53 / 140
第2幕 霊界 ネオ大江戸辰区縄張り激闘編
落とし所
しおりを挟む
スーツ姿の男の声が本堂に響き渡ると、数人のスーツを着た男女が本堂に入ってきて、一直線に虎丞の方に向かい、囲み出した。
「なんや、おのれらっ!」
虎丞を囲み出した集団に賢太がガンをつける。
「・・・賢太、離れていろ・・・お前には関係ないことだ・・・。」
虎丞はなにやら、分かっていたかのようにスーツの集団を受け入れた。
「・・・・・・。」
佐乃達もその様子を黙ってみている。
スーツの集団の一人が、一枚の紙を取り出して、虎丞の目の前に開いて、突き出した。
「・・・△○寺虎丞、貴方を霊界騒乱罪、及び、無差別滅消罪の罪状に付き、地獄送りとするッ!」
「ッ?!」
虎丞の地獄送りと聞いて、賢太が度肝を抜かれる。
賢太は納得行かずに怒鳴って、スーツの男性に飛びかかろうとした。
「なんでやっ!」
「やめないかっ!」
飛びかかろうとした賢太をすかさず佐乃が羽交い絞めにする。
「・・・賢太・・・覚悟していた事だ・・・静かに見送ってくれ・・・。」
虎丞は一切抵抗せずにスーツの集団の御縄を受け入れる。
「なんでやっ!なんでなんじゃっ、俺も虎丞組じゃッ、俺も連れてってくれやっ!」
佐乃に羽交い絞めされながらも身体全体を使って暴れて、スーツの集団に噛み付く。
「・・・・・・。」
スーツ姿の女性が虎丞を黙って見ると
「・・・あいつは自称特攻隊長の下っ端だ・・・関係ない・・・俺とカムラが二人で計画した事で間違いない・・・。」
虎丞は女性の目を真っ直ぐ見て、淡々と罪を認めた。
「・・・オジキッ・・・なんでやぁ・・・。」
虎丞の言葉に打ちのめされた賢太は暴れるのをやめて、がっくりとうな垂れる。
「賢太ッ!」
うな垂れる賢太に虎丞が大きな声で名を呼ぶ。
「・・・・・・。」
賢太は涙を一杯溜めながら、虎丞を見る。
「・・・下っ端のお前に組をくれてやる・・・好きにしろ・・・。」
虎丞は最後にそういって微笑み、スーツの集団と一緒に本堂から姿を消した。
「オジキッ!」
「虎丞のだんなっ!」
佐乃道場の外では、規制線が張られた外側から、最後まで虎丞組を去ろうとしなかった組員達が虎丞の姿を見て、泣いて叫んでいる。
「・・・お前達、迷惑を掛けたな・・・俺の事を思うなら、後は賢太に聞いてくれ・・・。」
虎丞は自分の事を慕う組員達に最後の言葉を送る。
「・・・・・・。」
規制線の内側で御縄になっているカムラが黙って、虎丞を待っていた。
「・・・カムラ・・・すまんな・・・。」
虎丞はカムラの姿を視界に入れるとニッコリと笑って、謝った。
「約束通り、一緒に逝こうか?」
カムラも清々しいまでの微笑で虎丞に返す。
二人は並び立つと、スーツの集団と共にどこかに煙のように消えて行った。
〔ダンッ、ダンッ、ダンッ〕
賢太はぶつけ様のない怒りを右拳に乗せて、佐乃道場の本堂の床を殴っている。
「・・・・・・。」
目からは涙が止まらない。何も出来なかった自分の不甲斐無さに完璧に打ちのめされていた。
「・・・あんた、泣いてるだけでいいのかい?」
佐乃が四つんばいなって、床に八つ当たりしている賢太に向けて、言葉を吐きかける。
「・・・俺にどないせいっちゅうじゃっ・・・。」
賢太は床を叩くのをやめて、グシャグシャの顔を佐乃に向けて睨む。
「・・・あんたの尊敬するオジキは最後にあんたになんて言ったんだ?」
佐乃は賢太の視線にあわせるようにしゃがみ、尋ねる。
「・・・・・・。」
賢太は佐乃の目を見て、虎丞の言葉を頭の中で繰り返す。
「わかったなら、そうすればいい・・・分かった上で、それを反故にするのもあんたの自由だよ・・・約束通り、縄張りをくれなんて、アタシは言わない・・・。」
佐乃は立ち上がって、腕組みをしてそっぽを向く。
「・・・アネさん、なめるなや・・・この雅嶺賢太・・・オジキからもろうた盃は閻魔にもやらんっ!」
賢太はゆっくりと立ち上がって、涙をゴシゴシとふき取り、真剣な目で佐乃を見る。
「・・・えっ?・・・」
佐乃は賢太の目に引くよりも、自分を呼ぶ敬称にドン引きした。
(・・・あっ・・・アネさん?)
