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アルタリア王国へ
総力戦③
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物理攻撃無効の効果で、ルイには兵士の矢も槍も剣も届かない
ルイのやりたい放題だった
先程、ルイに大見得を切った派手な鎧を着た男が、大槍を持って構えている
ルイはそれを横目で見ながら、数だけはまだ十分いる兵士を、それらがルイの存在を目で確かめてから攻撃の動作に入るまでの間に、全て斬り伏せていく
ルイが大槍男に背を向けた瞬間、男がそれを待っていたとばかりに動き出した
ルイの背に大槍が迫る
確かに当たったはずだった
しかし槍先はルイの残像の中にあることを理解できない男は、自らの鎧を物ともせず、背中から貫通する剣が今、胸を貫くのを見た
男が驚いて後ろを振り返ると、ルイと名乗った男の顔がそこにあった
「やあ、俺の剣は嫁が作った特別製なもんでね」
ルイはそのまま剣を切り上げ胸から上を2つにした
それを見ていた兵士が狂ったように叫ぶ
「ば……化け物だ~!!逃げろ!」
動揺して隊形が崩れていくその中に、グアンナのぶちかましが炸裂する
「後は任せた」
ルイはグアンナ達に後を任せると、騎馬隊やワイバーン部隊の様子を見て、そこも殆ど従魔達の勝利で終わりかけている事を確認してから、結界を張って待っている妻のもとへ急いだ
そこには雷に撃たれたワイバーンと馬が2頭黒こげになって結界に張り付いていた
「なかなか面白い芸術作品だな」
ひろが結界から出てきた
「ルイ!大丈夫だった?怪我とかしてない?」
「ひろの魔法のおかげでな。この通りかすり傷一つない」
ひろはまだ戦っている従魔達の様子を確認する
騎馬隊がいた辺りは崩れた馬の氷像がそこ彼処に転がっている。また圧死した馬も転がっている
騎乗していた者達も、同じようにこと切れていた
空を見上げると、こちらに向かって飛んでくるバーストとジャックの姿があった
もうそこには、その二体の姿しかない
「グアンナ達も、もう直ぐに終わる。ああ、メシア達も戻ってきたな。みんな、無事か?」
ボスとジャックが笑って応える
「我らはそんなヤワではない」
「久しぶりに暴れて、スッキリしたぞ」
戦況報告をしている間にグアンナ達も戻ってきた
みんな怪我もなく、疲れたそぶりもない
全員の無事を確かめてから、ルイが従魔達に頭を下げた
「みんなありがとう。みんなのおかげで、ここまで来れた。後は城だけだ。ジャックからの情報では城は魔術師団が守っていると聞く。なので、この先は魔法の得意なメンバーだけで行く。終わったら皆で宴をしよう」
一緒に城に行く、メシア、バースト、ジャック以外のメンバーは魔空間に帰っていった
ひろはルイも含めたメンバーに気になることを説明する
「あのね、城の中は魔術師団が守っているのはわかったんだけど、私はルイのお父様が毒殺されたってところが、どうしても引っかかるのね。だからみんなに全毒物異常耐性の補助魔法をかけたいと思うの。それとルイには物理攻撃無効、全魔法無効もね。会ったことないけど、ここの王様ってかなり陰険な冷徹人間みたいだから、みんな気をつけてね。私は例の罠付き結界を自分にかけておくから、こっちは気にしないで、どんどんいっちゃって」
「私が城ごと焼き払っても良いのですが…」
「でもバースト、それじゃあ罪もない城で働く人まで巻き込んでしまうよ。できればそれは避けたいんだよね」
それまで考え込んでいたルイが、顔を上げると、ジャックに向き直る
「ジャック、すまないが先に城に行って、あの死に損ないの豚がどこにいるか、探ってきてくれるか?わかったらひろに念話で伝えてくれ。我らはそこにバーストで直接乗り込む」
