上 下
16 / 18

始まりの街リゴン防衛戦

しおりを挟む
「21時になりました。クエストを開始します」

本当に21時から一気に攻めてきたな。

「さっき言った通りだ!遠距離攻撃開始!」

[ウィングカッター]
[ファイヤボール]
[ウォーターボール]
[サンダーランス]

これだけ魔法が飛び交うと綺麗なもんだな。

「どれだけ取り巻きは倒せた?」

「3分の2は倒せてるみたいだよ!」

「これならいけますね!」

「倒せてるのが鬼じゃないから、まだ油断できないよ」

「取り巻き倒して、鬼だけにしたらええんやな?」

「そうだけど....まさかレナ、突っ込む気じゃないだろうな?ってもう行ってやがる」

あの人サポーターのはずなんだけどなー。

「レン、レナを頼む!他の人は、前線にいるモンスターを倒すぞ」

本格的に戦闘が始まったな。色んな人のスキルが戦場を飛びまわってる。

「タイガ何人か人借りるわよ!援護射撃ができる人は私と一緒に来て!」

最前線のラエルたちが気になる。無事だといいが



「タイガさん!大変です!」

レンが急いで戻ってきた。

「何か問題でも起きたか?」

「それが、C部隊が壊滅寸前なんです!」

1番レベルの高い5パーティーで組んだ。なのに何故C部隊が壊滅寸前に?一体何があったんだ。

「レナの姿が見えないけど、C部隊の回復に当たってるのか?」

「そうです。姉さんは今、回復に専念しています。」
続けてレンが話す。

「C部隊何ですけど、最初は順調だったんですよ。ですが、鬼を10体ほど倒した時から鬼が異常な動きをしてきたんです。まるで人間が考えて、動かしてるような動きを」

運営は、鬼に普通のAIではなく学習AIでも搭載してるのか?

「レン悪いがC部隊にA部隊のところまで後退するよう伝えてくれ」

「それだと、最前線がガラ空きになりますよ?」

「Cの代わりは俺たがする」

「分かりました、伝えてきます」

レンは再び最前線に戻っていった。

「聞いての通りだ!今からC部隊がいたところまで移動する!」

他のパーティーのプレイヤーが言った。

「足並み揃えての前進は厳しそうだぞ」

「なら全員同時に移動したらいいだけのことだ」

この日のために、生産系プレイヤーに無理言って作ってもらったキャビンを出した。

「これに乗って行くのか?乗ったとしても誰が引っ張るんだよ?」

「誰がこれで行くって言った?」

始めて使うスキルだけど上手く行くか?

「[変形]!案外上手く行くもんだな」

キャビンが戦車に変形したけど、どんな仕組みだこれ。

「これで行く、何人かは中で操縦を、乗れなかった人は戦車にしがみついて移動してくれ!」



全員乗ったな?

「最前線へ出発!」

ファンタジー世界に似つかわしくない鉄の塊が勢いよく前進し始めた。

「前方に鬼を確認!どうします?」

やる事は決まってる

「照準鬼!撃てー!」

「鬼に命中!続けて撃ちます!」

1体は倒した、このまま上手い事倒したいが....
そんな上手いこと行かないよね。

2発目の弾は鬼に打ち返された。

「全員退避!急いで戦車から降りろ!」

打ち返された弾は戦車にあたり爆散した。

「野球じゃないんだから、勘弁してくれよ」

何はともあれ最前線に到着した。

「レナ、レン状況は?」

「ギリギリやったで、無事なパーティーだけ残って、致命傷のパーティーは交代できた」

無事なパーティーってラエルたちだけか。

楓から連絡が入った。

「鬼以外のモンスター全部倒せたよ!今から合流しに行くね!」

後は鬼だけか、正直ここが一番の難関だよな

「タイガじゃねーか、援軍に来てくれるなんて嬉しいねぇ」

「壊滅寸前って聞いてな、何があった?」

「レンが言ってたろ?動きが変わったって」

「動きが変わっただけなら対処できるだろ?他には無いのか?」

「あいつだよ」

ラエルは1体の鬼を指差した。

「あいつが戦闘に加わってから鬼にバフが掛かった」

「見るからに親玉って感じだな」

名前は鬼神か、仮面で鬼になってから進化でもしたのか?

よく見たら、ご丁寧に武装までされている。金棒じゃなくて刀持ってるんですけど?

