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*** 30 悪魔っ子たちとの出会い…… ***

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 翌日、拠点前広場には、俺の使い魔である初級悪魔たち300人が勢ぞろいした。

 男の子150人、女の子150人の初級悪魔たちは、みんなとっても若く見える。
 というより、どう見ても10歳以上には見えないんだ。
 初級悪魔ってまだ子供だったのかな……

 それに、よく見れば悪魔っ子たちって本当に可愛いらしいんだよ。
 キバもまだちっちゃいし、しっぽも細いし、大人の悪魔のようなウロコもほとんど無いし。
 角はあるけど、これもまだちっちゃくて柔らかそうなんだ。

 まあ、ぱっと見ほとんど人間の子供と変わらんわ。
 しかも男の子も女の子もみんなすっげえ美形だし。
 女の子はともかく、男の子があの厳ついベギラルムみたいになるなんて信じらんないよなあ。

 髪の毛はみんなさらさらの銀髪だ。
 男の子は半ズボンで女の子は短めのスカート姿だった。
 これが彼らの標準的な作業着みたいだな。

 そんな彼らがベギラルムの前に整列していた。


(なあアダム。こいつらのステータスってどれぐらいなんだ?)

(総合レベルは平均で20程でございますね。
 体力(HP)の平均は25程で、総合魔力(MP)の平均は15程でございます)

(そうか、体力に比べて魔力がやや低いのか……
 体力はヒト族と比べれば相当に高い方だけど……)


 ああ、ベギラルムの訓辞が始まったようだな。

「よいか! お前たちはこちらにおわすシスティファーナさまの使徒、サトルさまに『使い魔』として呼び出して頂いた存在だ!
 これからは、このサトルさまを主と崇め、その命には絶対服従である!」

「「「「「「「「 サー・イエッサー! 」」」」」」」」

「しかもこのサトルさまは、神界のゼウサーナ上級神さまの加護を持ち、併せて『神界銀聖勲章』までも受勲された御方でもあらせられる!
 わしも含めて、普通なら到底キサマらごときがお目通りの叶うご存在では無いっ!」

「「「「「「「「 サー・イエッサー! 」」」」」」」」

「だが、サトルさまは実にお優しい御方でもある。
 そのお優しさを見て、軽んじることなどあってはならないのだっ!」

「「「「「「「「 イエス・イエス・イエッサー! 」」」」」」」」

(あ、あの…… ベギラルムさん…… お手柔らかにね……)

「それでは明日より基礎訓練を始めるが……
 本日はこれよりお前たちの歓迎会を行う!」

 この時点で、念のため俺はベギラルムに向けてすっと指を上げた……

「みな喜べ! 歓迎会は、『無差別まぐ(ボンっ!)』」

 その瞬間、俺の指先から放たれた『闇魔法:物理衝撃波(小さいけど超強烈♪)』がベギラルムの頭を吹き飛ばした。
 ヤツの首から噴水のように血が吹き上がり、辺りを真っ赤に染める。

「「「「「「「「「「 ひぃぃぃぃぃぃぃ~っ! 」」」」」」」」」」
(((((じょろじょろじょろ……)))))

 悪魔っ子たちの悲鳴が上がった。
 あー、半分ぐらいの子がおもらししちゃったわ……
 やっぱひとが死ぬところなんて見慣れてないんだろうなあ……
 でもまああのローゼマリーナさまだってやっちまったんだもんな。
 まあ、仕方あるまい……


 ------------------------------


 そのときローゼマリーナは……

(はっ! お、悪寒とともに顔が赤くなって来た……
 なになに?
 わ、わたしどうしちゃったの!)


 ------------------------------


 10秒後、倒れていたベギラルムの体と頭の残骸が光に包まれて復活する。
 奴は頭をふりふり、俺に向かって言った。
「ええ~っ! サトル殿。『無差別ま(ボボンっ!)』」

 俺のジャンピング上段蹴りが再度奴の頭をケリ飛ばした。
 千切れた首がごろごろと悪魔っ子たちの前に転がって行く。

「「「「「「「「「「 ひひひひひひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ~っ! 」」」」」」」」」」
(((((じょろじょろじょろ…… じゃじゃじゃー)))))

 あー、残り半分ももらしちゃったか……
 みんな座り込んで泣いちゃってるよ……
 それにしてもこいつらの粗相、やけに激しく飛び散ってるよな……
 下着が薄いのかな?


