異世界のヒーローは皆んなイケメンだって誰が言った!

コロ星人

文字の大きさ
上 下
15 / 49

私の知らないルイ

しおりを挟む
 目を開けると、そこにはルイではないと言うより、猿人類ではない人がいた

 まぁ、一応一つに繋がってはいるのだが……だから余計に訳がわからない

 なんだかマジックショーみたいな感じと言うか、狐につままれたような感じと言うか、理解に苦しむ

 「貴方、誰?」

 私にそう問いかけられて初めて、目の前の人は不思議そうな顔をすると、ゆっくり自分の両手を見てから、慌てて自分の顔を触り、乱暴に自分の胸を触って確かめてから私を見た

 「か………変わってる…………ひろ、俺、ひ、人になって、る?」

 「うん、立派な人になってるよ。それも、凄いイケメンの………で、貴方、誰?」

 「俺は、ルイだよ!信じられないかもしれないけど、間違いなくルイだよ!今だって、さっきからずっと君と一つになってるじゃないか。この状態を見ても疑うの?ひろ、酷いよ」

 「だって私の好きなルイは、人じゃないもの。不格好で見た目猿だし」

 「ひろは人でないほうの俺が好きなの?人になった俺は嫌い?」

 「嫌いというか、信じられない?」

 私のなかに入っていたアレが、急速に萎んで外に出てしまった

 「どう説明していいのかわからないけど、俺は間違いなくルイだよ。さっきまで人じゃなかったけど、人になったルイだよ。今日は君をケルベロスから助けて、一緒にここに帰ってきたし、夜は君が作ったカレーをたくさんおかわりしたルイだよ。これでも信じられない?」

 そういうと目の前の人はこてんと首をかしげて、私を見つめる

 ルイがよくしていた仕草だ

 「本当にルイなの?」

 「うん!間違いなくルイだよ!君のことが世界一好きなルイだよ!ひろ、愛してる!」

 そう言ってその人は私を抱きしめて頬ずりをした


ーー あ!これはルイだ。間違いなくルイだ ーー


 私はその人をギュッと抱きしめ返した

 その人が息を飲むのがわかる

 そして直ぐに顔を上げて不安げに私を見つめると

 「ひろ、信じてくれた?」

 「うん、今のでわかった。間違いなく私の好きなルイだって」

 「ひろ!ありがとう!!大好きだよ!」

 イケメンになったルイの顔がみるみる綻び、満面の笑顔になって私を抱きしめる手に力を込める

 「ああ……これで引け目を感じることなく、思い切り君を愛せる………ひろ、愛してるよ、誰よりも。この命をかけて君を護ると決めた時からずっと、言葉では言い表せないくらい愛してる。君を好きだと思う気持ちが溢れて、胸が苦しくて、それを隠すのも限界で、でも君を見ていることしかできなくて。気が狂うかと思った。毎日抱きしめて頬ずりをして君を感じても、それでももう限界だったんだ。ひろ、好きだよ。ずっと一つになりたいと思ってた。だから、いっぱい愛し合おう?」

 それは強烈な愛の告白だった

 嬉しくてルイを見つめる目に涙が溢れる

 「え?ひろ、どうしたの?俺と一つになるの嫌だった?」

 ルイが私の涙に驚いてあたふたし始める

 「ち、違う……ルイが、言ってくれた事が、嬉しくて……」

 チュッ

 ルイが私の涙にキスをする

 「ああ……もうこれ以上君を好きになれないと、MAXだと思ってたけど、俺が君を思う気持ちには上限はないみたいだ。ひろ、さっきよりも今の方がずっともっと強く君を愛しく思ってるよ。ねえ、さっきの続きをしよう?」


 その日、私達は深く愛し合った

 何度も何度も

 




