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第2幕 霊界 ネオ大江戸辰区縄張り激闘編
激闘の火蓋
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「・・・・・・。」
佐乃が道場の本堂で皆を集めて、瞑想をしている。
「・・・・・・。」
佐乃の周りの門下生達はそんな佐乃を正座をして、ジッと見ている。
悲劇の刺滅事件から数日。
佐乃も虎丞の動きを予測して動いていた。
道場に集められた門下生達は男ばかりで構成されている。
その中でも、特に佐乃に対して、忠誠心の強い人間が集まっていた。
それ以外の人間は一時的に避難させている。
門下生の中に、善朗の姿はなかった。
これは佐乃としても、善朗はあくまで預かりとして、受け入れた形だったので巻き込むわけには行かないと考えた末だった。
善朗は幸いにも、抗争や縄張りと言う話に疎い事もあり、特に疑う事もなく、今は実家とも言える武家屋敷に帰っていた。
〔ドドドドドドドドドッ、ビシャンッ!〕
「師匠ッ!来ましたッ!!」
伝重郎が血相を変えて、本堂に走って入ってくる。
「・・・・・・。」
佐乃は伝重郎の大きな声にも微動だにせず、ゆっくりと目を開ける。
「・・・師匠・・・。」
十郎汰が横で正座をしたまま、佐乃が目を開けたのを見計らって声をかけた。
「・・・あんた達・・・向こうは獣だ・・・目の前の獲物の事しか頭にない・・・理屈やなんだなんて、はなっから聞かない相手だよ・・・そう言う奴は力でしか止まらない・・・今回ばかりは闘う事を許可するが、自分の命を守ることだけに専念するんだっ・・・いいねっ!」
「押忍ッ!」
佐乃が周りにいる門下生達に静かにゆっくりと力強く言葉を伝え、最後に気合を入れる。
その佐乃の気合に答えるように門下生達は大きな声で答える。
〔ワアアアアアアアアアアアアアアッ!!〕
道場の外から男達の唸り声が響き、道場の中にも聞こえてくる。
虎丞組が佐乃道場に殴りこみ来た合図だった。
「あんた達、誰も死ぬんじゃないよっ!」
「押忍ッ!」
佐乃が勢い良く立ち上がり、大声で叫ぶ。
それに門下生達も答えて勢い良く立ち上がり、叫んだ。
〔ダダダダダダダダダダダダダダダッ!〕
門下生達が雪崩をうった様に本堂から出て行く。
十郎汰と伝重郎は数人の精鋭達と共に佐乃の脇を固める。
いよいよ虎丞組と佐乃道場との全面対決が始まろうとしていた。
「ぎゃはははっ・・・もうのめねぇ~よぉ~~・・・。」
とある一室。少年菊の助が女性陣に囲まれながら酔いつぶれている。
「殿ぉ~~・・・こういう計らいもたまにはいいですな~~~・・・。」
菊の助の横で女性の膝枕に顔を埋めながら秦右衛門がニヤニヤしている。
「秦さんったら、エッチぃ~~。」
秦右衛門が調子に乗って、女性におさわりしていると女性が艶かしく嫌がる。
「うへへへっ、よいではないかよいではないかっ。」
「いや~~~んっ。」
秦右衛門もブレーキが完全に壊れて雰囲気に飲まれている。
「おいっ、料理遅いぞっ!ジャンジャン持ってこいっ!!」
とある中華料理店。大量の料理に囲まれながら金太が留まる事を知らずに食い尽くしていく。
「今日は菊の助のお殿様から料金は貰ってますんで、存分に召し上がっていって下さいっ!」
厨房の方から忙しなく動きながらもニコニコと金太に声を掛ける従業員。
「殿も気が利くっ!今日は限界突破で食いまくるぞッ!!!」
金太が大皿の料理を平らげて、箸を天に掲げて叫ぶ。
〔うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!〕
店に来ていた他の客達が金太の食いっぷりに大歓声を上げる。
「・・・君は、菊の助の所の関係者かい?」
「・・・えっ?」
武家屋敷の玄関の門の前。善朗が掃除をしていると、突然、数十人の男達が集まってきて、その代表者が善朗に尋ねた。
突然その筋らしい人間達に囲まれて、善朗は完全に度肝を抜かれて固まってしまっていた。
「・・・申し送れたね・・・私は虎丞組のカムラと言う者だ・・・出来れば、ここには手を出したくないので、このまま人が出ないように見張っていてもいいかな?」
カムラは丁寧に自己紹介をして、自分達の目的もちゃんと話した。
「・・・えっ?・・・なっ・・・何かあったんですか?・・・すいません、殿は今日は用事で出かけていまして・・・。」
丁寧に挨拶してくれたカムラに少し緊張が解けた善朗が頭をかきながら、ペコペコ会釈をして、話す。
「・・・殿?・・・あぁっ・・・菊の助達が居ないのは知っているよ。」
「えっ?!」
カムラが不敵に笑う。
善朗はその笑みと言葉に驚き、背筋が凍った。
佐乃が道場の本堂で皆を集めて、瞑想をしている。
「・・・・・・。」
佐乃の周りの門下生達はそんな佐乃を正座をして、ジッと見ている。
悲劇の刺滅事件から数日。
佐乃も虎丞の動きを予測して動いていた。
道場に集められた門下生達は男ばかりで構成されている。
その中でも、特に佐乃に対して、忠誠心の強い人間が集まっていた。
それ以外の人間は一時的に避難させている。
門下生の中に、善朗の姿はなかった。
これは佐乃としても、善朗はあくまで預かりとして、受け入れた形だったので巻き込むわけには行かないと考えた末だった。
善朗は幸いにも、抗争や縄張りと言う話に疎い事もあり、特に疑う事もなく、今は実家とも言える武家屋敷に帰っていた。
〔ドドドドドドドドドッ、ビシャンッ!〕
「師匠ッ!来ましたッ!!」
伝重郎が血相を変えて、本堂に走って入ってくる。
「・・・・・・。」
佐乃は伝重郎の大きな声にも微動だにせず、ゆっくりと目を開ける。
「・・・師匠・・・。」
十郎汰が横で正座をしたまま、佐乃が目を開けたのを見計らって声をかけた。
「・・・あんた達・・・向こうは獣だ・・・目の前の獲物の事しか頭にない・・・理屈やなんだなんて、はなっから聞かない相手だよ・・・そう言う奴は力でしか止まらない・・・今回ばかりは闘う事を許可するが、自分の命を守ることだけに専念するんだっ・・・いいねっ!」
「押忍ッ!」
佐乃が周りにいる門下生達に静かにゆっくりと力強く言葉を伝え、最後に気合を入れる。
その佐乃の気合に答えるように門下生達は大きな声で答える。
〔ワアアアアアアアアアアアアアアッ!!〕
道場の外から男達の唸り声が響き、道場の中にも聞こえてくる。
虎丞組が佐乃道場に殴りこみ来た合図だった。
「あんた達、誰も死ぬんじゃないよっ!」
「押忍ッ!」
佐乃が勢い良く立ち上がり、大声で叫ぶ。
それに門下生達も答えて勢い良く立ち上がり、叫んだ。
〔ダダダダダダダダダダダダダダダッ!〕
門下生達が雪崩をうった様に本堂から出て行く。
十郎汰と伝重郎は数人の精鋭達と共に佐乃の脇を固める。
いよいよ虎丞組と佐乃道場との全面対決が始まろうとしていた。
「ぎゃはははっ・・・もうのめねぇ~よぉ~~・・・。」
とある一室。少年菊の助が女性陣に囲まれながら酔いつぶれている。
「殿ぉ~~・・・こういう計らいもたまにはいいですな~~~・・・。」
菊の助の横で女性の膝枕に顔を埋めながら秦右衛門がニヤニヤしている。
「秦さんったら、エッチぃ~~。」
秦右衛門が調子に乗って、女性におさわりしていると女性が艶かしく嫌がる。
「うへへへっ、よいではないかよいではないかっ。」
「いや~~~んっ。」
秦右衛門もブレーキが完全に壊れて雰囲気に飲まれている。
「おいっ、料理遅いぞっ!ジャンジャン持ってこいっ!!」
とある中華料理店。大量の料理に囲まれながら金太が留まる事を知らずに食い尽くしていく。
「今日は菊の助のお殿様から料金は貰ってますんで、存分に召し上がっていって下さいっ!」
厨房の方から忙しなく動きながらもニコニコと金太に声を掛ける従業員。
「殿も気が利くっ!今日は限界突破で食いまくるぞッ!!!」
金太が大皿の料理を平らげて、箸を天に掲げて叫ぶ。
〔うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!〕
店に来ていた他の客達が金太の食いっぷりに大歓声を上げる。
「・・・君は、菊の助の所の関係者かい?」
「・・・えっ?」
武家屋敷の玄関の門の前。善朗が掃除をしていると、突然、数十人の男達が集まってきて、その代表者が善朗に尋ねた。
突然その筋らしい人間達に囲まれて、善朗は完全に度肝を抜かれて固まってしまっていた。
「・・・申し送れたね・・・私は虎丞組のカムラと言う者だ・・・出来れば、ここには手を出したくないので、このまま人が出ないように見張っていてもいいかな?」
カムラは丁寧に自己紹介をして、自分達の目的もちゃんと話した。
「・・・えっ?・・・なっ・・・何かあったんですか?・・・すいません、殿は今日は用事で出かけていまして・・・。」
丁寧に挨拶してくれたカムラに少し緊張が解けた善朗が頭をかきながら、ペコペコ会釈をして、話す。
「・・・殿?・・・あぁっ・・・菊の助達が居ないのは知っているよ。」
「えっ?!」
カムラが不敵に笑う。
善朗はその笑みと言葉に驚き、背筋が凍った。
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