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王様のルイと私(回想)
異世界からきた王妃様
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フローレンスの王妃様は異世界人だという噂だ
おまけにハイネ神様の愛し子だとその噂に尾ひれが付いている
この国の王様が救国の英雄で、フェンリルを従魔として従えていることは有名だが、王妃様の従魔も凄いらしい
噂ではウロボロスに乗っていたとか、龍に乗っていたとか色々飛び交って、どれが真実かわからない
しかし、もとは異世界から来た平民だという話だ
デュポン領では"庶民王妃"と呼ばれているらしい
もともと庶民だからか、王城の敷地内で一人で酪農やら養鶏をやっていると、城内に務める下働きの子が言っていた
なので、王都に住む貴族のご令嬢やご婦人達は、王妃様に興味津々で、王城でお茶会が開かれるのを、心待ちにしていた
そして、結婚式の後、妊娠していると言われている王妃様主催のお茶会がフローレンス王城内の中庭で行われると、王都に住む有力貴族の屋敷宛に招待状が届けられたのである
"いったい、どんな方なのかしら"
"どんな趣向で楽しませてくださるのかしら"
王都に住む貴族の間では、その話題で持ちきりであった
そもそも、王城でのお茶会なぞ、側妃のイザベラ様がいらっしゃった頃に、開かれたっきりである
招待状を受け取った家のご令嬢やご婦人は、お茶会に合わせて皆ドレスを新調したので、久々の大量注文に、王都内の有名な洋装店はどこも上を下への大騒ぎだという
そんなことなど知る由もないひろは、マイペースにお茶会の準備をしていた
自分が世話をして採取した卵や牛乳を使って、数日前からプリンやケーキなどを作ったり、カルボナーラやカルパッチョ、アヒージョ、ピザなど、牛乳や卵、それに魚介類を使った異世界料理を作って無限収納に入れていっては、地道に準備をしている
お茶会当日、ひろは侍女達を指揮して自ら会場の設営をしていた
会場には、自分で染めた死の森産の絹のハンカチーフを招待客一人一人の席に、お土産としてさり気なく置いている
また、テーブルクロスも同じようにひろのお手製である
会場に飾る花だけは、王城のハウスで育てた珍しい花を飾った
また、会場の中央には、ピアノが置かれている
そして、優雅な花柄の食器に、ひろが作った料理が並べられていった
お茶会の時間になり、多くの招待客が集まり始めた
ひろはピアノのそばに立ち、招待客ににこやかに挨拶をしている
この日のために、招待客の名前と顔と大まかなプロフィールを頭に叩き込んだかいもあって、なかなかにさまになっている
そして、ひろは今日の料理は全て自分が作った異世界料理であること、材料の卵と牛乳は自分が世話をしている魔物から採れたものであると話した
「どうぞ皆様、ごゆっくり召し上がって下さいませね」
招待客のご令嬢やご婦人方は、初めて見る料理に初めはおっかなびっくり手を出していたが、それがことのほか美味しいことに気づくと、皆、我も我もと手をつけはじめた
「意外にこの異世界料理、美味しいですわね」
「このデザートも絶品ですわ」
「国王様は、王妃様のお料理がお好きだと聞いて、これは嘘に違いないわと思っていましたのよ。でも、これは事実ですわね」
会場では、そんな会話が飛び交っている
ひろは、そんな会場の様子に満足したように微笑むと、ピアノの演奏をはじめた
曲はドビュッシーの月の光
招待客は聴いたことのない曲に驚き、そしてその美しさに酔った
弾き終わったひろが微笑んで挨拶をすると、割れんばかりの拍手が起こった
「庶民だなんて、貴族の中でもあそこまでピアノを弾ける方はいらっしゃいませんわ」
「それにしても、美しい曲ですわね」
ひろはピアノでも、招待客の心を掴んだようだった
「王妃様!あの料理のレシピを是非我が家にいただきたいのですが」
「王妃様!あの曲の楽譜をいただけませんでしょうか?」
その後は、この二つのお願い事が飛び交う中で、ひろは後日、王都の邸に届けると約束してから、子供のことやルイのことなど、楽しく話して無事お開きになった
この日以降、異世界から来た王妃様の人気は英雄の国王様に負けるとも劣らない、揺るぎないものになっていった
~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*
「ひろ、今度は俺だけのために弾いて?」
「うん。どんな曲がいい?」
「どんな曲って、俺に似合う曲?」
「じゃあ英雄ポロネーズだね」
後日、ひろはルイのために城内にいる者は出入り自由の演奏会を開いたのだった
初めてピアノ演奏を聴く者も多かったが、ひろの演奏に感動した者達が皆、市井に出てはひろの演奏の素晴らしさを話して回ったため、ひろはピアノの名手として、名を馳せることになる
