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アルタリア王国へ
決着と生き残った王族
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目の前にアルタリア城が見えてきた
謁見の間は、中央4階のど真ん中にあるらしい
《派手に行きますよ、結界を張っておいて下さいね》
バーストから念話が入った
多分、このまま突っ込むつもりだ
ひろはバーストの背に乗っている全員に結界を張る
ドッカーーーン!!!!ドドドドドド
物凄い音だった
ーー 城が揺れたよ、グラグラって ーー
気づくと皆無事に石の床の上に立っていた
メシアは子犬サイズから元の大きさに戻っている
バーストは人型になって、涼しい顔をしていた
あれ程の衝撃を受けても、傷一つないとは、流石無敵の炎龍である
暫くして突入によりもやもやと立ち上がっていた埃がおさまってくると、長く伸びる廊下の途中に二体の魔物が守る扉があるのが見えた
ーー 多分あそこが謁見の間だ ーー
「よし!皆手筈通りにな!!行くぞ!」
全員が謁見の間を目指して走り始める
その入り口は、ジャックの情報通りケルベロスとサイクロプスに守られていた
そして今、ケルベロスの前にはメシアが、サイクロプスの前にはバーストが立って身構える
「悪いが、ここは通させてもらう。後は頼んだ」
ルイが二体に目で合図する
ルイとひろが扉をあけて謁見の間に入ると、背後で魔物達の戦いが始まった
二人が謁見の間に入ったと同時に二人を狙って矢が飛んできた
次の瞬間、矢が方向を変えてそれを放った者に同じスピードで帰っていく
見事にひろの結界に付与した罠が発動したのだ
ーー やったぁ!!大成功!ーー
自らが放った矢に貫かれた者達が、転げ回っている
「ギャァーー!!毒が毒が……」
ーー やっぱり毒が塗ってあった ーー
「ルイ、全てに毒が仕込んであると思って間違い無いかもよ!頑張って」
ルイが頷くと謁見の間の中央に剣を抜き、ゆっくりと歩み出る
「死にたい奴はかかって来い!」
ーー くぅ~~!!ルイ、カッコいい!決まってる!ーー
ひろは夢見る乙女のように、ルイの背中を見てはため息をついている
今は戦いの真っ最中なのだが、この王妃は平和ボケの日本人気質がまだ抜けてないようだ
魔術師団から無数の魔法がルイやひろに放たれるが、ルイには全魔法無効となっているので、痛くもかゆくもないようだ。逆にひろに放たれた魔法は、先程の矢と同じように、それを発動した者に反転して帰っていくと、その者達に襲いかかる
ーー ああ~~可哀想にねぇ、痛そう ーー
あくまでも他人事である
「ジャック!!あの豚があそこから逃げないようにしといてくれ!」
「おう!」
流石、闇魔法の使い手のジャックだ。豚は、全く身動きがとれないようになってしまったようだった
「よし!行くぞ!」
ルイは豚の周囲を囲んで守っている魔術師は切り捨て、そして物陰に隠れて魔法を放ってくる奴らには、容赦なく反転魔法で跳ね返し、ついでにプラスアルファで新たな魔法を追加して元の魔法を放った主に返しているようだ
魔法が帰っていくたびに、色んな部位が欠損した魔術師が転げ回って悲鳴をあげている
ーー ルイ君、容赦ないねぇ ーー
ここでも、ひろは暇を持て余し実況中継していた
気づけば、豚を取り囲んでいた魔術師は全てルイに切り捨てられ、床に転がっていた
隠れたところから飛んできていた魔法も、いつのまにか飛んでこなくなった
ルイがジャックの魔法で動けずにいる豚の前に立つ
「やぁ、待たせたな。ここに来るまでに10年以上もかかっちゃったよ。豚になった気分はどうだ。まぁ、お前は俺と違って人の言葉も話せるようだし、それにいいもん食ってるみたいだしな」
ルイが豚の大きなお腹を手の甲で叩きながら笑う
「俺は10年も消し炭食ってたからな」
笑顔でそう言うと、ルイは豚の顔を思い切り殴った
もともと醜い豚の顔が、ますます醜く歪む
「なぁ……教えてくれないか?何故父上、フローレンス国王を殺した。フローレンスとアルタリアはこんなに遠いじゃないか。アルタリアに害を成した事など皆無の筈だ。無害のフローレンス国王を、何故殺さねばならなかった!!!」
「ふっ。それは覇王たる儂が世界征服をするための足がかりにするためだ。アルタリアとフローレンスの間にある国を挟み撃ちにして、我が領土とする。ゆくゆくは儂が全世界の王となるのだ!」
「貴様~~~言わせておけば!!おのれ!」
「お母さんの仇!」
ルイが剣を振り上げ切り捨てるより早く、豚の後ろから少年が飛び出し、豚の背に刃物を突き立てた