「アネさん・・・この雅嶺賢太!虎丞のオジキの命によって、虎丞組をまとめあげて、下につきますんで・・・よろしゅうおねがいしますっ!」
賢太はガニマタで上体を沈めて、そう言いながら佐乃に向かって、頭を深々と下げた。
「・・・おっ・・おぅ・・・。」
賢太の姿勢になれずに引くしかない佐乃。
「賢太・・・アタシの下につくなら、アネさんはやめとくれ・・・師匠か、先生にしてくれっ・・・。」
佐乃が顔を少し赤くして、腕組みをしながら注文した。
「師匠ッ!了解しましたっ!」
賢太はガバッと佐乃に顔を近づけるとキラキラと目を輝かせながら同意した。
「・・・たっ・・・頼んだよ・・・。」
佐乃は賢太から少し距離をとって、念を押す。
佐乃と賢太の師弟関係をニヤニヤしてみていた菊の助が
「どうやら、丸く収まったみてぇだなっ。」
閉じた扇子で肩を叩きながらそう言う。
「一時はどうなるかと思いましたが、よかったですなっ。」
秦右衛門が菊の助の隣で、着物の中で腕組みをしながら右腕でアゴを触りつつ、続く。
「貴方達二人とも、何のん気にしてるんですかっ?」
ほのぼのと佐乃達を見ている二人に乃華がほったらかしの善朗を不憫に思い、突っ込む。
「・・・主よ、まだまだですなぁ~・・・。」
大前は大の字に伸びている善朗の頬をしゃがみ込んで、頬杖をつきながらツンツン突く。
「あははははっ・・・。」
善朗は動けない自分の現状に苦笑いするしかなかった。
その後、賢太は虎丞組をまとめるべく寺に帰ったのだったが、
「・・・頭・・・どうします?」
組員の一人が賢太を頭と呼び、不安そうに見ている。
寺に戻ってくると、そこにはササツキ組の組員もおり、とても虎丞組が納めるような状況ではなくなっていた。虎丞組だった組員の大半がササツキ組に自主的に移籍してしまい、賢太の元に来たのは少数派となっていた。
「ここは昔のよしみだ・・・隅っこの方で虎丞組をしてもいいぜ?」
ササツキ組に移った元虎丞組の組員達が、賢太達をののしる。
「・・・・・・。」
賢太は目を閉じて黙っている。
「自称特攻隊長さんが、ごくろうなこって・・・。」
組員の中には、賢太の貢献度に合わないと、虎丞からの引継ぎに納得いかない者も多かった。
「・・・・・・。」
賢太はいきなり立ち上がって、周囲を睨む。
「・・・なっ、なんだよっ。」
納得いっていない元組員たちではあったが、怒らせれば自分達では敵わない事も知っており、虚勢を張って、集団で徒党を組む。
「こないな場所くれてやるわ・・・ついてきたいもんだけついてこいや・・・。」
賢太はそう言って、寺から出て行く。
「・・・・・・。」
残された組員達は互いの顔を見るしかなった。
その後、さらにササツキ組に流れる者が増えて、等々賢太の元に残ったのは、無縁仏の下っ端組員しかいなかった。無縁仏は他の組員にはお荷物とされて、肩身が狭く、移るに移れなかったというのが正解かもしれない。
「・・・よし、わかった・・・これぐらいなら、こっちでも面倒見れるよ。」
佐乃の屋敷の一室で、佐乃が腕組みをして正座をしながら、賢太達に微笑む。
「あねさっ・・・師匠、ホンマ助かります・・・不甲斐無くて申し訳ない・・・。」
賢太は素直に佐乃に頭を下げ、不甲斐無い事を謝った。
「・・・あんたのせいじゃないよ・・・ササツキの手の速さは予想以上だったって事さ・・・。」
佐乃が仕方がないと賢太を励ます。
「俺もしっかり、稼ぎますんで・・・。」
賢太はそういって、土下座をする。
「本当は遠慮したい所なんだけどね・・・うちも余裕はないから・・・しっかり頼むよ。」
佐乃が苦笑いしながら、正直に賢太と向き合う。
薄暗い部屋の一室。
「ボス・・・予想以上にこちら側についた人間が多く・・・収益も期待できるかと・・・。」
スーツを着崩した一人の男が、差し出されたグラスに酒を入れながら、椅子に座っているボスに報告をする。
「・・・俺の稼ぎが減るのと、動けなくなるのは痛いが・・・折込済みだ・・・お前達の今後の働きに期待してるぞ・・・。」
ササツキは注がれた酒を飲みながら、テーブルを囲んで座る面々にニヤケながらそう指示した。
