
 敵が集団だから、ビビっているようだ。

 なんとか『お前そういうの得意だろ? あんな奴ら楽勝だって──』とおだててその気にさせ、作戦を伝えて任務に向かわせる。

 手間のかかる奴だ。

 スラ太郎はゴブリンの集団にそっと近づく。
 そして、自身の体内で作成した酸を噴射した。

「グっ、グギャギャ、ギッ、ぎゃァ──」

 突然、霧状の酸を吹きかけられたゴブリンたちはパニックに陥る。
 その隙にスラ太郎は、大ナメクジがいた方角へと一目散に逃げだした。




 不意打ちを受けて混乱していた、ゴブリンの群れが落ち着きを取り戻し、スラ太郎への反撃に移る。
 ゴブリンの群れの装備は──
 剣2、槍1、弓2、で編成されている。

 近接武器を持った三匹のゴブリンが、スラ太郎を走って追いかける。

 その間に弓を装備した二匹が、スラ太郎へと弓を射る。
 夜間で視界が悪く、距離も離れている。
 弓はスラ太郎に当たらない。
 
 夜の暗闇もこちらに味方している。
 単にゴブリンの弓の腕が悪いだけかもしれないが──。



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