12 / 125
農場奴隷編
第11話 こん棒
しおりを挟む二か月後──
夏の暑さも消え去り、少し肌寒さを感じる日が出始める。
季節は秋になった。
今日から農場の外に出て、冒険を再開する。
二か月間の訓練の成果。
ステータスを確認しておくか──
*************************
名前 ユージ
HP 72/72 MP 70/73 FP 64/64
幸運力
058~-011×2
スキル
空間移動 危険感知
所持品
魔石値 0000192
回復薬 6個
借金 金貨42枚 銀貨3枚 銅貨12枚
才能
大魔導士の卵 戦神の欠片 強欲な器
職業
労働奴隷Lv10(従順-5) 農夫Lv08 薬草採取者Lv06 薬師Lv07
戦士Lv10 剣士Lv06 武闘家Lv05
魔法使いLv08 魔物使いLv04
探索者Lv07 斥候Lv06 隠密Lv09 暗殺者Lv06
遊び人Lv10 ギャンブラーLv06
*************************
いつものように日が沈み、周囲が寝静まるのを待つ。
部屋を出ると、夜の暗闇が世界を覆っていた。
今日は月も出ていない。
これから向かうのは東の平原だ。
流石に惨敗した南の山に、今からリベンジする気はない。
スラ太郎に付いてくるように命じて、東へと移動する。
農場の柵を超えて、東の平原に出た。
「まずは索敵──」
前方一キロくらいに、魔力が広がるように放った。
前回の探索では、自分の放てる最大限で魔力を放っていたが、もう少し範囲を絞った方がいいだろうと考えて、使い方を改良した。
俺の『広域探知』は少量の魔力を全方位に広げて放つ。
大抵の人間や魔物には気付かれないが、警戒心の強い相手や魔力に敏感なタイプの魔物には気付かれるリスクがあった。
魔力感知能力の優れた魔物から見れば、俺の広域探知は人間が大声で叫んでいるようなものだろう。
使い方をもっと工夫するべきだった。
俺の探知した一キロ圏内にいた魔物は、全部で七匹。
いずれも戦闘能力100未満だ。
魔法はイメージ次第でアレンジできるし、精密機械のように正確に作動する。
魔力を少しぶつけただけでもその手応えで、相手の大まかな強さはわかる。
俺の感じ取った相手の戦闘能力を自動で数値化して、ウィンドウ表示するように設定した。正確ではないが、大雑把な強さが解った方が対応しやすい。
広域探知で得た魔物の位置も、一緒にウィンドウ表示されるようにしてある。
敵の位置と強さを把握した俺は、次に自分の周囲一メートルに『隠密結界』を展開する。これで俺の存在は、魔物から把握できなくなった。
俺は自分のHP、MP、FP、を常にチェックできるようにウィンドウ表示しておく──これで探索の準備が出来た。
近くにいる魔物から、順番に狩るか──
農場付近の魔物の反応は単独行動か、多くても2匹で連れ立っているくらいなので、数の暴力で押される心配はない。
俺の一番近くに居たのは、一匹のこん棒を装備したゴブリン。
俺から少し距離を取って先行しているスラ太郎に、ゴブリンの注意を引くように命じる。
スラ太郎はゴブリンの前に移動すると、ピョンピョンと跳ねだした。
その挑発に苛立ったゴブリンは、スラ太郎を攻撃しようと身構える。
俺はスラ太郎に意識を向けているゴブリンの後ろに回り込み、装備している木の棒に闘気を纏わせる。
一息で攻撃できる間合いまで近づき、ゴブリンの脳天めがけて振り下ろした。
グシャッと鈍い音がして、木の棒はゴブリンの頭部の半分まで凹ませた。
一撃で即死だったようだ。
地面に横たわったゴブリンはもう、ピクリとも動かない。
その時、半透明のウインドウが現れて
*************************
ユージはゴブリンを倒した。
ゴブリンは『こん棒』を落としていった。
*************************
モンスターがアイテムをドロップしたことを知らせてくれた。
鑑定でスキャンできる個人情報には、行動履歴もある。
モンスターがアイテムをドロップした時に、自動で発動するように条件付けして調整しておいたのだが、自分の意図した通りに発動したようだ。
しかし、こん棒か──
微妙な武器だけど、今は手持ちも少ない……とりあえず専用武器にして収納しておくことにした。
広域探知でマークした獲物の位置は、その後もしばらく把握し続けることが出来る。相手に付着した魔力が残っているうちは追跡が可能だ。
これで獲物を探し回ることなく、効率的に倒して回れる。
次のターゲットのスライムはフヨフヨとしながら、草むらの中で佇んでいる。
せっかくなので、こん棒を試してみることにする。
俺はこん棒を装備して、スライムの動きを観察する。
