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動乱
神様のもとへ
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イケメンになったルイは、とにかくめちゃくちゃかっこよかった
髪や瞳の色は変わらないが、薄く色付いた褐色の肌に、元の世界で言うと、色気たっぷり、濃いアラブ系の王子様という感じだ
身長も、多分190cmはあるだろう
鍛え上げた体は鋼のようで、しなやかなマッチョだ
うん、見ているだけで眼福です
素敵なこの人が私の激甘な夫だなんて、未だに信じられないのだが、それを口にするとルイが拗ねるので、それは私の胸の奥深くにしまい込む
あれから毎日、私達は1日の内の大半を藁の寝床の上で過ごしている
言わずもがな、夫になったルイが私を離してくれないせいだ
ルイは「新婚さんはハネムーン期には、みんなベッドから降りずに愛し合うのが普通だ」とさらりと言ってのけて、自分を正当化しようとする
猿人類の頃はこんな理屈を捏ねて強引に話を進めるみたいな事はしなかったはずなのに、どうしたものか
「ルイがだんだん理屈っぽくなってきてる」
「ん?俺が理屈っぽい?だって仕方ないじゃない。前は猿人類だったんだから。多分心が猿人類の自分に引き摺られて深く考える事が出来なかったんだよ。だから、今は正常に戻っただけ。それにひろ言ってたじゃない。どんな俺でも好きだって」
ルイはそう言い切ってにこにこ笑っている
私、もうルイに口ではかなわないかもしれない
賢い魔狼達は、はじめ変身したルイに驚いていたが、私達の雰囲気から、粗方のことは察したらしく、あれから必要以上に甘えなくなった
それから暫くして、そろそろハネムーン気分の抜けたルイは、人間になった自分の能力を試してくると言って、久しぶりに狩に出かけて行った
そしていつものように、フォレストボアを背中に担いで、悠々と戻ってきた
結果わかったことは、今までと何も変わらないということだったみたい
ルイが狩に行っている間、私は、ルイが人間になって背も高くなり、スタイルも変わって、それまで着ていた服がサイズもスタイルもまるっきり合わなくなったため、手持ちの布を使って新しい服を作っていた
背も高く、モデル並みにスタイルもいいルイは、何を着せても似合った
ルイが狩から戻って、出来上がった服を試着して着心地などを確かめていた時、急に森の方から何度も爆音が響いてきた
「え?何?」
私とルイは、慌てて洞窟の入り口にある広場に出て来ると、上から森を見渡す
すると森の入り口付近から火の手が数カ所同時に上がっていた
私達が見ている間にも、繰り返し爆音が響き渡り、新たな火が上がる
それに、風向きも変わり、先程からこちらに向けて吹いている
これは、どうしたことか
何が起こっているのか
「ねえ、これ水と風で何とかならないかな?」
「うん。何とかなると思うけど、これ多分ひろの領分のやつだと思うよ」
「そうだね。ちょっと強めの風に、しとしと長雨ってところかな?それならおやすいご用だよ!お願いだから、水害が起こらない程度に森全体に雨を降らせて?風もこちらから向こう側へしっかり吹かせて欲しいな。雨と風は明日の昼までずっと降り続けてね。さあ、これでどうだ!」
暫くして、火事は収まった。でも、相変わらず爆音は響いている。幸い火は直ぐに消えるけど、付近にいる魔物や動物達は命を落としているかもしれない
「ルイ、私、あの火の中に物凄く人の悪意を感じるんだけど」
「うん、俺も」
「ねえ、ルイ。私、一つ気になる事があるんだけど」
「ん?何?言ってみて?」
「ルイが猿人類になってたのって、呪いだったの?」
「うん、呪いで間違いないよ。で、ひろが俺を愛してくれたから解呪できた」
ルイは私を抱きしめてキスをしてくる
「ルイ……私、話の途中、だよ」
「あ、ごめん。ついね」
