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転移したら、アレに会った
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何かに頬を触られているような感覚に、目を覚ました
ーー ここ、どこ? ーー
薄っすらと目を開けて周りを見渡すと、暗がりの中で次第に目が慣れてきて、どうもここが洞窟のような所らしいと気づいた
ふと視線を感じて、見られてる感じのする方へ目をやると、いきなりそれと目があった
「※∈#∂⌘⁂!」
「ギャーー!!」
それは、何か叫んで慌てて洞窟から出て行った
ーー ちょっと今の何? ーー
あまりの恐怖に体が固まって、ガタガタ手が震えてる
心臓もバックンバックンいってるよ
頭の中も爆発しそうだ
しっかりしろ!こういう時こそ、冷静にならなきゃ
考えろ!これからどうすればいい!
チラッと見ただけだが、あれはどう考えても多分人間ではない
昔、歴史の教科書で見た猿人類
北京原人、ネアンデルタール人、クロマニヨン人と言ったところか…
ーー何をされるかわからない。逃げなければ… ーー
そう考えつつ、五感すべてで周囲を用心深く観察する
やはり、ここは洞窟の中らしい
私は枯れ草を敷いた石の上に寝かされていたようだ
誰が私をここに寝かせてくれたのか?
さっきの猿人類か?
ーー まさかね ーー
さっきの猿人類が戻って来ないうちに、何とかしてここから逃げなきゃ
ーー あれが逃げて行った方には行かない方が良いかもしれない ーー
そっと、枯れ草から降りようとした時、それは何かを持って慌てて戻ってきた
「げっ!もう戻って来ちゃった」
ーー 思わず心の声がもれちゃったよ……てか戻って来るの早すぎ……もうちょっと逃げとこうよ
異世界転移させてくれたのは感謝するけど、初っ端からピンチとか、さっきの多分神様っぽい人、ハイネだっけ…ったくもう、使えないなぁ……まじで、勘弁してよね ーー
「§\-⌘!ウ!ウ!ウ!」
それは手に持った何かを私に差し出して来た
思わず、差し出された物を見てしまう
。。。。。。。
どうやら、果実の種らしきものをくり抜いた物の中に、水が入っているようだ
「ウ!ウ!ウ!ウ!」
それは手に持った容器?を私の胸に押し当ててきた
ーー 飲めって事、かな?てか、これ飲んでも大丈夫なやつ?わぁ~一難去ってまた一難だよぉ……これ、飲まないと雰囲気的に許してもらえないっぽいし~ハイネ、恨むよ!ーー
「ええい!女は度胸だ!南無三!」
私は果実の容器を受け取って、一気に飲み干した
意外に美味しかった
「あ、ありがとう」
ーー思わず、お礼を口にしてしまったし…… ーー
私がお礼を言うと、言葉はわからないはずなのに、それはとても嬉しそうな表情をした
ーー 敵意はないのかな? ーー
1番気になるのはそこだ
改めて、それを観察する
肌の色は浅黒い、と言うより黒い
肌そのものの色と言うより、何か黒いものがこびりついてる感じだ
胴長、短足、おまけに極端な猫背にガニ股ときている
焦げ茶色の髪の毛はゴワゴワで爆発している
それから、物凄く毛深い……猿人類だから当たり前か
チンパンジーの毛をちょっと少なくした感じ?
顔も、人間よりも猿に近いと思う
瞳はこげ茶
ただ、とても綺麗で澄んでいる
凄く人懐こい感じがする
身なりは腰に動物の皮を巻いている以外はほぼ裸で、おまけに裸足だ
後、手足の指が人間のそれよりも遥かに長くて、完全には伸びないっぽい
ーー 全体的に人間よりも猿に近いみたい ーー
それから、物凄く獣臭い
猿人類だから、仕方ないかもしれないけど、動物園の檻の前の強烈なあの臭いを軽く凌駕している
それから、数回しか口を開いていないが、口臭がかなりキツイ
さっきは鼻が曲がるかと思った
ーー ここには、これ1匹しか居ないのかな? ーー
周りを見渡しても、他に何かいる気配が感じられない
ーー 何とか逃げたいけど、変に刺激して怒らせちゃったら、何されるかわかんないし、どうしよう……困ったなぁ ーー
ーー あの時、勢いで異世界転移させてもらったけど、世の中甘くないって、どこの世界に行っても共通事項なんだって思い知ったよ。神様からの依頼だからって、ちょっとなめてたわ。反省 ーー
すると、おもむろにそれが私の手を握り、さっき水を持ってきた方を指差して、指差す先と私の顔を交互に見ながら握った手に力を込めて来る
「ウ!ウ!ウ!」
あっちに行こうと言っているような気がする
う~ん……知能は高いように感じるが、敵意の有無迄はわからない
仕方なく、猿人類に手を引かれて誘われるままに、付いて行ってみる
付いて行った先は洞窟の入り口で、そこから外の様子を知ることができた
この洞窟は、小高い岩山の中腹あたりに位置しているようで、その入り口付近には、車3台分程度のスペースがあり、人が座れるくらいの岩がゴロゴロ転がっていた。その先の遥か彼方を見下ろせば、鬱蒼としたジャングルが広がっているのが見えた。絶景である
