異世界のヒーローは皆んなイケメンだって誰が言った!

コロ星人

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動乱

マジョール城にて①

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 私達はバーストの背中に乗って、城の上をゆっくりと旋回した後、城の中庭に静かに降りて行った

 城の上空で旋回している際に、下の方から

 「龍が城に降りてくるぞ~~~!」

 「全員、抜刀!構えろ!」

 と叫ぶ声が聞こえてきた

 そして私達が降りた先に待っていたのは、ずらりと並んだ王国騎士団だった

 バーストは私達が降りたのを確認すると、絶世の美女バージョンに変化した

 ジャックは私の陰に潜んでいて、周りからは見えていない

 本人がオールラウンダーと自慢するだけのことはある

 メシアは子犬のまま、私に抱かれている

 隣にいるルイが怖い

 「貴様等、この城に何の用だ!どこから来た!神妙にお縄につけ!命だけは助けてやる!」

 森で出会った兵士がすかさず歩み出ると、団長と思われる大柄な男性に一度敬礼をしてから、大声を張り上げる

 「報告します!私は死の森担当部隊所属、アウラであります!今日森で爆発があり、急ぎ確認したところ、この方々を発見しました。その場で話を聞いたところ、フローレンス側の火事から逃げてきたとの事。私は直ぐにこの方々の従魔に乗り、空からフローレンス側の偵察に行きました。フローレンス側の森は現在も延焼中ではありましたが、その殆どは既に消失しておりました」

 「な、何だと!!隣のお前!!それは誠か!?」

 「はい!私は同じく死の森担当部隊所属、ケリーであります!私もフローレンス側に行き、同じものをしかとこの目で確認いたしました」

 「それで、その後はどうなった!?」

 「はい!我々二人は、その火事を引き起こしたのが、フローレンス王家の紋章をつけたゴーレムである事を、この目で確かに確認しました。その一部が我が領土側にもなだれ込み、既に森の一部を焼失しておりまして。こちらの方々は、その火災を消火してくださったばかりか、ゴーレム退治をもしてくださった上に、ことの重大さ故、城への報告が急を要すると知り、我等を従魔に乗せて、ことの詳細を説明方々、城までおいで下さった恩人でございます」

 「なんと!我が国の恩人であるか!それはご無礼いたした。深く陳謝いたす。ここでは話もできん。騎士団の詰所に移動し詳しく話をしていただこう。皆のものは各自部署に戻れ!解散!」

 はっ!という掛け声と共に、私達をぐるりと取り囲んでいた騎士たちが一斉にその場を離れる

 私達は騎士団長に詰所へ案内され、勧められるままに椅子に腰掛ける

 勿論、私の隣はルイだ。そして子犬のメシアはルイの膝に移動させられた

 人型のバーストは私達の後ろに控えて立っている

 騎士団長が飲み物を出しながら話始める

 「さて、そう固くならんで、ゆっくりお茶でも飲んでくだされ。儂はマジョール王国で騎士団長をしておる、シーザーだ。此度は大変世話になった、あらためて礼を言う」

 「顔を上げてくれ!俺はルイ、隣にいるのが妻のひろ、後ろに控えるのがひろの従魔のバースト、俺の膝にいるこいつが俺の従魔のメシアだ」

 「これはこれはご夫婦でございましたか。今日はフローレンス側から火事を逃れてこちらに来られたとか。その時の様子を詳しく話していただけますかな?」

 「俺達が気がついた時には、もう手がつけられなかった。まさかゴーレムが火をつけて回ってるなんて思わなかったしな。そこで俺達は火事に巻き込まれている動物と魔物を避難させるのを優先することにしたんだ。事後報告になるが、フローレンス側の動物と魔物をマジョール側に連れてきた。すまないが、こちらの森で保護してやってほしい」

 「それは構わない。死の森担当部隊に連絡しておこう」
 
 「恩にきる。それから、避難が全て終わってマジョール側で休んでたら、でかい音がしたので見に行ったら、フローレンス側にいたゴーレムの一部がマジョール側にやって来て火を撒き散らしてたのを見つけた。それを魔法で消火してゴーレムを無力化してたら、あの兵士達に見つかって、尋問されて……埒があかないから、ひろの従魔に二人をフローレンス側に連れて行ってもらい、事実を知ってもらってからここに来たってところか。何か質問はあるか」

 「マジョール側には何体来ていたのか?」

 「東側に2体、西側に1体の合計3体だ。火事は比較的初期に消したから、被害は最小限に抑えられたと思っている」

 「すまない……」

 バターーーーーーン!!

 急に勢いよくドアが開け放たれ、華やかな衣装を来た中年の女性が、けたたましい足音と共に駆け込んできた

 「シーザー!!炎龍が現れたと言うのは誠か⁉︎」

 「エリザベス様!!客人の前ですぞ!」

 「えっ?あ!この方々は?」

 「この方々は我が国の恩人であります。フローレンスのゴーレムが起こした火事をこの方々が無事おさめてくださったのです」

 エリザベス様と言われた高貴な雰囲気の女性は、じろじろと不躾な視線を送ってきたと思うと、急にルイの左手を持ち上げ強引に袖を引き上げると、その左腕にある赤い蔦の紋様を露わにした

 「何をする!!」

 ルイが左腕を引こうとすると、その女性はルイの左袖を引きちぎってしまった

 「そなた、名前はなんと言う!?」

 「相手の名前を聞くなら、まず自分からと教わらなかったのか?」

 「な、貴様……」

 シーザーが堪らず中に割って入ろうとする

 「シーザー!よい!これは失礼した。我が名はエリザベス・マジョール。この国の女王である」

 「そうか。貴女が……俺の名はルイという」

 ルイがそれを言い終わるや否や、女王はルイをきつく抱きしめた

 「生きておったのか!死んだと聞いていた……ルイ、まさか生きて会えるとは思わなかった……」

 「エリザベス様!その方は?」

 「この方は、10年以上前に死んだ事にされ表舞台から姿を消したフローレンス王国の正当な国王、ルイ・フローレンスその人だ」
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