 まあ、今は俺地上界にいるからさ。
 念のため『上級神ゼウサーナさまの加護のネックレス』をつけてるから、このぐらいの攻撃力はある。
 それに、ありがたいことに、ゼウサーナさまの加護のネックレスには、『命の加護:死亡時10秒後復活&HP全回復』をかけてやるスキルもついていたから、ベギラルムには特に念入りにかけているからな。
 ここは俺の拠点内だから、既にシスティの領域内にもなってるし。

 俺はベギラルムの足を掴むと、初級悪魔たちから離れたところに引きずって行った。
 途中でベギラルムの頭が生えて来る。

 そうして俺は奴の耳に口を近づけて小声で言ったんだ。

「おい! 奴らが成人するまで、『無差別まぐあいパーティー』は厳禁な!」

「わ、わかりましたサトルさま……」


 その後、悪魔っ子たちはナゼか俺の半径50メートル以内には近寄って来なくなったんだけどさ……
 お、俺のせいじゃないかんね!!!

 俺は悪魔っ子たちを宿舎に連れて行き、シャワーを浴びて服を着替えて来るように言った。

 そうして、彼ら全員にも俺が『命の加護:死亡時10秒後復活&HP全回復』をかけることにしたんだよ。
 万が一にも彼らを死なせたくなかったし。

 でも…… 加護をかけるときには相手の体に触らなくっちゃならないんだけど、俺に触れられた悪魔っ子たちが、みんな怖がって泣いちゃうんだ……
 なんか幼稚園のワクチン予防接種みたいだったよなあ……


 俺はベギラルムの立てていた訓練計画を、いったんすべて停止させた。
 こんな子供たちを『地獄のブートキャンプ』に叩き込もうとしていたようだったからだ。

 その日の『歓迎会』は、全員をシスティの天使域に招待して、地球食食べ放題&精霊たちとの交流会にしたんだ。
 みんなにけっこうな小遣いもあげて、普段着も好きに買えるようにしてやったし。
 なんだか連中、地球の下着を興味深げに見てたぞ。


 悪魔っ子たちは、すぐに精霊たちとも馴染んで楽しそうだった。
 俺はシスティと並んで座って、そんな彼らを微笑みながら見ていたんだ。

「なあシスティ。
 この子たちにも俺みたいに『世界管理用ポイント』を使って『能力上昇促進』の神授スキルを授けてやりたいんだけどさ。
 300人もいるから6000ポイントもかかっちゃうんだけど、お願い出来ないかな」

「もちろんいいけど……
 でも確か『神界銀聖勲章』に、『ポイント半額!』っていうスキルがついてたはずだから、サトルが要請すれば半額の3000ポイントで済むわよ。
 スキル一覧見てなかったの?」

「あ、あんまりたくさんありすぎて、まだ全部詳しく見てないんだ……
 そ、それにそのスキル名見たときに、『なんじゃぁあこりゃあっ! ふつー『ポイント2倍』とかだろうにっ! 半額とかナメとんのかおいっ!』って思って無視してた……」

「あはは、ネットショッピングじゃないんだから。
 それじゃあ『おススメのスキル♪』っていうスキルも無視したでしょ」

「う、うん。な、なんかアヤシそうだったから……」

「それってね。これからしたいことを念じたりすると、そのときに便利なスキルをおススメしてくれる優れものスキルなのよ。
 初心者はふつう真っ先に取得するものなんだけど」

「ううっ…… そ、そうだったのか……」

「ほかにもけっこう見落としもあるかもしれないから、一度ゆっくり見た方がいいわよ。
 あ、そうだ。アダムさん、スキル一覧を見て、ときどきサトルにアドバイスしてあげてくれるかしら」

(かしこまりましたシスティフィーナさま)



 歓迎会が終わると、俺は彼らを下界の宿舎に連れて行った。
 150室の2人部屋は広くて清潔で快適な場所だ。
 各部屋には、ベッドやクローゼットや机もイスもある。
 そのうちに小型冷蔵庫や電子レンジも使えるようにしてやろうかな。

 いや地球の悪魔さん達も家具の搬入と設置に大汗かいてたよ。
 あんまり申し訳なかったんで、各自に2万円ずつお礼に包んでやったら、逆に壮烈に感動されたんだけどさ。泣きながら五体投地とかするし……
 悪魔さんたちって……


 悪魔っ子たちの食事については、週に2回ほどは地球食をご馳走してやることにした。マナだけじゃあちょっと味気ないだろうからさ。
 最初はエルダさまにお願いして、10人ほどの女性悪魔たちに来てもらって料理を作ってもらったんだ。
 そのうちに悪魔っ子たちにも順番に手伝わせるようにして、ゆくゆくは彼ら自身が交代制で料理当番になるようにするか。

 エルダさまのところのお姉さま連中も、みんな、「わー可愛い初級悪魔たちねえ♡」とか言って嬉しそうだったぞ。
 エルダさまも、「そういえばベギラルムもこれぐらいの小さなときがあったのう。あのころは可愛らしかったのに、どうしてこうなってしもうたのかの……」って肩を落としてたわ。

 エルダさま、それ激しく同意します。
 この子たちがベギラルムと同じ種族だとは到底思えません。



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