異世界のヒーローは皆んなイケメンだって誰が言った!

コロ星人

文字の大きさ
上 下
8 / 49

衣食住に必要なものが欲しい

しおりを挟む
 あれから毎日、私はルイに抱きしめられて眠っている

 ルイは絶対に私と離れて眠ろうとしない

 目の前で私の存在が一瞬にしてかき消えたあの10日間は、ルイにとってトラウマになってしまったようで、1日の内の殆どの時間、気がつけば私と手を繋いでいる

ーー ルイが安心できるようになるまで、暫くは手を離してくれそうにないなぁ。う~ん、困った ーー

 とりあえずルイの事は本人の気がすむまで、暫く放っておく事にした


 そして私達が暮らすこの洞窟の中には、スライムが2匹いて、私達の排泄物を処理してくれている

 異世界って本当にエコだなぁとつくづく思った

 それからこの洞窟だけど、奥に行くと色んな鉱石の埋まった宝の場所だって事がわかった

 私としては鍋や針等が作れれば良かったんだけど、それに必要な鉄鉱石のほかに、目の前の岩肌を適当に掘るだけで、なぜかアダマンタイトやミスリル鉱石なんかもわんさか出てきて驚いてしまった

 これは多分一昨日の夜、私が寝る前に

 「お鍋とか針とか作りたいから、色んな鉱石が欲しいんだけど、一番いいのはこの洞窟の中にある事だよね~。そしたらお手軽に取りたい放題なんだけど、世の中そんなに甘くないかぁ」

 なんて何気に冗談で言ったら、見事にお願いチート発動しちゃったらしくて、それからここはお宝鉱石の眠る住居兼採掘場になってしまった

 ははは………やっちまっただよ

 昨日は適当に採掘した鉄鉱石を加工して、鍋とフライパンと焼き網と針を作りました

 それでわかったことがあるんだよね
 
 私のお願いチートも万能ではないと言うこと

 それがね。昨日、採掘した鉱石から直接お鍋とかフライパンとかを作ろうとしたんだけど、できなかったんだよ

 先ず、鉱石から素材のみ抽出して、それからそれを加工成形する

 面倒臭がらず、きちんと手順を踏まないとダメみたいだった

 で、昨夜は出来上がった鍋と焼き網を使って、ハーブたっぷりの具沢山野菜スープと焼肉にしました

 肉の味は岩塩のみだけど、とりあえず網で焼いて食べました

 スープは捨てずにとっておいたボアちゃんの骨と屑野菜とハーブでブイヨンを作り、それに野菜やハーブを入れて岩塩で味付けしたものをココナッツの殻によそって食べました

 箸とかスプーンなんてないので、とりあえずその日は熱湯消毒した小枝を使って食べました

 明日、スプーンとかフォークやおたまなんかを作りたいと思った私です

 野菜を食べた事がないと言っていたルイは、初めて口にする野菜スープを一口飲んで

 「オレ、これ、好き」

 と言ったきり無言になり、物凄い勢いでスープを平らげた後、ココナッツの殻の容器に5杯もおかわりをしていた

 ルイが野菜を食べるかどうかわからないなんて思ってた奴は誰だよ

 私だよ

 これは野菜の量もしっかり確保しなくちゃダメだと悟った私は、明日からの採集に気合いを入れたのだった





 "のし"を川に浸けてから4日が経った

 今日は"のし"を水から引き上げる日である

 私はルイと手を繋いで洞窟から転移して川辺にやってきた

 "のし"を浸したはずの川を見て、私とルイは驚いた

 そこにあったはずの"のし"がなかったのだ

 慌てて近寄ると、そこには軽く10mはあったはずの"のし"の葉肉が溶けてなくなり葉脈だけになって縮まった物が、1mばかりの長さの分厚いパイル地のような薄緑色の布になって水に浮かんでいたのだ


ーー これ、夢じゃないよね。10分の1に縮こまったから、水に溶けずに残った葉脈がぐっと縮んで荒かった目が狭くなり、丈夫な布になったって事かな?異世界って何でもありだなぁ。でも、これでルイのパンツが作れる ーー

 
 実は、昨日私が洞窟に籠もって鍋や針等を作っている間に、ルイがポイズンスパイダーの糸を採ってきてくれたのだ

 この糸は丈夫で伸縮性に優れているらしいので、パンツを縫うのにうってつけで、私はルイに感謝しきりだった


 布を水から引き上げて回収すると同時に、また新しく''のし"を川に浸けておく


 洞窟に帰り、"のし"からできた布を乾かしてる間に、私はハサミを作ることにした

 そして出来上がったルイのパンツは、腰から落ちないようにポイズンスパイダーの糸を束ねて紐にして結べるようにしたこともあって、処女作にしては満足できるものだった

 10枚あった布で、私はルイのパンツをとりあえず3枚作り、残った布はタオルとして使うことにした

 ルイには、今付けている皮の腰みのの下に、このパンツをつけてもらうことにした

 するとルイは無邪気に腰みのを取り、アレを隠すこともなくパンツを穿いて見せた


ーー わぁ~、どうしよう……ルイのアレ、しっかり見ちゃったよ……多分、似合うかどうか聞きたいんだろうな。目がキラキラしてるよ ーー


 「ルイ、動きづらいとかない?」

 「うん。オレ、これ、気に入った」

 「それを穿いたルイはカッコいいけど、その上からいつもの腰みのを付けると、もっとカッコよくなると思うよ」

 「もっと、カッコ、よくなる?オレ、腰みの、付ける」

 ルイは喜んで腰みのを付けてくれた

 なんだか、お母さんになった気分である

 ルイがパンツを気に入ってくれた事で、私は期せずして見えていたルイのアレを、見なくてもよくなった事に安堵した


ーーとりあえず、最重要課題はクリアしたかな?ーー


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

村から追放された少年は女神様の夢を見る

月城 夕実
ファンタジー
ぼくはグリーン15歳。父が亡くなり叔父に長年住んでいた村を追い出された。隣町の教会に行く事にした。昔父が、困ったときに助けてもらったと聞いていたからだ。夜、教会の中に勝手に入り長椅子で眠り込んだ。夢の中に女神さまが現れて回復魔法のスキルを貰ったのだが。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

黒の神官と夜のお世話役

苺野 あん
恋愛
辺境の神殿で雑用係として慎ましく暮らしていたアンジェリアは、王都からやって来る上級神官の夜のお世話役に任命されてしまう。それも黒の神官という異名を持ち、様々な悪い噂に包まれた恐ろしい相手だ。ところが実際に現れたのは、アンジェリアの想像とは違っていて……。※完結しました

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

処理中です...