「おう!任された」
ジャックが、黒い霧とともに消える
「みんな!これが最後だ!ジャックから念話が入り次第城に出発する。俺に力を貸してくれ!頼む!」
ルイが従魔達を見渡し頭を下げる
メシアが笑ってそれに答えた
「主人よ!今更でござる。我らは最後まで、お供すると決めている。大船に乗った気でいて欲しいでござるな」
城はここから馬車で二時間の所にあるらしい。ジャックならひとっ飛びだろう
今、皆、無言でジャックからの念話を待っているところだ
そしてジャックから念話がきた
《マスター!さっき使い魔の鳥が、港に向かった全軍が敗北したと、城に伝えてきた。王は必ずマスター等が城まで攻めてくるとふんで、今、謁見の間に魔術師団員を集めて、その中に埋もれるようにして座ってる。それから、魔術師団員の誰かの従魔だろうな、謁見の間の入り口をケルベロスとサイクロプスが守っている》
《わかった。ジャックはそのまま謁見の間で待ってて》
ひろは、残っているメンバーに今聞いたことを伝えた
それを聞いたルイが作戦を立て、それぞれに指示を出す
「皆、今ひろから聞いた通りだ。さあ、豚に引導を渡してやろう。入り口を守るケルベロスはメシア、サイクロプスはバーストで、頼むぞ。それからひろ、ジャックには俺の補助をするよう伝えてくれ。お前は謁見の間では、安全な所で自由にしてくれてもいいが、色んな物が飛んでくるだろうから、気をつけるんだぞ」
「ふふ~ん、今度はまた今までとは違った罠付き結界を張るから、みんな楽しみにしててね」
余程結界につける罠に自信があるのだろう。ひろが得意げな顔をして踏ん反り返っている
ルイがそれを見て吹き出した
で、お決まりの夫婦漫才が始まるのだが、だいたいいつもルイが謝って終わるのだ。そう、これが夫婦円満の秘訣である
「もう!ルイったら緊張感なさ過ぎ!次に変な時に笑ったらパンチだからね!」
今日も国王夫妻は仲良しです
「さあ!!行くぞ!!」
ひろは子犬サイズになったメシアを抱っこして、ルイと一緒にバーストの背に乗り込んだ
ルイのやりたい放題だった
先程、ルイに大見得を切った派手な鎧を着た男が、大槍を持って構えている
ルイはそれを横目で見ながら、数だけはまだ十分いる兵士を、それらがルイの存在を目で確かめてから攻撃の動作に入るまでの間に、全て斬り伏せていく
ルイが大槍男に背を向けた瞬間、男がそれを待っていたとばかりに動き出した
ルイの背に大槍が迫る
確かに当たったはずだった
しかし槍先はルイの残像の中にあることを理解できない男は、自らの鎧を物ともせず、背中から貫通する剣が今、胸を貫くのを見た
男が驚いて後ろを振り返ると、ルイと名乗った男の顔がそこにあった
「やあ、俺の剣は嫁が作った特別製なもんでね」
ルイはそのまま剣を切り上げ胸から上を2つにした
それを見ていた兵士が狂ったように叫ぶ
「ば……化け物だ~!!逃げろ!」
動揺して隊形が崩れていくその中に、グアンナのぶちかましが炸裂する
「後は任せた」
ルイはグアンナ達に後を任せると、騎馬隊やワイバーン部隊の様子を見て、そこも殆ど従魔達の勝利で終わりかけている事を確認してから、結界を張って待っている妻のもとへ急いだ
そこには雷に撃たれたワイバーンと馬が2頭黒こげになって結界に張り付いていた
「なかなか面白い芸術作品だな」
ひろが結界から出てきた
「ルイ!大丈夫だった?怪我とかしてない?」
「ひろの魔法のおかげでな。この通りかすり傷一つない」
ひろはまだ戦っている従魔達の様子を確認する
騎馬隊がいた辺りは崩れた馬の氷像がそこ彼処に転がっている。また圧死した馬も転がっている
騎乗していた者達も、同じようにこと切れていた
空を見上げると、こちらに向かって飛んでくるバーストとジャックの姿があった
もうそこには、その二体の姿しかない