「えっ⁉︎」
豚が後ろを振り返る
「お前は………」
少年は涙で顔をぐちゃぐちゃにしながら、叫んでいる
「お母さんを返せ!!お前なんか!お前なんか、死んでしまえ!」
「お前、色んなところから恨みかってんだな。今、俺が楽にさせてやるよ」
ルイの一太刀で、豚の頭が飛んで行った
ルイが少年を見下ろしている
「お前もこいつにお母さんを殺されたのか?」
少年はルイを睨んでいる
「俺はこいつに父上を殺されたんだ。俺も猿にされて死の森に捨てられたしな」
「おじさんは誰だよ!」
「俺はルイだ。フローレンスという国で王様やってる」
「えっ!王様?あんたもこいつと一緒か!!」
少年が身構える
「猿になって10年以上も消し炭食ってた。こいつと一緒にするな!迷惑だ。それより、お前はどこから入ってきた!」
「城に大きな龍が突っ込んで行ったのを見たから、きっと中で大騒ぎになっていると思って……。今ならお母さんの仇をとれると思ったんだ」
「で、ここまで来たって事か」
「そうだよ!なんだよ!なんか文句あるか?」
ひろと戦いを終えたバーストとメシアが側にやってきた
「ルイ、こっちも終わったみたいだよ。あの…この子、誰?」
ひろが少年を見た。少年はいかにもスラムで生活している風な様相をしている
「俺は……俺のお母さんはこの城で働いてたんだ。下働きだったけどな。で、ここでこいつ(豚)に見つかって、それでお母さんは俺を産んだ。俺の親父はこいつだ。城を出て俺を産んだことを知ったこいつから命令された、こいつを守る騎士から俺が6歳になった時にお母さんは殺されたんだ。俺の目の前で斬られたんだよ!そして死ぬ前にお母さんが、本当の事を話してくれた。俺はお母さんが死んでからスラムで生きてきたんだ。俺はずっとお母さんの仇をとりたいと思って、それだけを思って頑張って生きてきたんだ。だから、俺はもう死んでもいいや。もう、生きていても何もいい事ないしな」
少年はこの豚の子供だと言った
証拠は何一つない。もしも本当だとして、何故この子は呪詛返しにあわなかったのか
多分血は繋がっているかもしれないが王族ではなかったからだろう
もうこの国には王族はいない。最後の王族である豚が死んだからだ
しかし、ルイはこの国を自分でどうこうしようと思っているわけではない。やはりこの国はこの国で生まれた者が治めるのが一番いいと思っているからだ
「なぁ、お前、この国の王様にならないか?」
謁見の間は、中央4階のど真ん中にあるらしい
《派手に行きますよ、結界を張っておいて下さいね》
バーストから念話が入った
多分、このまま突っ込むつもりだ
ひろはバーストの背に乗っている全員に結界を張る
ドッカーーーン!!!!ドドドドドド
物凄い音だった
ーー 城が揺れたよ、グラグラって ーー
気づくと皆無事に石の床の上に立っていた
メシアは子犬サイズから元の大きさに戻っている
バーストは人型になって、涼しい顔をしていた
あれ程の衝撃を受けても、傷一つないとは、流石無敵の炎龍である
暫くして突入によりもやもやと立ち上がっていた埃がおさまってくると、長く伸びる廊下の途中に二体の魔物が守る扉があるのが見えた
ーー 多分あそこが謁見の間だ ーー
「よし!皆手筈通りにな!!行くぞ!」
全員が謁見の間を目指して走り始める
その入り口は、ジャックの情報通りケルベロスとサイクロプスに守られていた
そして今、ケルベロスの前にはメシアが、サイクロプスの前にはバーストが立って身構える
「悪いが、ここは通させてもらう。後は頼んだ」
ルイが二体に目で合図する
ルイとひろが扉をあけて謁見の間に入ると、背後で魔物達の戦いが始まった
二人が謁見の間に入ったと同時に二人を狙って矢が飛んできた
次の瞬間、矢が方向を変えてそれを放った者に同じスピードで帰っていく
見事にひろの結界に付与した罠が発動したのだ
ーー やったぁ!!大成功!ーー
自らが放った矢に貫かれた者達が、転げ回っている
「ギャァーー!!毒が毒が……」
ーー やっぱり毒が塗ってあった ーー
「ルイ、全てに毒が仕込んであると思って間違い無いかもよ!頑張って」
ルイが頷くと謁見の間の中央に剣を抜き、ゆっくりと歩み出る
「死にたい奴はかかって来い!」
ーー くぅ~~!!ルイ、カッコいい!決まってる!ーー
ひろは夢見る乙女のように、ルイの背中を見てはため息をついている
今は戦いの真っ最中なのだが、この王妃は平和ボケの日本人気質がまだ抜けてないようだ
魔術師団から無数の魔法がルイやひろに放たれるが、ルイには全魔法無効となっているので、痛くもかゆくもないようだ。逆にひろに放たれた魔法は、先程の矢と同じように、それを発動した者に反転して帰っていくと、その者達に襲いかかる