「・・・へいっ。」
幹部と思われる面々は軽い会釈をしながらササツキに答える。
ササツキは全てが自分の手の上で動く状況に微笑みながら
(・・・これで、次の段階に進めるな・・・後は、菊の助と佐乃か・・・お前らも所詮は俺の敵じゃない・・・今に見ていろ・・・。)
と、思考を巡らして、ニヤニヤが止まらず、グラスの酒をあっという間に飲み干し、次を要求した。部下はグラスを差し出されるとすかさず近付き、酒をついでスッと後ろに下がる。
「・・・善朗君・・・君はどうしようかな?」
ササツキはそう言いながら善朗の写真の顔を、爪を立てた指でトントンと叩く。
「なんや、おのれらっ!」
虎丞を囲み出した集団に賢太がガンをつける。
「・・・賢太、離れていろ・・・お前には関係ないことだ・・・。」
虎丞はなにやら、分かっていたかのようにスーツの集団を受け入れた。
「・・・・・・。」
佐乃達もその様子を黙ってみている。
スーツの集団の一人が、一枚の紙を取り出して、虎丞の目の前に開いて、突き出した。
「・・・△○寺虎丞、貴方を霊界騒乱罪、及び、無差別滅消罪の罪状に付き、地獄送りとするッ!」
「ッ?!」
虎丞の地獄送りと聞いて、賢太が度肝を抜かれる。
賢太は納得行かずに怒鳴って、スーツの男性に飛びかかろうとした。
「なんでやっ!」
「やめないかっ!」
飛びかかろうとした賢太をすかさず佐乃が羽交い絞めにする。
「・・・賢太・・・覚悟していた事だ・・・静かに見送ってくれ・・・。」
虎丞は一切抵抗せずにスーツの集団の御縄を受け入れる。
「なんでやっ!なんでなんじゃっ、俺も虎丞組じゃッ、俺も連れてってくれやっ!」
佐乃に羽交い絞めされながらも身体全体を使って暴れて、スーツの集団に噛み付く。
「・・・・・・。」
スーツ姿の女性が虎丞を黙って見ると
「・・・あいつは自称特攻隊長の下っ端だ・・・関係ない・・・俺とカムラが二人で計画した事で間違いない・・・。」
虎丞は女性の目を真っ直ぐ見て、淡々と罪を認めた。
「・・・オジキッ・・・なんでやぁ・・・。」
虎丞の言葉に打ちのめされた賢太は暴れるのをやめて、がっくりとうな垂れる。
「賢太ッ!」
うな垂れる賢太に虎丞が大きな声で名を呼ぶ。
「・・・・・・。」
賢太は涙を一杯溜めながら、虎丞を見る。
「・・・下っ端のお前に組をくれてやる・・・好きにしろ・・・。」
虎丞は最後にそういって微笑み、スーツの集団と一緒に本堂から姿を消した。
「オジキッ!」
「虎丞のだんなっ!」
佐乃道場の外では、規制線が張られた外側から、最後まで虎丞組を去ろうとしなかった組員達が虎丞の姿を見て、泣いて叫んでいる。
「・・・お前達、迷惑を掛けたな・・・俺の事を思うなら、後は賢太に聞いてくれ・・・。」
虎丞は自分の事を慕う組員達に最後の言葉を送る。
「・・・・・・。」
規制線の内側で御縄になっているカムラが黙って、虎丞を待っていた。
「・・・カムラ・・・すまんな・・・。」
虎丞はカムラの姿を視界に入れるとニッコリと笑って、謝った。
「約束通り、一緒に逝こうか?」
カムラも清々しいまでの微笑で虎丞に返す。
二人は並び立つと、スーツの集団と共にどこかに煙のように消えて行った。
〔ダンッ、ダンッ、ダンッ〕
賢太はぶつけ様のない怒りを右拳に乗せて、佐乃道場の本堂の床を殴っている。
「・・・・・・。」
目からは涙が止まらない。何も出来なかった自分の不甲斐無さに完璧に打ちのめされていた。
「・・・あんた、泣いてるだけでいいのかい?」
佐乃が四つんばいなって、床に八つ当たりしている賢太に向けて、言葉を吐きかける。
「・・・俺にどないせいっちゅうじゃっ・・・。」
賢太は床を叩くのをやめて、グシャグシャの顔を佐乃に向けて睨む。
「・・・あんたの尊敬するオジキは最後にあんたになんて言ったんだ?」
佐乃は賢太の視線にあわせるようにしゃがみ、尋ねる。
「・・・・・・。」
賢太は佐乃の目を見て、虎丞の言葉を頭の中で繰り返す。
「わかったなら、そうすればいい・・・分かった上で、それを反故にするのもあんたの自由だよ・・・約束通り、縄張りをくれなんて、アタシは言わない・・・。」