ーー 逃げるったって、どうやってこの岩肌だらけの山から下に降りればいいんだか、それすら思い浮かばない。もうこの時点で詰んじゃってるじゃん ーー
それは私の手を引いて洞窟の入り口に転がる手頃な岩の一つに私を座らせると、どこに隠してあったのか、両手に人の頭ほどはあろうかという大きさの肉の塊を出してきて、おもむろに上部が平らになっている岩の上に置くと、手を翳し呪文のようなものを唱え始めた
「\∃∝!」
すると、翳した掌から強烈な炎の塊が飛び出し、一瞬にして肉の塊が炎に包まれた
「あ!魔法だ!凄い!」
暫くすると火が消えて、その後にはさっき肉だったはずのものが、半分くらいの大きさの真っ黒な消し炭になって鎮座していた
。。。。。。。
ーー 見なかったことにしておこう ーー
私が精一杯の思いやりの心で受け流しの技を発動させていると、つい先程まで肉の塊だった消し炭を手にしたそれは「ふん!」と言う掛け声とともに、消し炭をポキリとへし折った。
それは、2つになった黒い塊のうち、大きい方を私に差し出し、もう片方の塊を齧って見せた
私は手にした消し炭を見た
ーー 消し炭以外の何物でもない物を、私に食べろというのか?消毒殺菌はバッチリ合格だろうけど、これを食べるなんて絶対に無理だし ーー
私は首を横に振りながら、消し炭をそれに差し出した
それは見るからにしょんぼりとして、俯いてしまった
ーー 悪い事をしちゃったかなぁ。でも、食べるのとか無理だし ーー
暫くして、それはまた何処から果実を取り出してきて、私に差し出した
私はそれを受け取ると、思い切って齧ってみた
思いのほか美味しかった
「ありがとう。凄く美味しいよ」
私が笑顔で答えると、それは物凄く嬉しそうに笑ったような気がした
ーー ねえ、神様。もしかして例のあの子って、この猿人類の事かな?ーー
私は他に選択肢もないまま、ここでこの猿人類と暮らすことになった
目指せ!人間的生活!
ーー ここ、どこ? ーー
薄っすらと目を開けて周りを見渡すと、暗がりの中で次第に目が慣れてきて、どうもここが洞窟のような所らしいと気づいた
ふと視線を感じて、見られてる感じのする方へ目をやると、いきなりそれと目があった
「※∈#∂⌘⁂!」
「ギャーー!!」
それは、何か叫んで慌てて洞窟から出て行った
ーー ちょっと今の何? ーー
あまりの恐怖に体が固まって、ガタガタ手が震えてる
心臓もバックンバックンいってるよ
頭の中も爆発しそうだ
しっかりしろ!こういう時こそ、冷静にならなきゃ
考えろ!これからどうすればいい!
チラッと見ただけだが、あれはどう考えても多分人間ではない
昔、歴史の教科書で見た猿人類
北京原人、ネアンデルタール人、クロマニヨン人と言ったところか…
ーー何をされるかわからない。逃げなければ… ーー
そう考えつつ、五感すべてで周囲を用心深く観察する
やはり、ここは洞窟の中らしい
私は枯れ草を敷いた石の上に寝かされていたようだ
誰が私をここに寝かせてくれたのか?
さっきの猿人類か?
ーー まさかね ーー
さっきの猿人類が戻って来ないうちに、何とかしてここから逃げなきゃ
ーー あれが逃げて行った方には行かない方が良いかもしれない ーー
そっと、枯れ草から降りようとした時、それは何かを持って慌てて戻ってきた
「げっ!もう戻って来ちゃった」
ーー 思わず心の声がもれちゃったよ……てか戻って来るの早すぎ……もうちょっと逃げとこうよ
異世界転移させてくれたのは感謝するけど、初っ端からピンチとか、さっきの多分神様っぽい人、ハイネだっけ…ったくもう、使えないなぁ……まじで、勘弁してよね ーー
「§\-⌘!ウ!ウ!ウ!」
それは手に持った何かを私に差し出して来た
思わず、差し出された物を見てしまう
。。。。。。。
どうやら、果実の種らしきものをくり抜いた物の中に、水が入っているようだ
「ウ!ウ!ウ!ウ!」
それは手に持った容器?を私の胸に押し当ててきた
ーー 飲めって事、かな?てか、これ飲んでも大丈夫なやつ?わぁ~一難去ってまた一難だよぉ……これ、飲まないと雰囲気的に許してもらえないっぽいし~ハイネ、恨むよ!ーー
「ええい!女は度胸だ!南無三!」
私は果実の容器を受け取って、一気に飲み干した
意外に美味しかった
「あ、ありがとう」
ーー思わず、お礼を口にしてしまったし…… ーー
私がお礼を言うと、言葉はわからないはずなのに、それはとても嬉しそうな表情をした
ーー 敵意はないのかな? ーー
1番気になるのはそこだ
改めて、それを観察する
肌の色は浅黒い、と言うより黒い
肌そのものの色と言うより、何か黒いものがこびりついてる感じだ
胴長、短足、おまけに極端な猫背にガニ股ときている
焦げ茶色の髪の毛はゴワゴワで爆発している
それから、物凄く毛深い……猿人類だから当たり前か
チンパンジーの毛をちょっと少なくした感じ?