ーーーー side ルイ ーーーー


 その日、俺は明け方になるまで、ひろを離してあげられなかった

 ひろの中は最高に気持ちよくて、俺は何度も中出しした

 今までずっと我慢してきたものが、一気に溢れて爆発してしまったようだった

 最後、一つになっていたのが離れてしまった時の焦燥感ったらなかった

ーー ずっと一つでいられたらいいのに ーー

 そんな事を思いながら、俺はひろを抱きしめて眠りについた



 眠りの中で俺はずっと夢を見ていた

 それは物凄くリアルで、俺は怖くて震えが止まらなかった

 これが事実なら、俺個人の問題だけでは終わらない大変な事だと思った

 それは俺が猿人類になる前の出来事だった

 その中で俺は、自分が本当は誰で、どんな身分なのかを知った

 そして何故猿人類になってしまったのかもわかった

 最後に見たのは、猿人類になった俺が、この森に捨てられるところだった


 

 多分俺は魘されていたのだろう

 汗でびっしょりになっている

 「ルイ!ルイ!大丈夫?」

 目を開けると、側でひろが心配そうに覗き込んでいた

 「大丈夫だよ、ひろ、おはよ」

 俺は柔らかく微笑んで、ひろにキスをした

 「ルイ、おはよう」

 「ひろ、体は大丈夫?辛くない?」

 「ルイこそ、本当に大丈夫なの?だってそれ……」

 「えっ?それって」

 俺はひろが指差す先を見る

 「これは何だ?」

 ひろに急かされて見た先には、昨夜までなかったはずのものがそこにあった

 俺の左腕から左胸にかけてびっしりと、蔦に花が咲いている真っ赤な文様が刻まれていたのである

 試しに腕を動かしてみたが、痛みなどの不自由は感じなかった


ーー 昨夜見た夢と関係があるのだろうか……ーー


 俺の尋常ではない様子に異変を察したひろが、俺を抱きしめる

 「私はどんなルイでも好きだよ。でも、私を一人にして死んじゃうのは嫌!」

 「馬鹿だな。やっと君と一つになれたばかりなのに、そうやすやすと死ねるもんか。君との子供が大きくなるまでは、何が何でも頑張るつもりだ」

 「えっ?もうお父さんになった気でいるの?」

 「だって、昨夜たくさん中に出しただろ?できたかもしれないじゃない」

 俺は愛しいひろの下腹を、優しく撫でる

 人になって、俺はひろに対する気持ちを抑える事をしなくなった

 もう俺たちは夫婦だ

 誰に何の遠慮がいるだろう

 自分の妻に愛しいと言って何が悪い

 俺は堂々と言ってやる


 「ねえ、私、ルイに言っておきたいことがあるんだけど」

 「えっ?何?」

 「私が神様からここに連れてこられるときに、一つだけ約束させられた事があるの」

 「約束?」

 「うん。あの子を愛してくれたら転移させてあげるって言われた」

 俺の顔が引きつるのがわかった

 「ひょっとして、ひろは神様と約束したから、俺のこと好きになったの?」

 「違うよ!だって、そんなのとっくに忘れてたもん。それに、本当に好きでなかったら、人間でもないルイと結ばれたいなんて思わない!」

 ひろがめちゃくちゃ怒っている


ーー 可愛いな ーー


 「うん、知ってる。ひろ、愛してる」

 俺達はまた、愛し合った
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

村から追放された少年は女神様の夢を見る

月城 夕実
ファンタジー
ぼくはグリーン15歳。父が亡くなり叔父に長年住んでいた村を追い出された。隣町の教会に行く事にした。昔父が、困ったときに助けてもらったと聞いていたからだ。夜、教会の中に勝手に入り長椅子で眠り込んだ。夢の中に女神さまが現れて回復魔法のスキルを貰ったのだが。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

黒の神官と夜のお世話役

苺野 あん
恋愛
辺境の神殿で雑用係として慎ましく暮らしていたアンジェリアは、王都からやって来る上級神官の夜のお世話役に任命されてしまう。それも黒の神官という異名を持ち、様々な悪い噂に包まれた恐ろしい相手だ。ところが実際に現れたのは、アンジェリアの想像とは違っていて……。※完結しました

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

処理中です...