「親玉は俺たちでなんとかする、ラエルは連れてきたパーティーと共に他の鬼を頼む」

「お前ら4人だけで勝てんのか?」

「勝てるさ、ラエルたちに勝ってるんだから」

少し皮肉っぽく言った。

「言ってくれるねぇ。他の鬼を倒したらすぐ援護に来るから無茶すんなよ」

連れてきたB部隊をラエルが引き継ぎ、8体の鬼の元へ行ったと同時に楓が合流した。

「お待たせー、遅くなってごめんね?」

「今からやしナイスタイミングやで」

「姉さんは1人で暴走しないでくださいね」

「これでみんな揃ったな」

なんだか最終決戦ぽくっていいじゃないか。

「初動はいつも通り。その後は各々好きに動いてくれ!じゃあ、行くぞ!」

「[ロックオン][ミニタンク][部分変化]両腕!右腕に徹甲弾、左腕に爆裂魔力弾、装填!」

「[ミラージュガン]4連!ファントムバレット1連目、インビジブルバレット2連目、インパクトバレット3連目、ランダムバレット4連目に装填!」

「[鋼の肉体][女神の囁き][女神の涙][フレアマイン][ブレイクチャージ]」

「[獅子の目覚め][獅子の咆哮][バーサーク][分身]」

「初めは私たちから![フルバースト]!!」

「全砲門開け![一斉射撃]!!」

ものすごい数の弾丸と砲弾が鬼神に飛んでいった。その光景を見ていたラエルは苦笑いをしていた。

「あのパーティーやってることえげつねーな」


これで倒れてくれたら楽なんだけどな、そうも行かないか。

「やはり倒せませんでしたね。よかった僕が鬼神を叩き潰せる!」

「レン、なりきるのはええけど、油断したらあかんで!」

レンとレナが鬼神に突っ込んで行った。

「ミニタンク突撃、[カバー]。もみじ、俺もあの2人に続いて突っ込んでくるから援護よろしく!」

「はーい。じゃあ、この武器の本領見せちゃおうかな![ケルベロス]!」

楓の後ろに地獄の番犬が見えるんですけど?

「[ファイヤーバレット][サンダーバレット][ウィンドバレット]発射ー!」

銃から放たれた弾丸にケルベロスの属性攻撃が加わった。

「よし!命中!」

これだけやっても鬼神を倒せないとかどうなってんだ?

「これ、鬼神の体力回復してない?」

「本当ですねほんの少しづつですけど回復してますね」

まさかのリジェネ持ちだったか

「ラエル!回復を封じること今できるか?」

「出来るけど、お前たちまで出来なくなるぞ!」

「構わへん、やって!」

「どうなっても知らないからな[ヒールバインド]」

「回復が止まったよ!」

「後半分だ、気合い入れていくぞ!」

ゆっくり移動や攻撃をしていた鬼神の動きが変わった。

「あいつ、早なってへん?」

「第二形態みたいなものだろ」

1発でも攻撃が当たれば即死だと思った方が良さそうだ。

鬼神が刀を横に薙ぎ払った。

「何してるんだろ?」

相手の行動に俺は気づいた。

「しゃがめ!あれは、真空波だ!」

なんとか回避に成功した俺たちだったが、真空歯が飛んで行った方を見て驚愕した。

「山が切れてる....」

「なんちゅう威力や、あんなん当たったら即死やで」

「ならこっちも、一撃で仕留めたらいいだけ!タイガならできるでしょ?」

「出来るけど、みんなにはかなり負担をかけるぞ?」

「今に始まったことじゃないですし、大丈夫ですよ」

「俺は今から接近戦をする。みんなは俺が鬼神に近づけるように援護してくれ」

そうして俺は鬼神に向かって走り出した。

途中鬼神からの攻撃があったが、楓が威力を殺しレンとレナで弾き返していた。

「このくらい近づけばいけるだろ[アキュムレート]!みんなは、俺を巻き込むつもりで最大火力で攻撃してくれ!」

「なんかよくわかんないけど[トライショット]!」

「[アースブレイク]!」

「[ビッグバンナックル]!」

大技を放った3人は一時的に動けなくなった。

結構ギリギリで耐えたな、これなら吹き飛ばせる。

「[砲弾生成]アキュムレート!」

みんなの最大火力を一つの砲弾に変えた。

「アキュムレート弾[複製]!ミニタンク、右腕に装填!」

このタイミングで真空波を飛ばしてきただと!

「[ミラクルスラッシュ]!後は頼んだよ!」

楓が真空波を相殺してくれたおかげで外すことなく当てられる!

「これで終わりだ![一斉射撃]撃て!!!」

流石に強力すぎ弾には反動があったようで、後ろに思いっきり吹き飛んだ。

「鬼神は?どうなった?」

砂埃がはれ、鬼神が立っていた場所には大きな刀と鬼神の下半身が転がっていた。

「つまりこれは?俺たちの勝ち?」

しばらくしてアナウンスがなった。



「始まりの街リゴン防衛成功、クエストクリアしました」

至る所で歓喜の声が上がった。

「やったねタイガ!私たちクリアしたんだよ!」

「そうだな。それより、よく最後飛び込んでこれたな?」

「レナとレン君がバフをかけてくれたから飛び込んでいけたんだよ。HPほぼ無くなったけど」

「最後の攻撃を防げたから勝てたんだ、みんなありがとう」

しばらく勝利の余韻に浸かりながら。

「それにしても疲れたなー、勝利の記念に打ち上げとかどう?リアルで」

「俺は別に良いけど、もみじは?」

「私もレナとレン君に会ってみたいからやろーよ!」

「決まりやな、今週の土曜日、時間は13時頃で集合場所は八重駅前でどう?」

八重駅って近所だ、もしかして意外と近くに住んでたりするのか?

「大丈夫だ」

「私もそれで大丈夫」

「ほな、今日は疲れたし先落ちるわ!お疲れ様!」

「流石に俺も落ちるよ、かなり眠たい」

「私も、集中してたからかなり疲れたし、今日はもう止めるよ」

無事難関クエストをクリアした俺たちは、土曜日にリアルで会うことを約束した。
しおりを挟む
1 / 2

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

一行日記 2023年12月 🎄

エッセイ・ノンフィクション / 完結 24h.ポイント:142pt お気に入り:2

【本編完結】この度、記憶喪失の公爵様に嫁ぐことになりまして

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:227pt お気に入り:2,444

【完結】お手伝いしましょうか?「いいえ迷惑です」

恋愛 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:6

シングル·ルームシェア

ライト文芸 / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

処理中です...