以前はまったく分からなかったスライムの初動のタイミングを、掴めるようになっている。飛びかかってきたスライムに合わせて、装備したこん棒を叩きつける。
闘気や魔力を使わなかったが、一撃で粉砕できた。
スライムのような液体生物には、打撃武器が結構有効なようだ。
耐久値も高いし、意外と使い勝手が良いかもしれない。
見くびり過ぎていた。
すまん、こん棒。
39
お気に入りに追加
105
あなたにおすすめの小説
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
貞操逆転世界に無職20歳男で転生したので自由に生きます!
やまいし
ファンタジー
自分が書きたいことを詰めこみました。掲示板あり
目覚めると20歳無職だった主人公。
転生したのは男女の貞操観念が逆転&男女比が1:100の可笑しな世界だった。
”好きなことをしよう”と思ったは良いものの無一文。
これではまともな生活ができない。
――そうだ!えちえち自撮りでお金を稼ごう!
こうして彼の転生生活が幕を開けた。
性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。
狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。
街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。
彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
錬金術師が不遇なのってお前らだけの常識じゃん。
いいたか
ファンタジー
小説家になろうにて130万PVを達成!
この世界『アレスディア』には天職と呼ばれる物がある。
戦闘に秀でていて他を寄せ付けない程の力を持つ剣士や戦士などの戦闘系の天職や、鑑定士や聖女など様々な助けを担ってくれる補助系の天職、様々な天職の中にはこの『アストレア王国』をはじめ、いくつもの国では不遇とされ虐げられてきた鍛冶師や錬金術師などと言った生産系天職がある。
これは、そんな『アストレア王国』で不遇な天職を賜ってしまった違う世界『地球』の前世の記憶を蘇らせてしまった一人の少年の物語である。
彼の行く先は天国か?それとも...?
誤字報告は訂正後削除させていただきます。ありがとうございます。
小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで連載中!
現在アルファポリス版は5話まで改稿中です。
男女比の狂った世界で愛を振りまく
キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。
その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。
直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。
生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。
デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。
本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。
※カクヨムにも掲載中の作品です。
スマートシステムで異世界革命
小川悟
ファンタジー
/// 毎日19時に投稿する予定です。 ///
★☆★ システム開発の天才!異世界転移して魔法陣構築で生産チート! ★☆★
新道亘《シンドウアタル》は、自分でも気が付かないうちにボッチ人生を歩み始めていた。
それならボッチ卒業の為に、現実世界のしがらみを全て捨て、新たな人生を歩もうとしたら、異世界女神と事故で現実世界のすべてを捨て、やり直すことになってしまった。
異世界に行くために、新たなスキルを神々と作ったら、とんでもなく生産チートなスキルが出来上がる。
スマフォのような便利なスキルで異世界に生産革命を起こします!
序章(全5話)異世界転移までの神々とのお話しです
第1章(全12話+1話)転生した場所での検証と訓練
第2章(全13話+1話)滞在先の街と出会い
第3章(全44話+4話)遺産活用と結婚
第4章(全17話)ダンジョン探索
第5章(執筆中)公的ギルド?
※第3章以降は少し内容が過激になってきます。
上記はあくまで予定です。
カクヨムでも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる