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動乱
マジョール城にて③
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バチーーン!!!!
物凄い音がした
エリザベス様がルイの頬を思い切り叩いたのだ
その手を下げるより早く、女王の目から涙が溢れる
「この、うつけが!!お前はフローレンスの国王なのだぞ!その国王が、国の一大事にその国を捨てていくと申すか!!我が妹は、婚約者がいた身でありながら、フローレンスとの友好のため、一命を賭してまでかつての敵国に嫁いで行った。ルイ。お前の母は両国の平和を願い、命がけでお前を産み落としたのだ。お前はただの国王ではない。両国の平和の架け橋となるべく生まれてきた、平和の象徴なのだぞ。そのお前が国を捨てると申すか!平和を願ってお前を生んだ母に、なんと申し開きをするのか!!さあ、今ここで申してみよ!!」
長い沈黙が続いた
先に口を開いたのは、ルイだった
「軽はずみな事を言って申し訳なかった。ただ俺は父上を毒殺した奴らが許せない。優しかった父上の命を奪った奴らが憎い。俺はどうしても仇をとりに行きたいだけなんだ」
「あいわかった。ならばどうするのが良いか、まずは周りに相談すべきではないのか。一人で決めるな。お前には賢い妻もおるではないか。我もおる。力にもなろう。お前は一人ではない」
今度はルイが号泣した
そうだ。私達には手を差し伸べてくれる人達がいる。もう、二人きりではないんだ。
まだ、フローレンスに攻め込むまでには時間がある
焦る事はない。それまでに結論を出せばいい
今はまだ、血の繋がったもの同士、再会を喜ぶだけでいい
その日、急遽開かれたマジョールの議会で、女王は幽閉された妹君でありフローレンスの先代の妃でもあったマリアの救出と、フローレンスの不可侵領域への侵攻を理由に、彼の国へ戦線布告を行う事を宣言し、議会への了承を求めた
まだフローレンスへ放った間者が戻ってきていないことから、詳しい事が掴めておらず、今直ぐに動く事は得策ではないと判断し、とりあえず現段階では騎士団へ戦争の準備を整えるよう指示するだけに終わった
その日から、私とルイは女王の身内として王城の貴賓室で生活するようになった
今夜は女王一家と夕食を共にする事になっている
そこで、思わぬハプニングに見舞われるとは夢にも思わなかった
それはハプニングというよりも災難と言ったほうが正しいかもしれない
女王には王配であるヘンリー殿下との間に17歳の王女が一人いた。
王女以外子供はおらず、必然的に彼女が皇太子になる
勝ち気そうなキツイ顔の彼女は、一目見るなりルイを気に入って、正に恋する乙女になってしまったのだ
王女様だし、一人っ子だし、むちゃくちゃわがままなんだろうなあって、彼女を見るまでもなくわかってましたよ
でも、それはもう、わがままの範疇を軽く越えていました
「私はルイ・フローレンスです。私の母はマジョールの王女であったマリアです。そして私の隣にいるのは妻のひろです。妻はハイネ神様の愛し子でもあります。この度は私の国の事で、女王様に多大なるご迷惑をおかけする事になってしまい、申し訳ございません。何卒、お力添えをお願い致します」
ルイが挨拶を終えると、王女様がスクッと席を立ち、私の側へやってきた
「あなた、ルイ様の側から今直ぐに離れなさい。ルイ様のような高貴なお生まれの方のお側にいてもいいのは、私のような高貴な身分の者だけなのです。あなたのように、何処の馬の骨ともわからないような卑しい身分の者が、お側にいられるとでも、本気で思っているのかしら。それからそこのあなた!立ってないで早くこの者の荷物をまとめて、二人共直ぐに城から出て行きなさい。今夜から私が伽も務めます。もう、あなたは必要ありません。出て行きなさい」
王女様は、離れたところに立っていた人型のバーストにも喧嘩売ってるし、もう手当たり次第だなぁ
王女様はそう言い放つと、直ぐにルイの膝の上に座って、蕩けそうな顔を向けると、ルイの手を自分のドレスの胸元に入れて自分の胸を触らせている
まるで娼婦のような仕草だ
堪らず女王が席から立ち上がり娘のもとにやってくると、ルイの膝から引き摺り下ろした
「この、馬鹿者が!これが仮にも一国の皇太子たる者がする事か!恥を知りなさい!」
「だってお母様、常々言っていたではありませんか。勝機を逃すなって。直ぐに戦争が始まるのでしょう?ならば強くて身分の高い男性の子を身籠って、戦に送り出すのが身分の高い女性の心得と存じますわ。だから今日から私がルイ様の妃になって差し上げて、お子を身籠って、戦争に無事送り出して差し上げなければなりませんでしょ?」
「お前は………ルイ殿には既に奥方がおられる。お前の出番はない」
「あら、お母様。私のような高貴な身分の女性など、そうそういませんわ。それに、私、なんでもできる優秀な子ですもの。ルイ様もお気に召す筈ですわ。だから、今が絶好の勝機なんですわ。ふふふ…ルイ様、私があなたの妻のエヴァですわ。今夜、ルイ様のお部屋にお伺いしますわね」
話しが通じないところを見ると、どうやら聞く耳を持たないみたいだ
ルイはスッと立ち上がると、伸びてきたエヴァ様の手を軽くはたき落してから、私の手を取った
「女王、不愉快だ。今日はこれで失礼する。もしも今夜、この女が私の部屋に来たならば、即刻城を出る!ひろ、行こう」
ルイが凄く怒っているのがわかる
ひょっとしてハイネ様が言ってたいざこざって、これの事かな?