「グアンナ達も、もう直ぐに終わる。ああ、メシア達も戻ってきたな。みんな、無事か?」
ボスとジャックが笑って応える
「我らはそんなヤワではない」
「久しぶりに暴れて、スッキリしたぞ」
戦況報告をしている間にグアンナ達も戻ってきた
みんな怪我もなく、疲れたそぶりもない
全員の無事を確かめてから、ルイが従魔達に頭を下げた
「みんなありがとう。みんなのおかげで、ここまで来れた。後は城だけだ。ジャックからの情報では城は魔術師団が守っていると聞く。なので、この先は魔法の得意なメンバーだけで行く。終わったら皆で宴をしよう」
一緒に城に行く、メシア、バースト、ジャック以外のメンバーは魔空間に帰っていった
ひろはルイも含めたメンバーに気になることを説明する
「あのね、城の中は魔術師団が守っているのはわかったんだけど、私はルイのお父様が毒殺されたってところが、どうしても引っかかるのね。だからみんなに全毒物異常耐性の補助魔法をかけたいと思うの。それとルイには物理攻撃無効、全魔法無効もね。会ったことないけど、ここの王様ってかなり陰険な冷徹人間みたいだから、みんな気をつけてね。私は例の罠付き結界を自分にかけておくから、こっちは気にしないで、どんどんいっちゃって」
「私が城ごと焼き払っても良いのですが…」
「でもバースト、それじゃあ罪もない城で働く人まで巻き込んでしまうよ。できればそれは避けたいんだよね」
それまで考え込んでいたルイが、顔を上げると、ジャックに向き直る
「ジャック、すまないが先に城に行って、あの死に損ないの豚がどこにいるか、探ってきてくれるか?わかったらひろに念話で伝えてくれ。我らはそこにバーストで直接乗り込む」
「おう!任された」
ジャックが、黒い霧とともに消える
「みんな!これが最後だ!ジャックから念話が入り次第城に出発する。俺に力を貸してくれ!頼む!」
ルイが従魔達を見渡し頭を下げる
メシアが笑ってそれに答えた
「主人よ!今更でござる。我らは最後まで、お供すると決めている。大船に乗った気でいて欲しいでござるな」
城はここから馬車で二時間の所にあるらしい。ジャックならひとっ飛びだろう
今、皆、無言でジャックからの念話を待っているところだ
そしてジャックから念話がきた
《マスター!さっき使い魔の鳥が、港に向かった全軍が敗北したと、城に伝えてきた。王は必ずマスター等が城まで攻めてくるとふんで、今、謁見の間に魔術師団員を集めて、その中に埋もれるようにして座ってる。それから、魔術師団員の誰かの従魔だろうな、謁見の間の入り口をケルベロスとサイクロプスが守っている》
《わかった。ジャックはそのまま謁見の間で待ってて》
ひろは、残っているメンバーに今聞いたことを伝えた
それを聞いたルイが作戦を立て、それぞれに指示を出す
「皆、今ひろから聞いた通りだ。さあ、豚に引導を渡してやろう。入り口を守るケルベロスはメシア、サイクロプスはバーストで、頼むぞ。それからひろ、ジャックには俺の補助をするよう伝えてくれ。お前は謁見の間では、安全な所で自由にしてくれてもいいが、色んな物が飛んでくるだろうから、気をつけるんだぞ」
「ふふ~ん、今度はまた今までとは違った罠付き結界を張るから、みんな楽しみにしててね」
余程結界につける罠に自信があるのだろう。ひろが得意げな顔をして踏ん反り返っている
ルイがそれを見て吹き出した
で、お決まりの夫婦漫才が始まるのだが、だいたいいつもルイが謝って終わるのだ。そう、これが夫婦円満の秘訣である
「もう!ルイったら緊張感なさ過ぎ!次に変な時に笑ったらパンチだからね!」
今日も国王夫妻は仲良しです
「さあ!!行くぞ!!」
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