ちなみに、城内演奏会で弾いた曲は、ショパンのノクターンや幻想即興曲、別れの曲、リストのラ・カンパネラなどの数曲だった
おまけにハイネ神様の愛し子だとその噂に尾ひれが付いている
この国の王様が救国の英雄で、フェンリルを従魔として従えていることは有名だが、王妃様の従魔も凄いらしい
噂ではウロボロスに乗っていたとか、龍に乗っていたとか色々飛び交って、どれが真実かわからない
しかし、もとは異世界から来た平民だという話だ
デュポン領では"庶民王妃"と呼ばれているらしい
もともと庶民だからか、王城の敷地内で一人で酪農やら養鶏をやっていると、城内に務める下働きの子が言っていた
なので、王都に住む貴族のご令嬢やご婦人達は、王妃様に興味津々で、王城でお茶会が開かれるのを、心待ちにしていた
そして、結婚式の後、妊娠していると言われている王妃様主催のお茶会がフローレンス王城内の中庭で行われると、王都に住む有力貴族の屋敷宛に招待状が届けられたのである
"いったい、どんな方なのかしら"
"どんな趣向で楽しませてくださるのかしら"
王都に住む貴族の間では、その話題で持ちきりであった
そもそも、王城でのお茶会なぞ、側妃のイザベラ様がいらっしゃった頃に、開かれたっきりである
招待状を受け取った家のご令嬢やご婦人は、お茶会に合わせて皆ドレスを新調したので、久々の大量注文に、王都内の有名な洋装店はどこも上を下への大騒ぎだという
そんなことなど知る由もないひろは、マイペースにお茶会の準備をしていた
自分が世話をして採取した卵や牛乳を使って、数日前からプリンやケーキなどを作ったり、カルボナーラやカルパッチョ、アヒージョ、ピザなど、牛乳や卵、それに魚介類を使った異世界料理を作って無限収納に入れていっては、地道に準備をしている
お茶会当日、ひろは侍女達を指揮して自ら会場の設営をしていた
会場には、自分で染めた死の森産の絹のハンカチーフを招待客一人一人の席に、お土産としてさり気なく置いている
また、テーブルクロスも同じようにひろのお手製である
会場に飾る花だけは、王城のハウスで育てた珍しい花を飾った
また、会場の中央には、ピアノが置かれている
そして、優雅な花柄の食器に、ひろが作った料理が並べられていった
お茶会の時間になり、多くの招待客が集まり始めた
ひろはピアノのそばに立ち、招待客ににこやかに挨拶をしている
この日のために、招待客の名前と顔と大まかなプロフィールを頭に叩き込んだかいもあって、なかなかにさまになっている
そして、ひろは今日の料理は全て自分が作った異世界料理であること、材料の卵と牛乳は自分が世話をしている魔物から採れたものであると話した
「どうぞ皆様、ごゆっくり召し上がって下さいませね」
招待客のご令嬢やご婦人方は、初めて見る料理に初めはおっかなびっくり手を出していたが、それがことのほか美味しいことに気づくと、皆、我も我もと手をつけはじめた
「意外にこの異世界料理、美味しいですわね」
「このデザートも絶品ですわ」
「国王様は、王妃様のお料理がお好きだと聞いて、これは嘘に違いないわと思っていましたのよ。でも、これは事実ですわね」
会場では、そんな会話が飛び交っている
ひろは、そんな会場の様子に満足したように微笑むと、ピアノの演奏をはじめた
曲はドビュッシーの月の光
招待客は聴いたことのない曲に驚き、そしてその美しさに酔った
弾き終わったひろが微笑んで挨拶をすると、割れんばかりの拍手が起こった
「庶民だなんて、貴族の中でもあそこまでピアノを弾ける方はいらっしゃいませんわ」
「それにしても、美しい曲ですわね」
ひろはピアノでも、招待客の心を掴んだようだった
「王妃様!あの料理のレシピを是非我が家にいただきたいのですが」
「王妃様!あの曲の楽譜をいただけませんでしょうか?」
その後は、この二つのお願い事が飛び交う中で、ひろは後日、王都の邸に届けると約束してから、子供のことやルイのことなど、楽しく話して無事お開きになった
この日以降、異世界から来た王妃様の人気は英雄の国王様に負けるとも劣らない、揺るぎないものになっていった
~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*
「ひろ、今度は俺だけのために弾いて?」
「うん。どんな曲がいい?」
「どんな曲って、俺に似合う曲?」
「じゃあ英雄ポロネーズだね」
後日、ひろはルイのために城内にいる者は出入り自由の演奏会を開いたのだった
初めてピアノ演奏を聴く者も多かったが、ひろの演奏に感動した者達が皆、市井に出てはひろの演奏の素晴らしさを話して回ったため、ひろはピアノの名手として、名を馳せることになる
ちなみに、城内演奏会で弾いた曲は、ショパンのノクターンや幻想即興曲、別れの曲、リストのラ・カンパネラなどの数曲だった
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