顔も、人間よりも猿に近いと思う
瞳はこげ茶
ただ、とても綺麗で澄んでいる
凄く人懐こい感じがする
身なりは腰に動物の皮を巻いている以外はほぼ裸で、おまけに裸足だ
後、手足の指が人間のそれよりも遥かに長くて、完全には伸びないっぽい
ーー 全体的に人間よりも猿に近いみたい ーー
それから、物凄く獣臭い
猿人類だから、仕方ないかもしれないけど、動物園の檻の前の強烈なあの臭いを軽く凌駕している
それから、数回しか口を開いていないが、口臭がかなりキツイ
さっきは鼻が曲がるかと思った
ーー ここには、これ1匹しか居ないのかな? ーー
周りを見渡しても、他に何かいる気配が感じられない
ーー 何とか逃げたいけど、変に刺激して怒らせちゃったら、何されるかわかんないし、どうしよう……困ったなぁ ーー
ーー あの時、勢いで異世界転移させてもらったけど、世の中甘くないって、どこの世界に行っても共通事項なんだって思い知ったよ。神様からの依頼だからって、ちょっとなめてたわ。反省 ーー
すると、おもむろにそれが私の手を握り、さっき水を持ってきた方を指差して、指差す先と私の顔を交互に見ながら握った手に力を込めて来る
「ウ!ウ!ウ!」
あっちに行こうと言っているような気がする
う~ん……知能は高いように感じるが、敵意の有無迄はわからない
仕方なく、猿人類に手を引かれて誘われるままに、付いて行ってみる
付いて行った先は洞窟の入り口で、そこから外の様子を知ることができた
この洞窟は、小高い岩山の中腹あたりに位置しているようで、その入り口付近には、車3台分程度のスペースがあり、人が座れるくらいの岩がゴロゴロ転がっていた。その先の遥か彼方を見下ろせば、鬱蒼としたジャングルが広がっているのが見えた。絶景である
ーー 逃げるったって、どうやってこの岩肌だらけの山から下に降りればいいんだか、それすら思い浮かばない。もうこの時点で詰んじゃってるじゃん ーー
それは私の手を引いて洞窟の入り口に転がる手頃な岩の一つに私を座らせると、どこに隠してあったのか、両手に人の頭ほどはあろうかという大きさの肉の塊を出してきて、おもむろに上部が平らになっている岩の上に置くと、手を翳し呪文のようなものを唱え始めた
「\∃∝!」
すると、翳した掌から強烈な炎の塊が飛び出し、一瞬にして肉の塊が炎に包まれた
「あ!魔法だ!凄い!」
暫くすると火が消えて、その後にはさっき肉だったはずのものが、半分くらいの大きさの真っ黒な消し炭になって鎮座していた
。。。。。。。
ーー 見なかったことにしておこう ーー
私が精一杯の思いやりの心で受け流しの技を発動させていると、つい先程まで肉の塊だった消し炭を手にしたそれは「ふん!」と言う掛け声とともに、消し炭をポキリとへし折った。
それは、2つになった黒い塊のうち、大きい方を私に差し出し、もう片方の塊を齧って見せた
私は手にした消し炭を見た
ーー 消し炭以外の何物でもない物を、私に食べろというのか?消毒殺菌はバッチリ合格だろうけど、これを食べるなんて絶対に無理だし ーー
私は首を横に振りながら、消し炭をそれに差し出した
それは見るからにしょんぼりとして、俯いてしまった
ーー 悪い事をしちゃったかなぁ。でも、食べるのとか無理だし ーー
暫くして、それはまた何処から果実を取り出してきて、私に差し出した
私はそれを受け取ると、思い切って齧ってみた
思いのほか美味しかった
「ありがとう。凄く美味しいよ」
私が笑顔で答えると、それは物凄く嬉しそうに笑ったような気がした
ーー ねえ、神様。もしかして例のあの子って、この猿人類の事かな?ーー
私は他に選択肢もないまま、ここでこの猿人類と暮らすことになった
目指せ!人間的生活!
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