異世界のヒーローは皆んなイケメンだって誰が言った!

コロ星人

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動乱

従魔の力

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 「ルイ、怪我はない?」

 声のした方に視線をやると、そこには最悪のタイミングで、ひろとその迫力満点の従魔達がそこにいた

 ひろはボスの肩に乗って手を振っている

 バーストは燃えるような赤い髪に透き通るような白い肌をしたボンキュッボンの絶世の美女になっている

 少し遅れてメシアが樹々の間を器用にすり抜けながら走ってやってきた

 「主人!!変わりはござらんか?」

 「な、何だ貴様ら!!」

 「お主こそ、我が主人に何用か?主人の他に怪しい気配がすると急ぎ来てみれば!!事と次第によっては、我が滅する!」

 グルルルルルルルルルルル

 メシアの全力の威嚇がすごい

 「こ、ここは不可侵の領域だ。そ、そしてここは我がマ、マジョール王国の領地である。不法に侵入してきたのは、貴様等であろうが!!正義は我にあり!!」

 「我等はフローレンス側で起きた山火事から逃げて来ただけの事!マジョールは命からがら逃げてきた者の保護もせず、罪人と罵倒するか!我は神獣なるぞ!我を怒らせるとは……マジョールという国は余程滅びの道を歩みたいとみゆる。最後にそなた等に我の慈悲を与えてやろう。喜べ!一瞬で終わらせてやる!」

 「メシア!待て!!まだ、話は終わっていない。我等が山火事から逃げてきたのは事実だ。疑うならフローレンス側を見てみればいい。見事に焼け落ちているはずだ。それでも信じられないなら捉えればいいだろう」

 「おい!どうした?大きな音がしたが、こいつ等は何だ?」
 
 木の陰から、同じ格好をした兵士らしき男が現れた

 「ああ、お前か。俺も大きな音がしたから来てみたところだ。そしたら、ここ等辺りが燃えていて、こいつ等がいた」

 「何だと?おい!貴様等、ここで何をしていた!」

 「俺達は、火事に巻き込まれフローレンスからこちらに逃げてきただけだ…」

 「ルイ!言うよりも見せた方が早くない?私のバーストとジャックは空を飛べるから、この人達を連れて行って、上から見てもらったらどうかな?バースト、ジャックいい?」

 「仰せとあれば」

 「マスターの言う事に嫌はないよ」

 「じゃあお願いね!兵士さん達、今から私の従魔があなた達を空からフローレンス側に案内します。二人で見れば、見間違いだとか勘違いなんて事は言えなくなるでしょ?二人でじっくり見てきてね」

 バーストがみるみる炎龍に変わる

 「ひっ!」

 それを見た兵士が息を飲むのがわかった


ーー あ!漏らしちゃった。汚いなぁ ーー


 「バースト、ジャック、お願いね」

 「「御意!!」」

 バーストとジャックはそれぞれ兵士を一人ずつその手に掴み上げると、上空高く舞い上がった

 2体は上空に行くにつれて、本来の大きさに戻っていく

 そこには空に浮かぶ二つの巨体があった

 2体は程なく岩山を越え、フローレンス側が見えてきた

 そこには確かに今朝まで実り豊かな森であったはずが、今は遥か遠くまで一面真っ黒に焦げ、いまだ至る所に火の手が上がる中にルイが気付かずに放置してしまったゴーレムが魔道具を使って樹々を燃やしていく様まで、はっきりと捉えることが出来た

 「な、何だこれは!!」

 「ば、馬鹿な……こ、こんなことが…許されるはずない………」

 「これでわかったであろう。これは全て事実だ」

 「あの生き残りのゴーレムは始末しておいてやる。またマジョール側に行かないとも限らないからな」

 言うや否や、ジャックの口から細い何かが吐き出された

 それは遥か上空から正確にゴーレムの核を捉えて撃ち抜かれた必殺の電撃であった

 核を壊されたゴーレムの体が崩れ落ちる

 その時、二人の兵士の目にゴーレムの背に鮮やかに描かれたフローレンス王家の紋章がはっきりと映った

 「あれはフローレンス王家の……」

 「何と言う事だ!これは一刻も早く城に知らせなければ!おい!!よくわかった!もう戻ってくれ!」

 「ふん!城に帰ってしっかりと報告するんだな」

 2体の魔物は翼を翻し、悠々と戻って行った



 「バーストもジャックもお疲れ様!向こうはもう殆ど燃やし尽くされてた?」

 「ひろ様、彼方はもうダメです」

 「それで、感想を聞こうか?まだ俺の話は嘘だと思うか?」

 「疑って申し訳なかった。あれは嘘偽りなく事実だった。我等はその犯人もはっきりとこの目で見てきた。我等は直ぐに城に戻ってこれを報告しなければならない。すまないが、何が起こったのか詳しく聞きたい。我等と一緒に城まで来てはもらえないだろうか?」

 二人の兵士は一転して頭を下げてきた

 「ひろ、城まで付いて来いってよ。どうする?」

 「絶対に行かなきゃダメなの?」

 「これは我が国の一大事だ!是非協力願えないだろうか?」

 「ルイ、ついでに女王様に会ってくるってどう?」

 「俺は気がすすまない。できれば避けたい気分だ」

 「残念ながら、女王様は平民とはお会いにならない。我等が案内するのは、騎士団の兵舎だ」

 「お城ってここから遠いの?」

 「歩いて2日ほどかかると考えてくれ」

 「途中でどこかに泊まるの?それとも野宿?」

 「途中、その町にある騎士団の詰所に泊まる」

 「何だか臭そうで、嫌だなぁ」

 「ひろ様、炎龍である私の背に乗って城まで行けばいい。城までなら造作もないこと」

 「え?バースト、甘えていいの?ここに居る四人を乗せて行くんだよ?」

 「私は無敵の炎龍!これしきのこと、出来なくてどうする。お任せあれ」

 「じゃぁ、お願いしようかな?」

 結局、バーストの背に全員が乗せてもらう事になった

 ジャックは自力で飛んで一緒に付いてくるらしい

 ボスは泣く泣く魔空間へ帰って行った

 メシア君は小さな子犬サイズになって私の膝の上に乗った

 「メシア!貴様、覚えてろよ!後で、きっちり可愛がってやる」

 嫉妬の塊になったルイがメシアに全力で威嚇するが対するメシアはどこ吹く風だ

 二人の兵士はバーストの背に恐々座っている

 さっきみたいに、ちびったらお仕置きだからね


 「バースト!みんな乗ったから、お願いね」

 「承知!」

 私達はマジョールの遥か上空をバーストに乗って、下界の景色を堪能しながら城に向かって進んで行った

 その後、巨大な炎龍が城の中庭に降りたち、大騒ぎになるとも知らずに
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