物凄い音がした
エリザベス様がルイの頬を思い切り叩いたのだ
その手を下げるより早く、女王の目から涙が溢れる
「この、うつけが!!お前はフローレンスの国王なのだぞ!その国王が、国の一大事にその国を捨てていくと申すか!!我が妹は、婚約者がいた身でありながら、フローレンスとの友好のため、一命を賭してまでかつての敵国に嫁いで行った。ルイ。お前の母は両国の平和を願い、命がけでお前を産み落としたのだ。お前はただの国王ではない。両国の平和の架け橋となるべく生まれてきた、平和の象徴なのだぞ。そのお前が国を捨てると申すか!平和を願ってお前を生んだ母に、なんと申し開きをするのか!!さあ、今ここで申してみよ!!」
長い沈黙が続いた
先に口を開いたのは、ルイだった
「軽はずみな事を言って申し訳なかった。ただ俺は父上を毒殺した奴らが許せない。優しかった父上の命を奪った奴らが憎い。俺はどうしても仇をとりに行きたいだけなんだ」
「あいわかった。ならばどうするのが良いか、まずは周りに相談すべきではないのか。一人で決めるな。お前には賢い妻もおるではないか。我もおる。力にもなろう。お前は一人ではない」
今度はルイが号泣した
そうだ。私達には手を差し伸べてくれる人達がいる。もう、二人きりではないんだ。
まだ、フローレンスに攻め込むまでには時間がある
焦る事はない。それまでに結論を出せばいい
今はまだ、血の繋がったもの同士、再会を喜ぶだけでいい
その日、急遽開かれたマジョールの議会で、女王は幽閉された妹君でありフローレンスの先代の妃でもあったマリアの救出と、フローレンスの不可侵領域への侵攻を理由に、彼の国へ戦線布告を行う事を宣言し、議会への了承を求めた
まだフローレンスへ放った間者が戻ってきていないことから、詳しい事が掴めておらず、今直ぐに動く事は得策ではないと判断し、とりあえず現段階では騎士団へ戦争の準備を整えるよう指示するだけに終わった
その日から、私とルイは女王の身内として王城の貴賓室で生活するようになった
今夜は女王一家と夕食を共にする事になっている
そこで、思わぬハプニングに見舞われるとは夢にも思わなかった
それはハプニングというよりも災難と言ったほうが正しいかもしれない
女王には王配であるヘンリー殿下との間に17歳の王女が一人いた。
王女以外子供はおらず、必然的に彼女が皇太子になる
勝ち気そうなキツイ顔の彼女は、一目見るなりルイを気に入って、正に恋する乙女になってしまったのだ
王女様だし、一人っ子だし、むちゃくちゃわがままなんだろうなあって、彼女を見るまでもなくわかってましたよ
でも、それはもう、わがままの範疇を軽く越えていました
「私はルイ・フローレンスです。私の母はマジョールの王女であったマリアです。そして私の隣にいるのは妻のひろです。妻はハイネ神様の愛し子でもあります。この度は私の国の事で、女王様に多大なるご迷惑をおかけする事になってしまい、申し訳ございません。何卒、お力添えをお願い致します」
ルイが挨拶を終えると、王女様がスクッと席を立ち、私の側へやってきた
「あなた、ルイ様の側から今直ぐに離れなさい。ルイ様のような高貴なお生まれの方のお側にいてもいいのは、私のような高貴な身分の者だけなのです。あなたのように、何処の馬の骨ともわからないような卑しい身分の者が、お側にいられるとでも、本気で思っているのかしら。それからそこのあなた!立ってないで早くこの者の荷物をまとめて、二人共直ぐに城から出て行きなさい。今夜から私が伽も務めます。もう、あなたは必要ありません。出て行きなさい」
王女様は、離れたところに立っていた人型のバーストにも喧嘩売ってるし、もう手当たり次第だなぁ
王女様はそう言い放つと、直ぐにルイの膝の上に座って、蕩けそうな顔を向けると、ルイの手を自分のドレスの胸元に入れて自分の胸を触らせている
まるで娼婦のような仕草だ
堪らず女王が席から立ち上がり娘のもとにやってくると、ルイの膝から引き摺り下ろした
「この、馬鹿者が!これが仮にも一国の皇太子たる者がする事か!恥を知りなさい!」
「だってお母様、常々言っていたではありませんか。勝機を逃すなって。直ぐに戦争が始まるのでしょう?ならば強くて身分の高い男性の子を身籠って、戦に送り出すのが身分の高い女性の心得と存じますわ。だから今日から私がルイ様の妃になって差し上げて、お子を身籠って、戦争に無事送り出して差し上げなければなりませんでしょ?」
「お前は………ルイ殿には既に奥方がおられる。お前の出番はない」
「あら、お母様。私のような高貴な身分の女性など、そうそういませんわ。それに、私、なんでもできる優秀な子ですもの。ルイ様もお気に召す筈ですわ。だから、今が絶好の勝機なんですわ。ふふふ…ルイ様、私があなたの妻のエヴァですわ。今夜、ルイ様のお部屋にお伺いしますわね」
話しが通じないところを見ると、どうやら聞く耳を持たないみたいだ
ルイはスッと立ち上がると、伸びてきたエヴァ様の手を軽くはたき落してから、私の手を取った
「女王、不愉快だ。今日はこれで失礼する。もしも今夜、この女が私の部屋に来たならば、即刻城を出る!ひろ、行こう」
ルイが凄く怒っているのがわかる
ひょっとしてハイネ様が言ってたいざこざって、これの事かな?
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