佐乃は立ち上がって、腕組みをしてそっぽを向く。
「・・・アネさん、なめるなや・・・この雅嶺賢太・・・オジキからもろうた盃は閻魔にもやらんっ!」
賢太はゆっくりと立ち上がって、涙をゴシゴシとふき取り、真剣な目で佐乃を見る。
「・・・えっ?・・・」
佐乃は賢太の目に引くよりも、自分を呼ぶ敬称にドン引きした。
(・・・あっ・・・アネさん?)
「アネさん・・・この雅嶺賢太!虎丞のオジキの命によって、虎丞組をまとめあげて、下につきますんで・・・よろしゅうおねがいしますっ!」
賢太はガニマタで上体を沈めて、そう言いながら佐乃に向かって、頭を深々と下げた。
「・・・おっ・・おぅ・・・。」
賢太の姿勢になれずに引くしかない佐乃。
「賢太・・・アタシの下につくなら、アネさんはやめとくれ・・・師匠か、先生にしてくれっ・・・。」
佐乃が顔を少し赤くして、腕組みをしながら注文した。
「師匠ッ!了解しましたっ!」
賢太はガバッと佐乃に顔を近づけるとキラキラと目を輝かせながら同意した。
「・・・たっ・・・頼んだよ・・・。」
佐乃は賢太から少し距離をとって、念を押す。
佐乃と賢太の師弟関係をニヤニヤしてみていた菊の助が
「どうやら、丸く収まったみてぇだなっ。」
閉じた扇子で肩を叩きながらそう言う。
「一時はどうなるかと思いましたが、よかったですなっ。」
秦右衛門が菊の助の隣で、着物の中で腕組みをしながら右腕でアゴを触りつつ、続く。
「貴方達二人とも、何のん気にしてるんですかっ?」
ほのぼのと佐乃達を見ている二人に乃華がほったらかしの善朗を不憫に思い、突っ込む。
「・・・主よ、まだまだですなぁ~・・・。」
大前は大の字に伸びている善朗の頬をしゃがみ込んで、頬杖をつきながらツンツン突く。
「あははははっ・・・。」
善朗は動けない自分の現状に苦笑いするしかなかった。
その後、賢太は虎丞組をまとめるべく寺に帰ったのだったが、
「・・・頭・・・どうします?」
組員の一人が賢太を頭と呼び、不安そうに見ている。
寺に戻ってくると、そこにはササツキ組の組員もおり、とても虎丞組が納めるような状況ではなくなっていた。虎丞組だった組員の大半がササツキ組に自主的に移籍してしまい、賢太の元に来たのは少数派となっていた。
「ここは昔のよしみだ・・・隅っこの方で虎丞組をしてもいいぜ?」
ササツキ組に移った元虎丞組の組員達が、賢太達をののしる。
「・・・・・・。」
賢太は目を閉じて黙っている。
「自称特攻隊長さんが、ごくろうなこって・・・。」
組員の中には、賢太の貢献度に合わないと、虎丞からの引継ぎに納得いかない者も多かった。
「・・・・・・。」
賢太はいきなり立ち上がって、周囲を睨む。
「・・・なっ、なんだよっ。」
納得いっていない元組員たちではあったが、怒らせれば自分達では敵わない事も知っており、虚勢を張って、集団で徒党を組む。
「こないな場所くれてやるわ・・・ついてきたいもんだけついてこいや・・・。」
賢太はそう言って、寺から出て行く。
「・・・・・・。」
残された組員達は互いの顔を見るしかなった。
その後、さらにササツキ組に流れる者が増えて、等々賢太の元に残ったのは、無縁仏の下っ端組員しかいなかった。無縁仏は他の組員にはお荷物とされて、肩身が狭く、移るに移れなかったというのが正解かもしれない。
「・・・よし、わかった・・・これぐらいなら、こっちでも面倒見れるよ。」
佐乃の屋敷の一室で、佐乃が腕組みをして正座をしながら、賢太達に微笑む。
「あねさっ・・・師匠、ホンマ助かります・・・不甲斐無くて申し訳ない・・・。」
賢太は素直に佐乃に頭を下げ、不甲斐無い事を謝った。
「・・・あんたのせいじゃないよ・・・ササツキの手の速さは予想以上だったって事さ・・・。」
佐乃が仕方がないと賢太を励ます。
「俺もしっかり、稼ぎますんで・・・。」
賢太はそういって、土下座をする。
「本当は遠慮したい所なんだけどね・・・うちも余裕はないから・・・しっかり頼むよ。」
佐乃が苦笑いしながら、正直に賢太と向き合う。
薄暗い部屋の一室。