ーー ああ~~可哀想にねぇ、痛そう ーー
あくまでも他人事である
「ジャック!!あの豚があそこから逃げないようにしといてくれ!」
「おう!」
流石、闇魔法の使い手のジャックだ。豚は、全く身動きがとれないようになってしまったようだった
「よし!行くぞ!」
ルイは豚の周囲を囲んで守っている魔術師は切り捨て、そして物陰に隠れて魔法を放ってくる奴らには、容赦なく反転魔法で跳ね返し、ついでにプラスアルファで新たな魔法を追加して元の魔法を放った主に返しているようだ
魔法が帰っていくたびに、色んな部位が欠損した魔術師が転げ回って悲鳴をあげている
ーー ルイ君、容赦ないねぇ ーー
ここでも、ひろは暇を持て余し実況中継していた
気づけば、豚を取り囲んでいた魔術師は全てルイに切り捨てられ、床に転がっていた
隠れたところから飛んできていた魔法も、いつのまにか飛んでこなくなった
ルイがジャックの魔法で動けずにいる豚の前に立つ
「やぁ、待たせたな。ここに来るまでに10年以上もかかっちゃったよ。豚になった気分はどうだ。まぁ、お前は俺と違って人の言葉も話せるようだし、それにいいもん食ってるみたいだしな」
ルイが豚の大きなお腹を手の甲で叩きながら笑う
「俺は10年も消し炭食ってたからな」
笑顔でそう言うと、ルイは豚の顔を思い切り殴った
もともと醜い豚の顔が、ますます醜く歪む
「なぁ……教えてくれないか?何故父上、フローレンス国王を殺した。フローレンスとアルタリアはこんなに遠いじゃないか。アルタリアに害を成した事など皆無の筈だ。無害のフローレンス国王を、何故殺さねばならなかった!!!」
「ふっ。それは覇王たる儂が世界征服をするための足がかりにするためだ。アルタリアとフローレンスの間にある国を挟み撃ちにして、我が領土とする。ゆくゆくは儂が全世界の王となるのだ!」
「貴様~~~言わせておけば!!おのれ!」
「お母さんの仇!」
ルイが剣を振り上げ切り捨てるより早く、豚の後ろから少年が飛び出し、豚の背に刃物を突き立てた
「えっ⁉︎」
豚が後ろを振り返る
「お前は………」
少年は涙で顔をぐちゃぐちゃにしながら、叫んでいる
「お母さんを返せ!!お前なんか!お前なんか、死んでしまえ!」
「お前、色んなところから恨みかってんだな。今、俺が楽にさせてやるよ」
ルイの一太刀で、豚の頭が飛んで行った
ルイが少年を見下ろしている
「お前もこいつにお母さんを殺されたのか?」
少年はルイを睨んでいる
「俺はこいつに父上を殺されたんだ。俺も猿にされて死の森に捨てられたしな」
「おじさんは誰だよ!」
「俺はルイだ。フローレンスという国で王様やってる」
「えっ!王様?あんたもこいつと一緒か!!」
少年が身構える
「猿になって10年以上も消し炭食ってた。こいつと一緒にするな!迷惑だ。それより、お前はどこから入ってきた!」
「城に大きな龍が突っ込んで行ったのを見たから、きっと中で大騒ぎになっていると思って……。今ならお母さんの仇をとれると思ったんだ」
「で、ここまで来たって事か」
「そうだよ!なんだよ!なんか文句あるか?」
ひろと戦いを終えたバーストとメシアが側にやってきた
「ルイ、こっちも終わったみたいだよ。あの…この子、誰?」
ひろが少年を見た。少年はいかにもスラムで生活している風な様相をしている
「俺は……俺のお母さんはこの城で働いてたんだ。下働きだったけどな。で、ここでこいつ(豚)に見つかって、それでお母さんは俺を産んだ。俺の親父はこいつだ。城を出て俺を産んだことを知ったこいつから命令された、こいつを守る騎士から俺が6歳になった時にお母さんは殺されたんだ。俺の目の前で斬られたんだよ!そして死ぬ前にお母さんが、本当の事を話してくれた。俺はお母さんが死んでからスラムで生きてきたんだ。俺はずっとお母さんの仇をとりたいと思って、それだけを思って頑張って生きてきたんだ。だから、俺はもう死んでもいいや。もう、生きていても何もいい事ないしな」
少年はこの豚の子供だと言った
証拠は何一つない。もしも本当だとして、何故この子は呪詛返しにあわなかったのか
多分血は繋がっているかもしれないが王族ではなかったからだろう
もうこの国には王族はいない。最後の王族である豚が死んだからだ
しかし、ルイはこの国を自分でどうこうしようと思っているわけではない。やはりこの国はこの国で生まれた者が治めるのが一番いいと思っているからだ
「なぁ、お前、この国の王様にならないか?」
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