「ルイの呪いが解けたってことは、それをかけた人に返っていくってことない?呪い返しみたいな……」
「それだ!!ひろ、頭いい!!呪いが返ってきたから、呪いをかけた奴に、俺の呪いが解けた事がわかっちゃったんだ。呪いをかけるくらいの奴だから、多分悪い奴に決まってる。だから、この森に置き去りにした俺の息の根を今度こそ止めようとしているって考えたら、あの執拗な火事も説明がつくよね。くそ!どこまで性根の腐った奴なんだ」
「ねえ、その腕の紋様のこともあるし、一度二人で神様の所に相談に行ってみない?ちょっと頼りない神様だけど、聞きに言ってみる価値はあると思うんだ」
「神様の所って、そんなに簡単に行けるもんなの?」
「多分、私が願えば大丈夫だと思うよ」
「じゃあ、行ってみるか?」
「うん。じゃぁ、ルイ、私と手を繋いで?」
「別に俺は繋がるのは手でなくてもいいけど?」
「もう、ルイ!!怒るよ!」
「ははは、ひろはどこで繋がると思ったの?教えて?」
「ルイの馬鹿!!」
私はプイと横を向いてルイに抗議する
「もう、ひろは可愛いなぁ。つい、いじめたくなっちゃう」
「ルイなんか嫌い!」
「それは困るなぁ。ね、機嫌なおして?」
ルイは私を抱きしめてキスの雨を降らせる
私は、思わず体の力が抜けてしまい、ルイにもたれかかる
ルイの掌で踊らされているようで、悔しい
「ひろ、愛してるよ」
イケメンになったルイのその言葉は、物凄い破壊力だ
私なんかチョロいもんである
「さてと。遊んでばかりもいられないな。ひろ、神様の所へ案内して?」
私はルイと手を繋ぐ
ーー ハイネ様。お久しぶりです。ルイの呪いが解けました。二人でご相談したい事があります。ハイネ様にお会いしてお話ししたいのですが、よろしいでしょうか?ーー
ーー やあ、ひろ、ほんっとに久しぶりだね。ルイの呪いを解いてくれてありがとう。仲も良さそうで何よりだよ。さて、私と相談したい事があるのかい?ああ、現在進行中みたいだね。それは色々大変だ。いいよ、こちらにおいで ーー
私達は、眩しい光に包まれて思わず目を瞑る
次に目を開けた時には、あの真っ白な世界が目の前に広がった
髪や瞳の色は変わらないが、薄く色付いた褐色の肌に、元の世界で言うと、色気たっぷり、濃いアラブ系の王子様という感じだ
身長も、多分190cmはあるだろう
鍛え上げた体は鋼のようで、しなやかなマッチョだ
うん、見ているだけで眼福です
素敵なこの人が私の激甘な夫だなんて、未だに信じられないのだが、それを口にするとルイが拗ねるので、それは私の胸の奥深くにしまい込む
あれから毎日、私達は1日の内の大半を藁の寝床の上で過ごしている
言わずもがな、夫になったルイが私を離してくれないせいだ
ルイは「新婚さんはハネムーン期には、みんなベッドから降りずに愛し合うのが普通だ」とさらりと言ってのけて、自分を正当化しようとする
猿人類の頃はこんな理屈を捏ねて強引に話を進めるみたいな事はしなかったはずなのに、どうしたものか
「ルイがだんだん理屈っぽくなってきてる」
「ん?俺が理屈っぽい?だって仕方ないじゃない。前は猿人類だったんだから。多分心が猿人類の自分に引き摺られて深く考える事が出来なかったんだよ。だから、今は正常に戻っただけ。それにひろ言ってたじゃない。どんな俺でも好きだって」
ルイはそう言い切ってにこにこ笑っている
私、もうルイに口ではかなわないかもしれない
賢い魔狼達は、はじめ変身したルイに驚いていたが、私達の雰囲気から、粗方のことは察したらしく、あれから必要以上に甘えなくなった
それから暫くして、そろそろハネムーン気分の抜けたルイは、人間になった自分の能力を試してくると言って、久しぶりに狩に出かけて行った
そしていつものように、フォレストボアを背中に担いで、悠々と戻ってきた
結果わかったことは、今までと何も変わらないということだったみたい
ルイが狩に行っている間、私は、ルイが人間になって背も高くなり、スタイルも変わって、それまで着ていた服がサイズもスタイルもまるっきり合わなくなったため、手持ちの布を使って新しい服を作っていた
背も高く、モデル並みにスタイルもいいルイは、何を着せても似合った
ルイが狩から戻って、出来上がった服を試着して着心地などを確かめていた時、急に森の方から何度も爆音が響いてきた
「え?何?」
私とルイは、慌てて洞窟の入り口にある広場に出て来ると、上から森を見渡す
すると森の入り口付近から火の手が数カ所同時に上がっていた
私達が見ている間にも、繰り返し爆音が響き渡り、新たな火が上がる
それに、風向きも変わり、先程からこちらに向けて吹いている
これは、どうしたことか
何が起こっているのか
「ねえ、これ水と風で何とかならないかな?」
「うん。何とかなると思うけど、これ多分ひろの領分のやつだと思うよ」
「そうだね。ちょっと強めの風に、しとしと長雨ってところかな?それならおやすいご用だよ!お願いだから、水害が起こらない程度に森全体に雨を降らせて?風もこちらから向こう側へしっかり吹かせて欲しいな。雨と風は明日の昼までずっと降り続けてね。さあ、これでどうだ!」
暫くして、火事は収まった。でも、相変わらず爆音は響いている。幸い火は直ぐに消えるけど、付近にいる魔物や動物達は命を落としているかもしれない
「ルイ、私、あの火の中に物凄く人の悪意を感じるんだけど」
「うん、俺も」
「ねえ、ルイ。私、一つ気になる事があるんだけど」
「ん?何?言ってみて?」
「ルイが猿人類になってたのって、呪いだったの?」
「うん、呪いで間違いないよ。で、ひろが俺を愛してくれたから解呪できた」
ルイは私を抱きしめてキスをしてくる
「ルイ……私、話の途中、だよ」
「あ、ごめん。ついね」
「ルイの呪いが解けたってことは、それをかけた人に返っていくってことない?呪い返しみたいな……」
「それだ!!ひろ、頭いい!!呪いが返ってきたから、呪いをかけた奴に、俺の呪いが解けた事がわかっちゃったんだ。呪いをかけるくらいの奴だから、多分悪い奴に決まってる。だから、この森に置き去りにした俺の息の根を今度こそ止めようとしているって考えたら、あの執拗な火事も説明がつくよね。くそ!どこまで性根の腐った奴なんだ」
「ねえ、その腕の紋様のこともあるし、一度二人で神様の所に相談に行ってみない?ちょっと頼りない神様だけど、聞きに言ってみる価値はあると思うんだ」
「神様の所って、そんなに簡単に行けるもんなの?」
「多分、私が願えば大丈夫だと思うよ」
「じゃあ、行ってみるか?」
「うん。じゃぁ、ルイ、私と手を繋いで?」
「別に俺は繋がるのは手でなくてもいいけど?」
「もう、ルイ!!怒るよ!」
「ははは、ひろはどこで繋がると思ったの?教えて?」
「ルイの馬鹿!!」
私はプイと横を向いてルイに抗議する
「もう、ひろは可愛いなぁ。つい、いじめたくなっちゃう」
「ルイなんか嫌い!」
「それは困るなぁ。ね、機嫌なおして?」
ルイは私を抱きしめてキスの雨を降らせる
私は、思わず体の力が抜けてしまい、ルイにもたれかかる
ルイの掌で踊らされているようで、悔しい
「ひろ、愛してるよ」
イケメンになったルイのその言葉は、物凄い破壊力だ
私なんかチョロいもんである
「さてと。遊んでばかりもいられないな。ひろ、神様の所へ案内して?」
私はルイと手を繋ぐ
ーー ハイネ様。お久しぶりです。ルイの呪いが解けました。二人でご相談したい事があります。ハイネ様にお会いしてお話ししたいのですが、よろしいでしょうか?ーー
ーー やあ、ひろ、ほんっとに久しぶりだね。ルイの呪いを解いてくれてありがとう。仲も良さそうで何よりだよ。さて、私と相談したい事があるのかい?ああ、現在進行中みたいだね。それは色々大変だ。いいよ、こちらにおいで ーー
私達は、眩しい光に包まれて思わず目を瞑る
次に目を開けた時には、あの真っ白な世界が目の前に広がった
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