「ボス・・・予想以上にこちら側についた人間が多く・・・収益も期待できるかと・・・。」
スーツを着崩した一人の男が、差し出されたグラスに酒を入れながら、椅子に座っているボスに報告をする。
「・・・俺の稼ぎが減るのと、動けなくなるのは痛いが・・・折込済みだ・・・お前達の今後の働きに期待してるぞ・・・。」
ササツキは注がれた酒を飲みながら、テーブルを囲んで座る面々にニヤケながらそう指示した。
「・・・へいっ。」
幹部と思われる面々は軽い会釈をしながらササツキに答える。
ササツキは全てが自分の手の上で動く状況に微笑みながら
(・・・これで、次の段階に進めるな・・・後は、菊の助と佐乃か・・・お前らも所詮は俺の敵じゃない・・・今に見ていろ・・・。)
と、思考を巡らして、ニヤニヤが止まらず、グラスの酒をあっという間に飲み干し、次を要求した。部下はグラスを差し出されるとすかさず近付き、酒をついでスッと後ろに下がる。
「・・・善朗君・・・君はどうしようかな?」
ササツキはそう言いながら善朗の写真の顔を、爪を立てた指でトントンと叩く。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

異世界英雄の学園生活~英雄に休息なんてありません~
パチ朗斗
ファンタジー
魔法が存在する世界リレイリア。その世界には人類の敵である魔王という者が存在した。その魔王はとてつもなく強く、人類は滅亡すると思われた。だが、たった一人の男がいとも容易く魔王を討伐する。その男の名はキョーガ。
魔王討伐という任務を終えたキョーガは自分の元住んでいた世界……"日本"に帰還する。

冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない
一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。
クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。
さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。
両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。
……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。
それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。
皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。
※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。


特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
ブレイブエイト〜異世界八犬伝伝説〜
蒼月丸
ファンタジー
異世界ハルヴァス。そこは平和なファンタジー世界だったが、新たな魔王であるタマズサが出現した事で大混乱に陥ってしまう。
魔王討伐に赴いた勇者一行も、タマズサによって壊滅してしまい、行方不明一名、死者二名、捕虜二名という結果に。このままだとハルヴァスが滅びるのも時間の問題だ。
それから数日後、地球にある後楽園ホールではプロレス大会が開かれていたが、ここにも魔王軍が攻め込んできて多くの客が殺されてしまう事態が起きた。
当然大会は中止。客の生き残りである東零夜は魔王軍に怒りを顕にし、憧れのレスラーである藍原倫子、彼女のパートナーの有原日和と共に、魔王軍がいるハルヴァスへと向かう事を決断したのだった。
八犬士達の意志を継ぐ選ばれし八人が、魔王タマズサとの戦いに挑む!
地球とハルヴァス、二つの世界を行き来するファンタジー作品、開幕!
Nolaノベル、PageMeku、ネオページ、なろうにも連載しています!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる